人生プランの影響が出るとは…
私、アレクシア・ディクスは恵まれた生まれにある。
両親や年の離れたお兄さま達に甘やかされている上に、好きなことをして過ごし、9歳になった今も人と交流を推し進めたりしない。
ディクス家は代々文官の血筋で、武才は良くても平均レベル程度。酷く運動能力が低い者が生まれるのもそう稀なことではないディクス家の血。
私は小さいころから外に出て少し長く遊んだだけで翌日起き上がれなくなる体質だったけれど、お父さまもお母さまもしっかり血を継いでいるといって笑っていた。
「シアは三人の中で一番ディクス家らしいね」
そう言われて嬉しかったことは覚えている。
そんな私は令嬢であり幼い子どもであることをものともせず、自宅の書物を読み漁る毎日を過ごした。
我が家の書庫の充実度は貴族の中でも有数のレベルを誇っている。
書物保管の事もあって温度が大きく変化しない屋内。
そして、私が本の虫であるとわかってからは隣室を書庫直通として、飲食や休憩ができる部屋を用意してくれた。
更に、無理な運動は禁止とされていたのだから、渡りに船と言わんばかりに天国(という書庫)で過ごすことは誰にも止められなかった。
こうして沢山の知識を得るとともに年を経て、私に普通の令嬢としての結婚等は非常に難しいだろう、ということにも気づいた。
美しい令嬢たちは学問としては基本を、他の礼儀・ダンス・刺繍などを行ってきている。
伯爵家令嬢である以上、全くできないわけではない。
礼儀・刺繍など平均並みから平均以上にはできる。
私の問題は学問とダンスの成果落差だ。
ダンスは2曲が限界。早い音楽でハードなものは1曲で息が上がり立っているのがやっと。
学問は下手な令息以上にできてしまい、家庭教師に『世の男性陣をたてるために、お口にチャックを』と言われてしまった。
唯々諾々と誤った情報に沿わねばならないのならば男性陣の鼻を追ってしまえば良い、と思う。
思うけれど、伯爵家の人間であることもわかっているから、そうはいかない。
下手に刺激してお家問題になることは避けたい。
最終的に私が考えた人生プランはこう。
とにかく下地作り。令嬢としては必要最低限、論文を作成できるように。
↓
14歳のデビュタント・学院入学までに研究能力を高める。
↓
17歳の学院卒業後は、父か兄の名で論文を提出。受理されればお父さまやお兄さまの功績となるので、それを前提としてディクス家にずっと住まわせてもらう。
お兄さまが当主となられれば邪魔ものになってしまうだろうから、王都と領地、ご当主が不在の方に私が住むことで家も維持され無駄がなく、邪魔にもならない。
私は各オフシーズンを満喫できる。
…という、私だけが得をする人生プラン。
半分冗談だけれど半分本気。
半分本気の部分の心で、今回9歳になって物は試しと論文を送ってみたのよね。
皆だって応援するって言ってくれた上に、太鼓判を押してくれたから。
その結果が文化院のくだらない誤りを誘発することになるなんて思ってなかった。
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