第74話:母達をビデオに撮ろう
母達の故郷をめぐり、お盆のお休みもすぐに終えると。
母達はまた忙しい日々。
雪人とアカネは、学校の宿題も早々に終わらせて、のんびり。
節度は守りつつ、イチャイチャは続く。
アカネの肩を抱いたり。ハグしたり。膝の上に乗せたり。
このあたりは、以前からもしていたので、雪人も、平気。
キスも、大人のキスも、練習して、できるようになっている。
ここまでは、スキンシップやコミュニケーションの一環の段階。
問題は。
上記以外の、上記以上に『高度な』スキンシップ。
本で読んだり、ネットで調べたり。
『やり方』は理解できても。
いざ、実際に、となると。
なかなか。
そこで。
アカネと母達の女性陣三人が考えたのは。
もっと身近なサンプルを見せよう、と。
母達の愛し合う姿を映像にして。
雪人に見せれば?
決行は、定番の、雪人のアルバイトの日。
美里も別に用事があるから、と、いつもの車での送迎を辞退して。
雪人には、時間のかかる電車での移動をお願い。
晩御飯も、別々で、と、お小遣いも渡して、時間を確保。
雪人がアルバイトに出かけて、しばし。
母達の寝室に、集合。
この日のために。
ビデオカメラも、購入。
「使い方、大丈夫?」
「うん、多分、大丈夫」
ちなみに、アカネは、あまり機械が得意では、ない。
「じゃぁ、撮影の練習も兼ねてぇ、ちょこっとぉ、やって、みましょうかぁ」
「らじゃー、撮るよー」
カメラを二人の母に向け、レコーディングボタンを押す、アカネ。
「うっ……なんか、そう言われると、やり辛いわね……」
「んふふ。いつも通りにぃ、やればいぃ、のよぉ」
ベッドに並んで腰かける二人。
雪枝が先導して、美里を抱き寄せて、顔を寄せる。
「ん……」
並んで、座ったまま、軽い口付けから、じょじょに、深く。
「ぉお……」
カメラの液晶ファインダー越しに、二人の母を録るアカネが感嘆する。
時々、カメラのズームを動かしてアップにしたり、引いたり。
やがて。
雪枝の手が、美里を。
「ごくり……」
アカネが普段、リビングで見かける母達のスキンシップよりも、さらに高度なスキンシップに息を飲む。
そして。
ゆっくりと、美里をベッドに横たえ、雪枝が身体を重ねる。
いよいよ!
と、いったところで。
「ストップ! ストップ! 雪枝さんっ!」
急に。
美里が、雪枝を拒絶。
近付く雪枝の肩に手を伸ばし、押し留める。
「?」
「ど、どうしたの? お母さん」
アカネもファインダーから目を離し、直接に母を見、声をかけると。
真っ赤になった美里が。
「これ、駄目だわ……恥ずかしすぎる」
真っ赤になった顔を手で覆い、美里が小さくなる。
「娘に見られながらなんて、思った以上に恥ずかしいっ!」
「あー……」
「えー……」
アカネにしても。
大丈夫と思っていたが、かなり、中てられている。
顔が上気。
紅くなり、熱を帯び。
「うん、これ、アウト、かな?」
作戦、大失敗、の、巻。