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65.不本意な本意

 ……ダンジョン運営かあ。マジで楽しそうなやつ出てきたねえ。


「……一旦スルー。一旦スルーで!」


 多分、一度始めたらのめり込んじゃうやつだ。せめてステータスの確認を終わらせてからにしないといけない。


「ふむ……【龍生九子】……あれ。デメリットスキルがごっそり無くなってる」


 肉体を再構築したときに、デメリットスキルも全部踏み倒せたってことなのかな?なるほど。これほどのメリットがあるのなら、3000回以上死んだ甲斐があったというものだ。


 じゃあ取り敢えず、【龍生九子】の確認からいくか。


――――――――――――

【龍生九子】

 あなたは龍の子でありながら龍ではなく、九つの姿を持ちながら一つの姿しか持ち得ない。龍にして龍でない角、爪、鱗、眼、そして器官を獲得している。

 このスキルは状態スキルである。

 このスキルにはレベルが存在しない。

 効果時間・永続

――――――――――――


 ええと。よく分からんな。


「まあ、実体かつ死体でないのであれば、まあいいかな」


 九つの姿、というのはよくわからないが。あと角?角生えたの?思わず頭に手をやった。


「……うわ、マジで生えてる」


 ちょうど、頭頂部とも側頭部ともつかない場所から、二本。にょきっと。触ってみる感じ、つるっとしていてやや枝分かれしている。そこまで長くはないし鋭くもない。


 もう少し詳しく見られないかな。鏡とか……剣でいいか。剣の刃に自分を跳ね返して見ると、頭から角が生えた緋い瞳の女がいた。……いや、私だけれども。リアルをフルスキャンしたはずなのに、こんな、勝手に変わることとかあるのか……。


 ……一旦、角と目は【偽装】で隠すとして。ちょっと、何処かしらでもっとちゃんと自分の姿を確認しておこう。なんか……流石に池とか何かあるでしょう。ホイホイ人前に出たら酷い目に遭う気がする。


 まあ、いつもの屋敷……【穢れた咎の領域】は今んとこ非公開らしいし、一旦ここに閉じ籠もっておけば誰とも会わないはずだ。ここで諸々の確認を済ませてから新しくタスクを設定しよう。


「新しいスキルは……特に何も生えてないか。相変わらず【無属性魔法】は使用不可と」


 じゃあ新装備だな。前まで拝借して着てた古びた礼服とは大きく様変わりしている。


「まず……【天衣無縫】だな」


――――――――――――

【天衣無縫】

 天人の衣のように、この世の束縛を感じない不思議な衣。あなたの一切を守り包むが、あなたの一切を妨げることはない。

 装備者に身体能力上昇(中)を付与。

 装備中はスキル【天駆】を使用可能。

 装備に魔素を流している間、防御性能が劇的に上昇する。

 装備箇所:胴体

 備考:破壊不可・譲渡不可

『純なる無二とせよ』

――――――――――――


 天人の衣。天人の衣なあ。言われてみれば確かに?


「……おお、ひらひら」


 改めて自分の装備を見る。……確かに天人っぽいというか、謎の布がひらひらしている。


「これ、どういう素材……?」


 私の体を改めて見ると、黒地に赤の縁取りのチャイナ風のジャケットを羽織り、下は半ズボンを履いている。このジャケット……つまり上着部分までが【天衣無縫】という装備らしい。


 だがジャケットと言っても決して固くはない。フィクションでよく見るように袖が大きく広がっていて、肩の可動域を確保するためかざっくりと切れ込みが入っている。背中側には長く尾のように長く垂れ下がっている布があるが、身体の前半分や裾そのものはあまり長くないから、動きやすさも担保されているな。軽く体を振ってみると、ひらひらと遅れてついてきた。


 ……うーん、謎素材。


 触るとシルクのようだが、しかし強靭さを感じる。そして極めて伸縮性に優れている。魔素を流してみるが、これも立てた板に水を流すようにスムーズに流れていった。


 しかも布だけと言うわけでもなく、曇りのない金色で縁取られ、しかも背中部分は金属の揺れる飾りもついている。優雅。それに、袖の中にはたっぷりとしたフリルが入っていてふんわりと広がっていた。パニエのような働きをしている。


 【天駆】なるスキルについては……後でまとめて調べるか。


 ふむ、ここまでが【天衣無縫】と。じゃあもうひとつの胴体装備を調べてみるか。


――――――――――――

【渾然一体】

 何処か混沌とした力を感じさせるインナー。それは混沌なる力を増幅しているのかもしれないし、封じているのかもしれない。

 装備者に発動した魔法効果上昇(中)を付与。

 装備者に魔素操作力上昇(中)を付与。

 装備に魔素を流している間、防御性能が劇的に上昇する。

 装備箇所:胴体

 備考:破壊不可・譲渡不可

『有為にして無為なるものよ』

――――――――――――


 うん、これがインナーとショートパンツの部分で合ってるみたいだな。ただ、普通にインナーというよりかは……その……露出が……。


 シルエットはまあ、おおむね普通。そもそもインナーだから許されてるだけで、身体にピッタリとくっつくのはちょっと落ち着かないけど。


 ただ……謎のスリットが入っている。


「……深すぎない?」


 鼠径部がちらりとのぞくほどにまでがっつりと。ふかーいスリットが。両方に。下着どうなってるんだと思ったが、そこは良い子のR15【クライシスオンライン】。どう動いてもなぜかぎりぎり見えない。


 あとなんか、揺れる玉飾りとか飾り紐みたいなのがショートパンツにもついてる。わー、脇腹……?から覗く飾りがセクシーだねえ。あ、鱗。【偽装】で隠しとこ。あとなんか太ももに謎ベルトもある。これ、よく見るけどなんなんだろうな。


「……あ!剣を引っ掛けられるのか」


 しかしなんとこのパンツ、見た目だけではなかった。きちんとパンツの腰回りはベルトで留められていて、しかも剣の鞘を通す場所までご用意されている。重力に負けやしないかと一瞬ヒヤッとしたが、謎のパワーで重さを感じなかった。すげー。


 太もものベルトは本当に飾りだった。解せぬ。


「うーむ……ますます頭装備だけ無いのが惜しいな……」


 まあ、この調子で他の装備も見ていこう。

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― 新着の感想 ―
要するに最近のアトリエシリーズくらいにデザイナーの性癖が前面に出てるわけですね
たぶん装備デザイン担当の渾身の作品だから…… 思いっきり癖を詰め込んだだけだと思うから……
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