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腐女子に明日はあるか?

作者: しろかえで

今日は安全安心のしろかえでです!!






 ウチのじいちゃんは団塊の世代の人で娘が三人居る。


しかし……

その末娘であるウチのママの次女の私に至るまで全員女性!!という典型的な女系家族で、『男が産まれたら“丈”と名付けたい』というじいちゃんの夢は叶ってはいない。


 私が()()()()()()女だと分かった時、ママが「もう、丈子たけことか(ひろこ)でいいじゃない」と言い放ったって話を聞いて……私はママに少なからず恨み言を垂れたのだが……

「あの時はお前のせいで酷いつわりだったのよ!!」と逆襲された。


 この件については……ママは私に『心優(みゆ)』という名前をくれたから許してあげるが、じいちゃんからは私が就職するまでお年玉をせしめるつもりだ。


この程度で許してあげるのは私の…『“心優”と言う名前のおかげ』と感謝してもらいたい!


 ちょっと鼻息が荒くなったが、何が言いたいかと言うと

「私は自分の名前をすっごく!気に入ってる」ということだ!!


まあ……本当言うと気に入ってるのは名前だけなんだけどね。


 ウチのママもパパもしっかり二重なのに私は一重!それに“にんにく鼻”!!

どうやらじいちゃんからの隔世遺伝らしい!!

親戚一同からは「まあ~!! おじいちゃんそっくり!!」

と昔からデリカシーの無い言葉を頂戴してる!!


 そんな私だからドラマやアニメに出て来るような煌めく恋愛なぞ訪れるはずもなく、スマホの中はBL系の小説やマンガで溢れてる。


どうせ現実から離れるんだったら絶対交わらない世界がいいでしょ?!


あっ!! 『交わる』って変な意味じゃないよ!!



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「木ノ内は行かねえの?」と夏期講習の最終日に隣の席の矢口に聞かれた。


『行かねえの?』とは南町で今週末に開催される『星まつり』の事だ!


「んー! 小学校の時は両親と行ってたけどさあ~」


「えっ?! 小学生になっても親同伴なの?!!」


「普通でしょ?! それ!」


「いや、普通にダセぇだろ!」


「そりゃ矢口が男子でワルガキだったからだよ!」


「そんな事ないさ!2組の唐沢さんだって来てたから……お前の説だと唐沢さんもワルガキって事になるぜ!」


「唐沢さん?! あの子だったら男子がこぞってエスコートしたがるでしょ?! 特にアンタみたいなワルガキが!」


「ひっでーなー! 単にお前が“箱入り”だっただけじゃん!」


この矢口の言葉に私はカリッ!とした。


 それこそどうひっくり返しても“箱入り”とは縁遠い私が誰からも“エスコート”されないのは……唐沢さんの様に見目麗しくないからだ。


私の頭の中に……木枯らしが吹く野っ原に打ち捨てられたダンボール箱が浮かぶ。


その中でミャアミャアと鳴いている子猫たちの中で一番の()()()がこの私で……最後は“おしくらまんじゅう”をする相手も居なくなってひとり寒さに震えている。

ああ!!悲惨!!


「ええ!ええ!そうですよ!! どーせ私なんか“野っ原に打ち捨てられたダンボール箱”に入ってますよ!! 文句ある??!!」


「何、言ってんの?!お前!!」


「分かんないの??!!」


「ああ!ちっとも!!」


私は完全に頭に血が上ってまくし立てた。


「私はね!!自分の事を『魅力のないオンナ』だってわざわざディすって差し上げてんの!! それが分からないなんて!どんだけ頭がカボチャなの??!!」


「だってお前! 魅力あるじゃん!!」


「どこがよ!!!」


「えっ?! 胸とか……」


パアーン!!


皆まで聞かないうちに私が矢口のほっぺたを張る音が教室中に響いた。



傷付いたフリで泣き真似して教室を飛び出したが……

我ながら会心の一撃だったと思う。



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「で、泣き真似して出て来たの?? ウケる~!!」


ブリックの牛乳パックを飲み干そうとパクパク言わせながら結衣はケラケラ笑う。


「いけね~!! 鼻から牛乳が出そうになった!! 心優のせいだ!!」


「はあああぁぁっ!!アンタが勝手にウケてんじゃん!! 私を慰めようって気が無いの?!」


「あったよ! でも全然大丈夫じゃん!!」


「そうストレートに言われるとちょっと傷付く」


「付かない付かない! 心優は強い子!!」


「もう! アンタまで私をディすんないでよね!」


「ゴメンゴメン! でもアイツも今頃は反省して……お詫びのメールくらい来るかもね!」


「なんでさ?!」


「心優のメアド、教えておいたから!」


「アンタね~!!勝手に」と言い掛ける私を手で制して結衣はもっともらしく説明した。


()()()()()()なんかでアイツに謝らせたら、アンタ!今度こそ、アイツ推しのオンナどもからミンチにされるよ」


「ええ~!! アイツにそんなのが居るの??!!」


驚く私に結衣はため息をつく


「教室のアンタの席だって彼女達からすれば『プレミアムシート』なんだから」


「ゲゲ!!知らなんだ!! 売れないかな?」


「まだ席順が『番号くじ』の状態だったら売れたかもね!」


「ああ!惜しい事をした」



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 結衣の前では強がっていたけど……そんな事くらい私はとうに知っていた。


『プレミアムシート』が売れるとしても……

過去問では無くこれから行われる定期テストの模範解答を事前に一年分くれるくらいじゃないと売り渡せない!!


でも、私の“恋ゴコロ”は結衣にはバレバレだったようで

「ああ!! 心優の“おっぱい”は私だけのものと思っていたのに~!!」と嘆いて見せて

私に「セクハラ~!!」となじられ、“百合的な”グフフ笑いを洩らしていた。


 実は結衣とは……あの“唐沢さん”の事で、我が校の中ではトップクラスの“顔面偏差値”(しかも可愛い部門)を叩き出している。

 私達は1年生だから、結衣はセンパイ達からも度々告られ、そのたびに「私、好きな人がいます」とお断りしている。


その時の一部始終を私に都度報告して「だって、私の“推し”は心優なんだもん!」と抱き付くのが結衣の趣味らしい。

 これも一種の『蓼食う虫も好き好き』なのかと自虐的に考えてみるが、それ以上に私のせいで男子が泣いているのは小気味よかったりもする。



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 家に帰ってスマホを見てみると、いつの間にか矢口からメールが来ていた。


「お詫びに星まつりに行きませんか?」


たった一言のメールに……


「どっちがどっちのお詫びなんだ?!」とツッコミを入れながらも思わず頬が緩んで来る私は……グフフ笑いを洩らしていた結衣と同じだ!


「まあ! 恋愛も大事だよね!!」


まるっと宗旨替えの私は、“お姉たちのお下がり“じゃない新しい浴衣をじいちゃんに買ってもらおうと画策するのであった。



                            おしまい





昨日は黒姉が黒い物を流してしまい申し訳ございませんでした<m(__)m>



今日は健全!!……ですよね??(^^;)



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

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[一言] うふふ♪ 青春ですねぇ〜♪  (*´艸`*)
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