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2.夢

───夢を見た。



いや正確には、見えない透明な壁越しにひとりの少女の物語を見ている、そう、まるで映画を見ているような、そんな不思議な感覚。


(この子は誰…?それに、これって夢…なのかしら?)


少女に見覚えはないものの、特徴的な赤い瞳とピンクがかったブロンドの、緩やかなカーブを描く髪は、どこかシャーロットを思わせた。彼女の纏う雰囲気さえも少し似ているように思う。


普通に考えたら、これは夢だろう。だが、夢にしては意識があまりにはっきりしすぎていた。

一瞬、あのまま死んでしまったのでは、と一抹の不安がよぎるも、身体の痛みが生きている証拠だと自分に言い聞かせ、なんとか不安をかき消す。


本当に、この夢らしきものはなんなのだろう。

そう一人ごちながら目の前に流れる映像──とりあえずそう呼ぶことにする──に意識を傾ける。



□■□



少女が村らしき所を散歩していると、村人達から次々と声をかけられた。


『あ、シェリーさん!この傷の治癒をお願いします!』

『シェリー!この子達もお願い!』


何人もが彼女を見かけると、怪我を治すよう頼んでくる。

どうやら、彼女はシェリーという聖女らしい。


『はい!ただいま!』


シェリーは患者へ駆け寄ると、すぐに患部へと手を翳し、治癒魔法をかけ始めた。きらきらと暖かい光が漏れ、みるみるうちに傷は塞がっていく。


そして患者を次々と周り、1分も経たぬうちに、そこにいた3名の患者を治癒し終わってしまった。


(わぁ、なんて強い聖力なのかしら…!)


予想以上の能力の高さにシャーロットは惚れ惚れとする。

 

『いつ見てもシェリーさんの能力の高さには、感動してしまいます…!!』

『おねえちゃん、いつもありがとう!』

『私達がこんな元気でいられるのはシェリーのおかげだわ!』


村人達も顔をほころばせて彼女に称賛を送る。

英雄のようだが、それに値するほどまでに彼女の聖力は素晴らしいものだった。そのため、この反応は当然だろうとシャーロットは考えていたが、シェリーの言葉は思いがけないものだった。

 

『そこまで褒められることはしてないわ!聖女としての仕事をしただけだもの。やるのは当たり前でしょ?それに、私は人生目標達成のために活動してるにすぎないもの!』


(…えぇっ!?それって仮にそうでも聖女としてはそんな公表していいものなの!?)

そう思ったが、どうやら村人達にとっては慣れたものらしく、生暖かい目になり小声で呟く。


『また始まった…それに目標がどうとか関係なく、怪我人見たら走ってくるくせに…』

『多分、一種の照れ隠しなのよ』

『だとしたら変異種たけどな』


そんな呟きを拾ったらしく彼女は頬を膨らませる。


『そ、そんなことないわよ!皆知ってるでしょ?私の人生目標!』


そんな聖女とはいえ、たかが一人の村人の目標を皆が皆知っているものなのかと思ったが、中年の女性はシャーロットの予想を裏切ってすぐさま答えた。


『あー、《完璧な淑女になる》だったかしら?』

『そうよ!!そのために色んな患者さんの治癒を経験して聖力としてレベルを上げていかないといけないの!』

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