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本と思い出に栞を  作者: piyo77
子どもから少女へ
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ディクス家、文化院へ

早馬でやりとりしたためか、私が眠っている間に返事が来ていたらしい。


朝食のため食堂に行くと既に家族が揃っていた。

「今日は家族で外出になるから、おめかししましょうね。」

「文化院に行くのね。久しぶりに行くわ。文化院の書庫もいけるかしら。」

名前のことはお父さまがなんとかしてくれるとわかっているから、気持ちも切り替わっている。


文化院の書庫といえば我が家に無い本も沢山あるのよね。

普段なかなか外出できない私には貴重な機会だもの。


わくわくしていることが自分でも顔に出ているのがわかった。

「シア。それじゃあ、文化院で最低限の話をしたら、僕たち兄妹で書庫に行こう。」

「それが良い。父上と母上は、話が長くなるだろうからね。」


うんうん、と兄さま達が頷いている反対でお母さまが残念そうにしている。

「私もシアと歩きたかったわ…。機敏に、迅速に、早急に、なすべきことをなすよう、申し立てないといけないわ。ねぇ、あなた?」

「その通りだね。同じ間違いが起きては、大問題だから、今のうちにしっかりと対応していただかねばなるまいよ。」

要所要所の言葉を非常に強く言うお二人の強い瞳が、こちらを見ていなくて良かった。




お父さまとお兄さまは中央院の文官だから、いつも出仕されるときと同じシャンパンカラーのコートを着用している。

二人とも似合っているけれど、お兄さまはまだ着慣れていない感じが雰囲気で出ているのが可笑しい。


お母さまはベビーピンクの髪色に上品なクリームイエローとレースのドレス。どんなドレスも着こなしてしまうお母さまはいつも通り美しい。


私は、波打つシェルピンクの髪を後ろで束ねて、バラ色のドレス。

疲れにくいように軽いけれどシンプルすぎないように工夫されている。


このドレスはステファン兄さまが贈ってくれたもの。

服飾にさほど興味が無い私が選ぶと、似たようなものばかりになってしまう。

それならば、と家族が順番で選んでくれることが多い。


「うん、僕が贈ったドレス、似合っているね。」

「いいなー、次は僕が選んだのも来てよ、シア。」

「ベリオ兄さまの選んでくれたドレスも着るのが楽しみなのよ?」

満足そうなステファン兄さまの隣で、ニコニコしているベリオ兄さまは濃い紫がアクセントになっているコートがオシャレ。


文化院に行くだけというには、きっちりと着込んだディクス家は馬車に乗って、解決へと向かうことになった。




この国、サティア王国では王宮の組織として中央院がある。

王宮から少し離れて、東の尖塔が文化院、西の尖塔が武騎院となっている。


馬車から降りると、一目で文化院所属とわかる濃緑のコートをきた人が待機していた。


「ディクス家の皆様、ご足労頂き大変恐れ入ります。文化院院長セルファンが中で説明のため準備をしておりますので、私ヴィアルドが案内をさせていただきます。」

さっと礼をとり話し切ったヴィアルド氏はじっとしている。

お父さまの言葉を待っているということね。

「わかった。すぐに案内してくれ。」

先導するヴィアルド氏に全員でついていく。

私の左右には兄さま達がいてくれるので段差に躓いてもすぐにフォローしてくれる。


途中、書庫の扉があって足が止まりそうになったこと以外は問題なく進んで行き、一際豪華な扉にたどり着いた。

ヴィアルド氏がノックをし、中に声をかける。

「セルファン院長。ディクス家の皆様が到着され、お連れしました。」

その言葉が終わる前に、中から扉が開かれた。


読んでいただいてありがとうございます!


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