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1.プロローグのようなもの

はじめまして、竹御谷流華と申します。パソコンのデータ整理をしていると、8年位前に作ったであろう痛いデータが出てきました……それがこの小説です。未完成だったので少しずつ手直し+新規作成してあげていこうかなと思います。

 とある教室に隣り合って座る二人の姿。廊下にほとんど人はなく、校内には下校を促すメロディが静かに響き、窓からは柔らかく夕日の光が差し込んでいる……なんてロマンチックなシチュエーションだろうか。まるで放課後の告白シーンみたいじゃないか?ただし……そこだけ切り取ればの話だ。オレとそいつの二人が座っている席、その机の上には夕日に照らされて影となった四角い山のようなものがそびえたっていた。


「なぁ冬樹(ふゆき)、オレは部活が終わって、ココにカバンを取りに来たはずだったよな?」


「そういえばそうだったような?」


「そうだったんだよ!なんでお前の雑用を手伝ってんのオレ!?」


「うーん……まぁ教室に来たのがベストタイミングってことで何とぞひとつ」


 こ、この野郎よくもいけしゃあしゃあと!あははと苦笑いをしながら誤魔化そうとしやがる目の前のこいつの名は北原冬樹(きたはらふゆき)。高校二年で生徒会書記。オレはなぜかこいつが押し付けられた四角い山こと大量のプリントを仕分ける手伝いをさせられていた。


「ちょっといろいろあって会長の仕事を変わる羽目に……はぁ~なんでこんな貧乏くじばかり引くんだろうな……」


「あぁ確かに貧乏くじだな。でもお前じゃねぇぞ?部活で疲れ切った幼馴染の体を酷使させるテメーのせいでオレが貧乏くじ引いてんの!」


「はは……ごめん(なつ)。今度ラーメンおごるからさ……」


「ったくよぉ……早いとこ終わらせようぜ、もちろんラーメンは忘れんなよ」


 ミスがないかプリントをペラペラとめくって確認する。まったく、こいつはいつもイベントを起こしやがる。本人はトラブルだ、貧乏くじだと言い張っているがオレにはどうもそうは思えない。なぜなら……


「なぁ、冬樹。会長ってあの美人で有名な先輩だよな?なんで仕事押し付けられたか教えてくんね?」


「いや別に押し付けられたわけじゃ……実は昼に生徒会室に呼び出されてさ。風邪で身体が怠いから放課後に書類を一緒にやってくれないかって言われたんだよ。でもその時の顔があまりにも真っ赤でさ、すごく体調が悪そうだったから、俺が何とかするんで全部任せてくださいって会長の仕事を引き受けたんだよ」


 ほらやっぱり。昔からの事だがこいつはトラブルを持ってきているんじゃない。貧乏くじを引いているわけでもない。アニメやゲームやラノベで言うところのラブコメイベントを引き起こしているんだ。なんでそう言えるのかって?オレはその会長が昼以降の体育で走ってるのをちらっと見かけてるんだよ。多分冬樹を誘って放課後二人っきりという風にしたかったんだろうが、当てが外れちまったんだろうな。よーし言ってやるぞ。この幼馴染様が一度落としたフラグを拾ってこの鈍感バカにラノベの主人公のような恋をさせてやる。


「あー、オレ確か昼の授業で会長が体育で走ってるの見たぜ?多分ありゃきっと……」


「会長が……?」


 お?さすがにこの鈍感でも気づくか?


「さすが会長、頑張り屋なんだなぁ」


「……」


 教室はすごく静かで、仕分けたプリントをまとめているオレと冬樹の手元から鳴るホッチキスの音だけが聞こえている。そしてオレは一呼吸を置いて言った。


「うん、違うと思うわ!バカじゃねーの!」


「だっ、誰がバカだ!」


 この後、二人でギャーギャーと言い合いながら書類を終わらせ、帰るころにはすっかり日が暮れていた。おっと忘れるところだった、オレの名前は南坂夏(みなみさかなつ)。自然と周りの美少女とのイベントを引き起こし、それに気付かず、フラグを回収しないこの鈍感野郎の……幼馴染だ。この物語は、面倒ごとに巻き込まれる冬樹……に巻き込まれる大変なオレの日常。オレの友達がラノベの主人公なんだけど。まったくどーすりゃいーんだよ!

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