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24.マルチプル・タスク

 あーうんうん。西と東にはそれぞれ2階もあったのか。こう感覚に乏しいと、未探索領域が結構デカくなっちゃうのがちょっと悲しいな。ぐに。


 ぐにぐに。おっと、忘れずに【影操作】の【スタンバイ】。ぐにぐ……接敵!自動発動【シャドウクロー】!こいつ硬いな、まだ死なないか。じゃあ【ダークバースト】からの【影の霧】、【魔素操作】で足止めしつつ退散。と、見せ掛け【影の霧】から【シャドウエッジ】。たぶん串刺しハリネズミ。こういうとき思うよ、目が見えなくてよかったって。


称号タイトル獲得:【曲芸リーグの四天王】』

『上位称号を獲得:【大道芸バスキングジムのリーダー】が【曲芸リーグの四天王】に統合されます』


 出やがったなアホ称号!


――――――――――――

【曲芸リーグの四天王】

 スキルを3つ以上同時に展開し、連続攻撃を中断されずに叩き込む、華麗で珍妙な技術を身に着けたものに与えられる上位称号。

 隠し称号:スキルを複数同時に展開する際、全てに効果補正(中)

『奴は四天王の中でも最遅……』

――――――――――――


 ……あ〜……効果はちゃんと強いのが尚のことムカつくんだよな……。


 おっと失礼。実はもうかれこれ1週間ほど曲芸探索者をやっております、唯一無二の魂のエナです。ごきげんよう。


 と、言うわけで。私は今、傍目から見れば意味も無く魔素を練り上げながら影を動かし闇を放って自分は流されているという愉快な状況を1週間も続けている。私じゃなかったら飽きるんじゃないか?


 ……飽きないか。自分でこんなにおもしろい状態になれるのに。こんなにバカみたいな事やっても誰にもバレないなんて最高!己を解放しよう。うおおぐにぐに!ぐに……ぐにぐには飽きたかな。


 そもそも、もう『ぐにぐに』なんて程度のものじゃない。ぐるんぐるんだ、ぐるんぐるん。庭や北の母屋に居た弱めの餓鬼程度なら【魔素操作】で結構押し流せるくらい強くなった。西と東の屋敷の餓鬼はちょっと強めらしく、まだ押し流すには厳しいけれどね。


 しかもこのスキルの何が面白いかって、【魔素操作】で魔素を濃くしたところに魔法をぶち込むと連鎖爆発みたいにダメージと範囲が上がる。


 つまり、【魔素操作】で敵を押し流す→一箇所に魔素ごと敵をまとめる→魔素濃度も魔物密度も高くなった場所に魔法ドーン!殲滅!というコンボが可能になったってこと。今のところ【闇魔法】で試しているけど、あまりにも面白すぎる。【火魔法】とかでやったらとんでもないことになりそうだな……。逆にこれ、魔素の薄いところに敢えて魔法をスタンバイさせて、準備ができたら一気に濃度を上げて起爆、とかもできそう。夢が広がる。


 ま、【魔素操作】で敵を流してる間も自分自身は無防備だから、危なくなったら即離脱するために自分の周りの魔素にも気を配らないといけないんだけど。その辺の複雑なマルチタスクはまだまだもうちょっと頑張らないといけないってところかな。


 さて、今のレベルは……。


――――――――――――

レベル・38/40

――――――――――――


 うん、これなら今日中に進化まで行けそう。何かアクシデントがあっても明日。前の種族や前の前の種族よりもレベルアップのペースが速いのは、恐らく戦闘を重ね続けながら同時並行でスキルのレベル上げもしているからだろう。ぐにぐにだけの時期と比べたら、単純計算でも数倍になってるはずだ。


 しかし、進化か……。探索を続けてもやっぱりリスポーンポイントの更新は出来てなさそうだから、死ぬのは避けたいけど。でも最悪死んだとしてもまだデスペナは無いし、マップはざっくり頭の中に入ったから、そんなに消耗せず探索を再開できるはずだ。


 ん〜……。ちょっと無理して進化を急ぐか、一旦出来る限りレベル上げだけして、場を整えてから進化するか……。でも、あの変な感覚を受けている進化の最中、身体の操作はうまくいかないんだよね。その間にタコ殴りにされたら、さすがに死んじゃうかな。


 うーん……レベル上げはそんなに無理しないようにして、屋敷の二階を探索する。探索目標としては、出来るだけ敵の少ない……私が最初にスポーンしたような部屋を見つけるのを最優先に。上手いことそれを見つけられたら、準備を整えて進化しよう。


 いざゆかん、二階!勇んで無い足を踏み出した……ところでやっと思い出す。


「……(【魔素操作】やってなかった!あぶな!)」


 このままマヌケに階段へ頭突きしてすり抜けるところだった……危なかった、本当に。というわけで。上向きに流れを作り、それに乗る。……あーでものろのろ。上向きの流れを想像するのって難しいから……。動けるだけマシと考えよう、本当。ずるずる這いつくばって藻掻いて動けなかった頃と比べるとかなりマシだ。


 よっこいしょ。割と狭いんだな、この階段。ここで敵に襲われたらやばいぞ。【影操作】から【スタンバイ】状態にしておいて……いやあ、まさか【影魔法】がレベルを上げれば不満点を解消できるタイプの成長をする魔法とは。ありがたい限りだ。


――――――――――――

【影魔法】レベル5【スタンバイ】

 事前にコストを支払い、攻撃行動を取った意識外の敵対存在へ【影操作】を経ずに【影魔法】を自動発動する。

 自動発動される【影魔法】は現在習得している【影魔法】の内、攻撃魔法から一つ事前に指定する。

 コストは指定した【影魔法】の1.2倍。

 魔法を自動発動する度に【スタンバイ】状態は解除される。

 高レベルの【鑑定】は【スタンバイ】状態を看破できる。

 現在:【シャドウクロー】スタンバイ中

『意識は光、無意識は影』

――――――――――――


 はい。オートカウンターです。これのおかげで考えることがちょっと減ったのが嬉しい。もちろん【魔素感知】はアクティブのままだから、ちゃんと事前に不意打ちはわかってるんだよ?だけどまだ、多数での不意打ちに対して気軽に打てる攻撃を持ってないから。


 そんなこんなで発生の速さとコストの低さを考えて【シャドウクロー】をスタンバイに。ダメージはちょっと心もとないけれど、一瞬でも向こうが怯めば攻撃を叩き込むのは簡単だしね。


 よっこいせ。ああ、上の方はちょっと魔素が薄いんだ。魔素にも下の方に溜まって淀む性質とかあるのかな?


 さてと、じゃあセーフティルームを探しつつレベル上げを_


『ミニ・ダーク・スピリット“エナ”が複数の進化規定を満たしました』

『進化先を選択してください』


 _今かよ!?やること多いな!?

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― 新着の感想 ―
これは一人遊びの達人。同類として期待せざるを得ない(w
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