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第5話:登下校の風景



「じゃあ、行きましょうか。忘れ物はないわね?」

「はーい」


 母・雪枝の合図で、玄関に集まった四人は次々と外へ出る。


 朝の風景。


 四人は朝、ほぼ同時に家を出る。


 会社へ。学校へ。


「行ってきまーす!」

「気を付けてねぇ」

「母さん達も、気を付けて!」


 アカネが、玄関からガレージに向かう母二人に元気よく告げる。


「行こっ!」


 そのアカネに左腕を取られ、半ば引きずられるように歩き出す雪人。


「……」


 左腕に抱き着かれて、柔らかさに違和感を感じながらも拒絶することはしない……できない雪人。


 比較的背の高い母・雪枝に比べて、息子の雪人は小さい。


 身長はアカネとほぼ同じ。


 腕を組んで丁度、雪人の肩にアカネの頭が乗る。


 その状態で通学路を歩く。


 学校までは二十分弱。


 地元の公立高校は近隣の中学からの持ち上がりのような形で見知った顔も多い。中には小学校時代からの知り合いも居たりする。


 だからこそ。


 入学してすぐのゴールデンウィークが明けたこの時期にして、雪人とアカネが腕を組んで校門をくぐり、校舎に入っても好奇の眼で見る者は少ない。


 皆、二人が幼いころから『幼馴染で婚約者』である事を知っているからだ。


 他の中学から来た生徒も最初は奇異の眼で見ていたが、周りから説明されて『なるほど』と納得し、暖かい眼で見守るようになっている。


 

「お似合いだしなぁ……」


 とは、古くから二人を知る知人談。


 アカネの美貌もさることながら、雪人もまた、それなりの容姿。


 童顔で、アカネとほぼ同じ身長は、どちらかと言うと可愛いと称される類。


「佐川(雪人)が女装したら……」

「ベスト・百合!?……」



――――――――――――



「じゃ、お昼休みにね~」


「ああ」


 二人は別クラス。残念ながらクラスまで同じにはならなかった。


 昼休みにアカネが雪人の教室で一緒に昼食……お弁当。


 それ以外は、それぞれにそれぞれの友人知人と共に『普通の』学生生活を送る。




 何とは無い、日常。


 ドラマティックなハプニングも。


 破天荒な事件も。


「雪人ぉ~。帰るよ~」


「ああ」


 下校も、登校時と同じ。


 二人、仲睦まじく。


 アカネが雪人の腕を取り。


 徒歩二十分弱。


 我が家、へと。








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