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118.水鏡先生

 転移。またあきれるほどだだっ広い広間に出る。


「ほっほっ、すまんな。お主の洞天であるにもかかわらず、言付け一つで勝手に上がり込んでしもうて」

「棹君、さん……ですよね?こちらこそすみません、ご挨拶にも伺わず……?」

「物覚えの良い子じゃの。よいよい、そのような堅苦しいことは無しとしよう。月琴めが教えなかったんじゃろ、あ奴はそう言う者よ」


 にこにこと笑って私の洞天……【混沌なる穢那の領域】で待っていたのは、ザ・仙人といった長い白髪に長い白髭に長い眉毛のおじいちゃん。棹君と言う名の通りに、長く細い竹の棒を持っている。


「さて……歳の見込んだ子と聞いたが、なるほどのう。邪道を往き仙人となったが、既に地仙まで至ったか。面白い」

「ははあ……?」

「ふむ。おや?なるほどのう。半身のようなそうでないような奇妙な気配もする。それから、嫌に背筋が泡立つ懐かしい気配にも触れたようじゃの。地上で起きたこと、あの若造へあまねく話してやると良いじゃろう」

「若造?」

「歳じゃ、歳。あれはいつまでも子供らしいところが抜けぬわ。お主に気まぐれに力を認めたのも、思い立ったように半身を呼び付けるのも、何かしらをわしに相談してくるのも……実に子供らしいものじゃ」


 ……何もんだこのおじいちゃん。いや、だいたい分かってはきてるんだけどさ。


「……その。これからあなたを質問攻めにしても?」

「ほう?……ふむ、わしも永らく人と長話をするということが無くてのう。かけられる時間の限り話すと良い」

「ならお言葉に甘えて。……貴方は、歳王が歳王になる以前の彼を知っていますよね?」

「そうじゃのう」

「彼が罪人であったことも、その理由が食糧をくすねたからであることも、動機が近しい人間のためであったことも、そのために彼以外の全員が処刑されたことも知っていますか?」

「ほほほ。どれほど前のことじゃったかの……。わしとしては、お主がそこまでのことを見られるとは思っていなかったが……なるほど、地仙として得た力か」


 え、そうなの?


 ……というか、ほんとだ。称号が【尸解仙】から【地仙】に変わってる。アナウンス無しで変わるの、ちょっと酷くない?


――――――――――――

【地仙】

 摂理を外れ世を漂い地の上で永く生きるものへ与えられる称号。一部キャラクターに中位の仙人として扱われる。

 天下に一つの権限を認められたことを祝おう。

 隠し称号:空腹度減少速度低下(大)、スキル【神通力】取得

『三百の徳を積み、世を流離おう』

――――――――――――


 あ〜〜ん……???【神通力】……?


――――――――――――

【神通力】

 龍脈を通じ過去を見る力、【宿命通】を使用可能。

 ■■に影響を与え、其を鎮める力、【■■■】を解放する鍵である。

 このスキルにはレベルが存在しない。

【■■■】を解放していない、もしくは500レベル未満のキャラクターがこのスキルを使用すると、ランダムなデバフが500−[現在レベル]スタック付与される。

『無為自然に触れる』

――――――――――――


 あ〜〜〜んなるほど【宿命通】。……絶対こいつのせいだ。あの嘔吐は絶対これのせいだ。


 前ブルームのレベル上げに付き合ったっきりレベリングはやってなくて、しかもなんかめっちゃレベル上がりづらかった。だから今の私のレベルはそんなに高くない。せいぜい30ちょいとかのはず。前に軽く計算した累積レベルが150とかそこらだったはずだから、まだ180ちょっとくらいのはずで……。


 つまり、あの昔話というか神話というか、あのムービーを【宿命通】で半ば強制的に見せられた後に【吐き気】スタックを食らったのだとすれば、食らったスタックは320くらい。吐き気320!?そりゃ友達の枝に戻しもするよ。むしろ予告できただけ褒めてよ。龍生九子ボディつえ〜。


 あとはアレか、常時発動してた【龍脈活性】がもたらしてくれる【調律】状態。あれの状態異常自動回復が発動してくれたのかも。


 え〜と、そうすると今度は【調律】が発動しなかったアルマの胞子の効果が激ヤバということにもなるんだけど。まあいいや、アルマがヤバいを超えたヤバいなのもそうだし、それから私が受け入れてたからとか始祖のスキルが直接ぶっ刺さったからとか、まあ色々あるんでしょ。たぶん。


「地仙として得た力みたいですね……」

「ほほ、なかなかな顔じゃの。過ぎた力で相当ひどい目に遭ったと見た」

「まあ、ええ。それで、過去の歳王とは、いつどこで出会ったのでしょう?」

「詳しく覚えてはおらぬよ。アレが罪を犯す前なのは確実じゃがの」

「その理由は」

「何、そうおかしなことでも無い。まず、アレに『命と約束の神』を教えたのはわしでの」


 はい?


「……は、はあ……?」

「昔の昔の話じゃ。歳、アレはわしの教え子なんじゃよ。元は地主の倅でのう、優しいが地主には少々頭の足りん奴でもあった。案の定罪を犯し、そのしっぺ返しはむごいもんじゃったな。とは言え、やったことを裁くにもわしでは足りんでのう。罪をすすぎたいのなら神に頼めと言ったんじゃ。本当にやるとは思わんかったが」


 なんて?


「つかぬことをお聞きしますが」

「なんじゃ?」

「なんの先生で……?」

「仙術じゃ、仙術。霞を食い永く生きて世を流離う法よ。わしが最初の仙人で、アレが最初の弟子じゃ」

「……ええと。じゃあ貴方も、神に頼んで永遠の命を得たと……?」

「そうじゃ。それ_神の実在を教えたのはこの世でたった二人……歳と久だけだったんじゃがの」


 ……何か知らん名前出てきたな。


「久があれほどの愚行に走るとは思わんでの。誰が思うか?神を喰らって永遠の血肉とするなど」

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― 新着の感想 ―
ていうか命と約束の神が元々一つだったってことは、既に代理命の神になってるアルマと、その内代理約束の神になりそうなエナの二人の力が、いつかなんらかの調和や協調を果たすかもしれないの盲点すぎる コンビ技と…
あ〜、お名前が出てきたぞ
仙術があれば神を喰らわずとも永遠の命を手に入れられるってことか?
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