増えたもの、減ったもの
誕生日に友人に誘われていることを家族に伝えると喜んでくれた。
「ヴィヴィアン・ウェスナー侯爵令嬢にお誘いいただいたの。」
「あら、素敵ね。何か持っていくお土産を考えないといけないわね。一緒に考えましょうか。」
「ええ、お母さま、お願い。私ではわからないから…。」
「シアに令嬢の友人が出来たとは…」
「本当に良かったよ。」
ベリオ兄さまもステファン兄さまも感慨深げにしている。
私自身、信じられないことなのだから家族としてはより一層なのかも。
「アレクシア、ウェスナー侯爵家のことは知っているね?」
「はい。代々武騎院にて活躍する血筋だと…。」
「ああ、いや。ウェスナー侯爵の長男、デクスト・ウェスナー殿はあまり良い話を聞かないからな…一応、気をつけなさい。」
「そうなのですね。」
なんだか意外。
「ウェスナー侯爵家はさっきシアが言った通り、騎士としての歴史が長い。デクスト殿はそちらの才能が薄かったらしい。ウェスナー侯爵自身は対して気にしていないようだが、デクスト殿本人の葛藤が強かったようで、道を逸れかけている…というわけのようだ。」
「長男だから思うこともあったのだろうね。幸い私はそういった感情と無縁だったが、騎士として憧れも強かったようだし、失望感も大きかったのだろうよ。」
お父さまとステファン兄さまがデクスト・ウェスナー様の話をしている。
今まで、そういう感覚に出会わなかった、そういう気持ちで一杯の人がすぐ傍にいなかったということは珍しいのかしら。
「私は恵まれているのね。」
「シアは好きにして良いんだよ。どういうシアでも僕たちは大切に思っているからね。」
ほぅっと思ったことを口にするとベリオ兄さまが優しく声をかけてくれる。
部屋でポーラも喜んでくれた。
「お嬢様がご友人のご自宅に!当日のお洒落はお任せくださいね、侯爵家でも輝くほどの美しさを引き出して見せますから。」
「昼間に行くのだから、控えめにお願いね。ポーラはセンスが良いから安心して任せられるわ。」
「まぁ、ありがとうございます!当日まで楽しみにしていてくださいね。」
夜寝る前、エリシオの事を考えることがある。
従僕を解雇されてから、彼は再び孤児院で生活をしながら学園に通っている。
お父様が通常の支援にプラスしてエリシオの学園生活のための援助をしているらしい。
5年一緒にいたのだから、もう関係が無い、ということにはならないと思う。
でも実際、今は関わる機会がなくなっている。
また穏やかに話せる日が来ると良いな。
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