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11.順当で予想外

 あ、女騎士は一撃必殺じゃなくて連撃で崩しにかかることにしたのか。


 ごきげんよう、もう人類体のほうがお馴染みですね。本当にそうなれる日がいつ来るかはわからないエナです。


 今は相変わらずアルマと決勝戦の観戦中。女騎士は戦闘スタイルを変え、加速などの補助スキルではなく連続斬りといった直接的な攻撃スキルでの攻撃にシフトチェンジしたようだ。


 今のところ女騎士が押しているようだが……押し込み過ぎというか、マントが防戦一方でかなり消耗させられている。驚くべきは、女騎士がほとんど疲れた様子を見せないところだろう。


「お〜……反撃の目を潰しつつ耐久戦に引き摺り込む感じか?」

「倒せないならタイムオーバーを狙うのかな」

「削りで無理やり体力有利にする、もしくは連ガでスタン値貯めて崩す的な?」

「れん……?」

「エナは格ゲーやんない派か」


 伝わらない例えだった。全然対戦アクションやってなくてごめん。私がやるのシ◯ンとかのターン制ゲームだから。


「でもこうなると、マントは防戦一方から打開できなさそう」

「んあ〜……絵的に映えねえのがな」

「まあ、興行的にはちょっと。……勝ちたいのならしょうがないだろうし、むしろ運営のテコ入れが一切無い証明でもあるか……」

「まあどうせ、膠着した勝負なんて大体最後は我慢比べだからなあ。マントか女騎士さんか、しびれを切らして大技使ったほうが負けるのは確定だろ」


 概ね一致。そして、NPCが映えない動きをしているということは、自ら作戦を立てて戦っているということでもあって。まあ、ちゃんと横槍の入らない格付け勝負になるんだろう。


「大会の1先はこういうこと起こるのがな〜」

「?」

「あー、あの、一本先取」

「ああ。確かに少し運要素の強いシステムではあると思う」

「だからこの二人が勝ち上がったんだろうな。マントは大技に賭けて、女騎士さんは徹底的に相手対策して、それぞれワンチャン掴みに行ったわけだ」

「でもそれは……レベルやスキル、実戦経験の差を覆すだけの戦略が許されている証拠でもある」

「確かに!そう考えると悪くないプロモーションかもな。どうせ実際の戦闘は一回の勝ち負けで全部決まるんだから」

「そう聞くと、実戦を想定した勝負としてのルールの可能性も考えられるね」

「あー。あるな」

「まあ、この二人はそれほど経験値的に離れてるわけじゃ……おや」


 防戦一方だったマントの動きが変わる。なるほど、君が先にしびれを切らしたか。マントはこっそりと、しかし大胆にも両手に大きく魔素を集め始める。騎士団長戦で見せたアレだ。つまり_


「負けたな、あのマント」


 あの女騎士は侮れない。一度見せた戦法は即座に看破するだろう。しかもその相手が、絶対の格上というわけでもないのなら。


 負けるだろう。あの魔法使いは。奥の手を隠したばかりに。


 炸裂。


 魔素が爆ぜる。土煙が立つ。


 空間が歪んだ。靄が晴れた。


 世界から音が消えて_一瞬の後、轟音が響く。


「……ほらね」


 開けたコロシアム。時が止まったかのようなそこに_女騎士が立っていた。コロシアムに、まるで爪痕のような巨大な剣傷をつけて。


『…………ッ決まったァァァァァァァァ!!!!!勝者ウィナーッ、【西風】のフィアぁぁぁぁああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!』


 すわ衝撃波かと思ったほどの、巨大な歓声が背後から聞こえた。


「はー……最後は見応えあったな」

「ええ。でもこれで予想的中」

「よそう……?そんなのもやってたな」


『ミゴトに優勝予想を的中させたアンタらには……【経験値上昇のポーション】3つと、称号タイトル【名予想家】をプレゼントするぜ!!』


――――――――――――

・【ファスティア】よりプレゼントが届いています(New)

※メインインベントリの空き容量が不足しています。

※現在の種族ではメインインベントリを使用できません。

※アイテムは一時保管されます。インベントリを解放した後、各セーフティエリアの【大倉庫】から引き出してください。

――――――――――――


 よし、プレゼントの受け取りが……できない。なぜ。


 何々、メインインベントリの空き容量が無い、今の種族だとメインインベントリが使えない。


 ふんふん、インベントリはアバターにそれぞれ付与されていると。それでメインインベントリっていうのが、通常のアバター固有のインベントリ。今私が使っているのはイベント用アバターのためのイベントインベントリで、容量や中身をそのまま引き継ぐことはできない。


 で、私はメインインベントリが使えない。


 () () () () () () () () () () 使() () () () ?


「そんなばかな」

「……エナも使えないのか」

「アルマも……アルマもそうか」


 まあ、魂がインベントリを使えてもおかしいか……。アイテムはちゃんと保管してくれるのか……じゃあ……じゃあ……。


「なんにもよくない」

「ホントだよ」


 確かに書いたよ誓約書。「ゲーム体験を著しく制限する可能性がある」とも書いてあったこと、覚えてる。


 けれど。けれど!!!!!!


「そうはならんやろ、というやつか……」

「なっとるやろがい、ってやつだな……」

誓約しちゃったもんね^^

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