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50.石橋を叩く

 ふぃー。なかなか準備も整ってきたんじゃ無かろうか。ちゃんと準備期間を設けるのは大事だね。それも私がやろうとしていることは、ただ【風化鬼】を敵として倒すんじゃなく、なんとか救うことだから。


 この数週間をまとめるなら、「身体を解してスキルを慣らしてボロい装備を脱いだ」ってとこだな。


 んで、そうこうしている間に【扶桑樹】は死んで……多分これはアルマがやらかしてるだけだからいいや。あとなんか人間が来たりもした。漏れ聞こえてくる会話的に、彼らはどうやらプレイヤーであるらしかった。


 最初はこっそり尾行して情報を得るだけのつもりだったんだけど、なんかバレた。たぶん向こうも【魔素感知】みたいなスキルを持ってたんだろうな。私は一応【偽装】でステータスを隠してたけど、肝心の気配そのものを隠し忘れていたってこと。いやあ迂闊だった……。


 まあ見られてしまったのはしょうがないってことで、無言で殺して追い返した。中々な脅しになったと思う。経験値的にも旨味があったので一石二鳥だったね。


 ……我ながら、悪役ムーブが板に付いてきてしまったなあ。おかしいなあ。ちゃんと【人化】するつもりだったのにな。


 まあ、必要であったから倒すしかなかっただけだし。私がユニークキャラクターだと知られたり、ボスが復活するかも分からない状況で【風化鬼】を勝手に倒されたりするのが一番困るわけだからね。


 基本的に、プレイヤーとNPCの見た目で分かる違いはほぼ無いわけだし、黙ってれば勝手に敵キャラだと思ってくれるでしょ。うん。


 ステータスと顔は【偽装】で隠したし、声はそもそも出せないから、個人を特定できるような情報は渡してないはずだ。


 と、言うわけで。ステータスはこんな感じになった。


――――――――――――

プレイヤーネーム・エナ

性別・女

種族・【ユニーク】影禍

レベル・52

スキル

【全属性耐性弱化】レベル3

【物理耐性弱化】レベル3

【魔法耐性弱化】レベル2

【全環境耐性弱化】レベル5

【日光耐性脆弱】レベル10

【虚弱】レベル21

【干渉力低下】レベル7

【感覚鈍麻】レベル6

【尸体】

【■■■■】(現在使用不可)

【無属性魔法】レベル1(現在使用不可)

【聖浄魔法】レベル21

【侵蝕魔法】レベル30

【闇魔法】レベル32

【影魔法】レベル32

【念動魔法】レベル28

【毒魔法】レベル11

【格闘術】レベル23

【剣術】レベル19

【支配】レベル1

【統率】レベル1

【魔素操作】レベル100(Max)

【魔素感知】レベル87

【偽装】レベル18

【龍脈活性】レベル6

【内丹】レベル9

【鑑定】レベル22

【採取】レベル1

【罠解除】レベル5

【人語】レベル1

【魔物語】レベル1

装備

頭部【古ぼけた官帽】

胴体【古ぼけた官服】

   【空きスロット】

腕部【翠玉の腕輪】

   【空きスロット】

脚部【古ぼけた袴】

  【古ぼけた木靴】

武器【■■の剣】

  【空きスロット】

称号

【名予想家】【事象の地平線】【残酷】【ビギナーズ・ラック】【天秤】【始祖】【同族殺し】【■■■■】【王の器】【曲芸マスター】【絡繰を知るもの】

備考:ランダム・ユニークキャラクター

――――――――――――


 レベルが上がった。デメリットスキル系はあまり下がらなかった。素の肉体が強靭になってきたから、「過酷な状況に身を置いている」って判定が厳しくなってきた……とか?


 例えば、スライムと人間。両方【環境耐性脆弱】を持っていると想定した時、「ちょっと暑いな」くらいのエリアでは、スライムは「過酷な環境」扱いになってスキルレベルを下げられるけど、人間はその扱いにならないから下げられない、みたいな。そういうのがあったりする?


 特に新しいスキルは生えてきていない。正直、プレイヤー……魔法使いのあの大技をパクったときになんか生えてきたりしないかな、って思ったんだけどね。


 見た、というか【魔素感知】で感じ取った限り、どうやらあのスキルはそれぞれ「多めに魔素を支払うことでクールタイムを短縮する」「多めに魔素を支払うことで効果範囲を広げる」「魔法を連続発動することで威力を増強させる」的な効果を持っていたようだ。


 だから、「多めに魔素を支払うことで効果範囲を広げる」と、「魔法を連続発動させて威力を増強させる」の二つを【魔素操作】で強引に再現してみた。


 あの時私が発動した魔法は、【ダークランス】【ダークスラッシュ】【ダークレイン】【シャドウボール】【シャドウクロー】だ。それを【偽装】で全部同じ【ダークレイン】に見えるように隠した。


 ちなみに、魔法を消してみせたあのトリックのタネも【魔素操作】と【偽装】だ。相手の魔法に無理やり干渉して、私の周りに着弾する炎だけは実際に消した。恐らく累積レベルの差でゴリ押せただけなので、2度はやらない。実際に消した炎以外は【偽装】で消えたように見せ掛けただけだ。


 まあお察しの通り、ものの見事に魔素がすっからかんになった。誰か一人でもあそこで生きてたら私の死亡が確定したね。


 でも全員蜂の巣にしてやったので無問題無問題。逃げればよかったのにねえ。門を【影操作】で塞いだのは私だけれども。


 いや、こんな外道の王道を歩むつもりは無かったんだよ。本当に。そもそも影で生まれるって、その時点で既に道を外れてるからしょうがない。


 この話はやめよう。


 次に重要なのは今着ているこの服である。劣化を防止する術やら何やらでも掛けられていたのか、ボロに比べたら随分綺麗なものだった。


 え、どこから手に入れたかって?家探しをしていたらタンスから出てきたから、有り難く頂戴したんだよ。勇者だって同じ事やるんだからセーフセーフ。


 まあいいや。【翠玉の腕輪】は地下の実験室にあった。どうやら体内の魔素を増幅させる効果があるらしい。まあ実際の効果はまるで体感できていないんだけれど、つけないよりマシかなってことで。


 じゃあ、そろそろ挑みに行こう。


 推奨レベルよりまだ低いから心許ないところはあるが、何せ私は5人で組んでるプレイヤーを追い返せたキョンシーである。キョンシーじゃないけど。


 ……そもそも、もうここまで普通のプレイヤーもやってきているんだから。うかうかしてるとここのクエストの存在がバレて、それを私が受注してることも露呈するかもしれない。芋蔓式に私が【ユニーク】であることすらもバレたらもうおしまいだ。


 ……悠長なことは言っていられない。何よりも_


 私は【風化鬼】()を待たせすぎているから。


 あなたの回向を、願いに行こう。

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― 新着の感想 ―
主人公の性格が変わりすぎていて設定がブレているように感じる。
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