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27.Who Wants to Be a Evoluver?

アルマとおはなし・後編。及び『先輩の気苦労』回

『と、言うわけで。なんで私がプレイヤーをキルしてたのか分かったんだ、って話をすれば良いんだね?』

〈そう。事と次第によっちゃあ、俺にも爆弾が括り付けられるが〉

『まあ簡単な話だよ。ある種族の進化規定にね、“プレイヤーを1人以上キルする”ってあっただけで』

〈アー爆弾括り付けられました!エナお前絶対に他所でそれ言うなよ!〉

『ええなんで……』


 そんな。そんなとんでもないネタだったりするの?なんで?


〈え、なんでってそりゃ……あー……。あのー……あんまりオンラインゲームやったこと無い?〉

『無い……です……』

〈ああうん……なのにランダムで影引いてプレイし続けるんだと思わなくもないけど〉


 言わないでよ自分でもそう思ってるんだから!


〈あのさ。プレイヤーをキルしたら隠し進化が出てくるって情報が表に出たとするだろ?〉

『うん』

〈そんでさあ、隠し進化先ってみんな見つけたいしなりたいだろ?〉

『そう、だね?』

〈……PK祭りになるぞ。少なくとも、現段階で言うべき情報じゃない。つうか何でそんなモン進化条件に設定されてるんだよ……!〉


 ……言われてみればそうだ。言われてみればそうじゃないか。マズいマズい、本当にマズいネタを引いたよ。ああ、いやでも、安心してほしい。キルだけじゃないから。


『別に特別な条件はキルだけじゃないよ。ええとね、【鬼】と対峙するとか』

〈あー別方向からまた爆弾括り付けられたわ!鬼ってなんだ鬼って!〉

『え?話すと長くなるよ。今私が居るところ、多分ダンジョンなんだけどね……』

〈待って待って待って。情報の濁流が流れ込んできてるから。ちょっと待ってくれ!〉

『何だって聞かれたから答えてるのに』

〈ごめんて。でも本当……心の準備ができるまでちょっと……〉


 ……確実に何か悪いことしたなあ、これ……。やっぱりアレ?ダンジョンスポーンもマズいネタだった?


『もう大丈夫そう?』

〈アー、ウン。大丈夫大丈夫〉

『その言葉信じるからな。でもこれも単純な話だよ、ボス部屋の隣のセーフティルームっぽい場所が初期スポーンに選ばれてて』

〈なあやっぱ前言撤回して良いか?全く大丈夫じゃなかった〉

『だめー。そのお隣のボス部屋っぽい場所に、ボスっぽい【風化鬼】って奴がいた』

〈アアアアア……〉

『もううめき声しか上がってない……ふふ……』

〈アー……その風化鬼?ってやつが、鬼と対峙するって条件をクリアした……のか?〉

『たぶんそう。そもそも提示された進化先っていうのが【ゴースト】と【ダーク・スピリット】、それとPKが条件だった【幽影鬼】ってやつで』

〈正統進化っぽいやつもちゃんとあったのか。良かった良かった……〉

『なんだと思ってるんだ』

〈え?歩く爆弾〉

『足が無いから歩く爆弾じゃないし!』

〈突っ込むのそっち?〉


 失礼な話だ。あの赤文字びっしりの進化条件のウィンドウ見せてやろうか。というか見せる。ちゃんとスクリーンショット撮ってるんだからな。……焦って操作ミスしただけなんだけれど。


『アルマアルマ。見て』

〈んぇ?ウワーーーーーッッッ!?!?!?!?〉

『声が大きい』

〈だって!!だってちゃんとジャンプスケアじゃねえかよ……!?『見て』じゃねえよ『見て』じゃ!〉

『これ、多分【唯一無二】の効果だと思うんだけど。ほら【ゴースト】って、前に掲示板で見た種族だったからさ、ユニークに当てはまらないと思ってて』

〈はーずっと心臓に悪い。そんでつまり?ユニーク以外に進化するのを阻害してくるのか〉

『一応進化先への選択自体はできそうな雰囲気だったよ。やらないけど』

〈まー勿体無さ過ぎるもんな。だとして肝が冷えるが〉

『それから【ダーク・スピリット】は、キャラクターレベルと【干渉力低下】、【侵蝕魔法】のレベルが関係してた。一番最後の【幽影鬼】は、さっきのに加えてPKと【鬼】だね』

〈しんしょく……?〉

『ああ、【侵蝕魔法】はね』

〈あーいい。そんな質問しなかったことにしてくれ。頼むから。えーと、進化先で悩んでるなら、俺は一番最後の【幽影鬼】を選ぶかな〉


 もうめんどくさくなってるなこいつ……。めんどくさいのは、まあ、分からなくもないけど。私は比較的初心者だし、あんまセオリーとか知らないし……。そう考えると何とも申し訳なさが募ってくる……。


〈エナ?〉

『あ、いや、なんでもない。なんで一番最後が良いと思ったの?』

〈だいたいのゲームのセオリーだけどさ。進化条件が厳しい方が強くてレアな種族だってことがよくあるだろ〉

『確かに。でもどちらにせよ【ユニーク】だけど?』

〈まあまあ。そこで“究極院”が公表してくれたユニークの定義が効いてくるわけだ〉


 あ。そんなのもあったな、聞き忘れてた。


『そのユニークの定義ってなんなの?一つしか無い生命体って意味じゃなくて?』

〈それも概ね間違っちゃいないが……正しくはその種族の“始祖”って意味らしい〉

『……始祖』

〈そ。【ユニーク】が発生した時点で、その種族とその下位種族が新たに生命の系統に含まれるんだと。だから、数が少ないうちにそれを追って調査してほしいって流れ……らしい〉

『新しく野生に湧き始めるってこと?』

〈そう。もちろん数は少ないけどな〉

『で、それがどう関わってくるの?【ダーク・スピリット】が発生するのか【幽影鬼】が発生するのかの違いしか無い様に聞こえるけど』

〈ま、ぶっちゃけこっからは俺の予想なんだけど。【幽影鬼】は【ダーク・スピリット】を包括した種族なんじゃないかって思うんだよ〉


 ふむ。流れ変わったな。


『その心は』

〈進化条件。マイナーチェンジと言うか、どう見ても亜種の隠し進化だ。少なくとも正統じゃ無いが、確実に【ダーク・スピリット】の系列でもあるだろ。なら、これからは【幽影鬼】と同時に【ダーク・スピリット】も湧く可能性がある〉

『あー……?その理論で行くと、逆に【ダーク・スピリット】を選んでも【幽影鬼】が湧くことは無さそうだしな……そう聞くと【幽影鬼】の方がお得感ある』

〈そういうこと。あとこれは持論だけど、どうせ一緒なら条件厳しい方を選ぶのがお得じゃないか?〉

『あー……』

〈まあ最後はエナの好きにすりゃ良いよ。エナのゲームだからな〉

『んー……確かに、どうせなら【幽影鬼】を選ぼうかな。【ダーク・スピリット】も良いけど、やること変わらなさそうだし。より予測不可能で魅力的なのはこっちかも』

〈お、じゃあ通話もそろそろ……〉

『【幽影鬼】に決定』

〈え?エナ?おい?〉


『受理しました。幽影鬼に進化します』


 さて。今度はぐにゃっとくるのかヒヤッとくるのか……さあ来_


『あ゛ぅっ……!?』

〈へ?〉


 _痛い。痛い!また全身グチャグチャに掻き回されてる感覚は同じだけれど……う、ぐ……!痛い、この腹は空っぽのはずなのに、内臓が引き伸ばされて、縮められて、殴られて、撫ぜられているみたいだ……!もちろん、これはVRゲーム。当然ながら幾らか痛覚の再現は抑えられているはずだけど、それでも……それでも相当に痛い。全身をこねくり回されているような弄ばれているような、作り変えられているような壊されているような……なのに、何故かほんのりと悦を覚える。あは、なんでだろ……。


『あ、はぁ……っ!』

〈……あのー……〉


『幽影鬼“エナ”の安定化を確認』

『進化完了』

『称号獲得:【唯一無二】』

『称号【唯一無二】が【唯一無二】と統合されました。位階がⅡに昇格しました』


『ワールドアナウンス:ユニークキャラクター【幽影鬼】が発生しました。世界任務ワールドクエスト【無二の生命を追え】の目標が更新されます』


『は……っ……』

〈あのな、ええと、いろいろ言いたいことはあるが〉

『……あれ。アルマ。もしかして聞こえてた?』

〈……きこえてた〉

『ありゃごめん、心配しないで。進化のときは大体こんな感じで……』

〈うん、もういい聞かない。心配……ウン、心配もしたからな。今ここで進化すんなよ……アー……〉


 あちゃあ。すみません。配慮が足りませんでした。

《オマケ・アルマ視点》

『アラート:心拍の異常上昇を確認』

『アラート:尿意が近づいています』

(うるせー黙ってろ!!!!!!)


苦痛と悦の入り混じった、どう聞いても喘ぎ声過ぎるボイスを聞かされたアルマ先輩の明日はどっちだ!

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― 新着の感想 ―
アルマ『エッッッッッ!』
えっちですねぇ!
尿意(意味深)
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