第72話:暴かれる雪人のほにゃらら
母達の二度目の夏休み、お盆休みは。
母達の親の墓参り。
雪枝の母親と、美里の父親のお墓を順に巡る。
母二人の、ある意味共通点。
共に片親で、共に既に他界している。
なので、『雪人くんオオカミさん化計画』は少し、お休み?
雪枝の故郷で、雪枝の母の……雪人の祖母のお墓にお参りを済ませ。
美里の生まれ故郷へ車で移動の途中。
避暑地の温泉宿で、一泊。
宿は、出来る副社長、美里が手配。
「雪人くんと同室って、久しぶりっ!」
「まぁ、母さん達も一緒だし、問題は無いかな」
家族で一部屋。
残念ながら、色々と事情もあって『家族風呂』は叶わず。
食事を摂り、温泉も堪能して、夜、就寝時間。
「アカネも、母さん達も、浴衣の下にはちゃんとインナー着けてよね」
雪人が、女性陣に釘を刺す。
「えぇ? 暑いわよぉ」
「うんうん。風情が台無しっ!」
「ぶーぶー」
もちろん、女性陣からは、ブーイング。
「だめ。寝てる間に前がはだけたりするんだから、せめてキャミとショーパンを」
「雪人くんのパンツじゃだめ?」
アカネのボケなのかマジなのか分からない発言に。
「ダメに決まってるでしょっ!」
雪人が朱くなる。
「そう言う雪人ちゃんは、何着てるのかな? 胸元見えてるし、Tシャツじゃないよねぇ?」
と、美里が、雪人の浴衣に手をかけると。
「ちょっ!? 美里ママっ!」
雪人がかわす間も無く、浴衣の前がはだける。
「え……?」
「え……?」
「えぇ!?」
えええぇ、の、三重奏。
はだけた雪人の浴衣の中から出て来たモノは。
「キャミソール……」
「いや、これ、意外とTシャツより涼しいしっ! ひんやりして気持ち良いんだよっ!」
弁明する、雪人。
「まさか、下も?」
さらに手を伸ばす、美里。
「あぁっ! 待って、待って、美里ママっ!」
逃げる、雪人。
「アカネっ! 雪枝さんっ!」
「合点っ!」
「はいはぁい」
追う女性陣に、あっさり取り押さえられる、哀れ、雪人。
「ぎゃーっ!」
ぺろり。
美里が雪人の浴衣をさらにはだけさせ。
アカネが、雪人のショートパンツを剥ぐと。
「ぉぅっ! 例のっ!」
アカネには、見覚えが。
そう、コンビニエンスストアで仕入れた、例の。
「雪人ぉ……」
「雪人ちゃん……」
母二人は、初見。
まさか。
「男子に戻ったと思ったのに、実は、中身はすでに女性化済み?」
美里の、洞察。
「いや、これは、その、あの、えっと、〇×%△$×□%〇」
しどろもどろの、雪人の弁明。
要約すると。
①涼しい
②肌触りが、良い。
③収まりが、良い。
らしい。
こっそり仕入れて、こっそり洗濯もしていると、明るみに出る、事実。
「うぅ……寝る時だけだよぉ。普段は着てないよぉ……」
涙目、雪人。
「まぁ、でも、次のアルバイトでは、さらにパワーアップしたユキちゃんが見れる、と」
何故か見当違いなまとめに入る、美里。
明日はその、美里の故郷へ。