家族がご立腹です
初投稿です、よろしくお願いします。
お父さまに呼ばれて来た部屋の前に到着した。
室内から、お父さまが入るよう促すとそのまま扉が開かれる。
お礼を込めて使用人に目配せをしてから、まずは挨拶をする。
「お父さま、お母さま、ステファンお兄さま、ベリオお兄さま、お待たせしてごめんなさい」
お父さまが笑顔で席を勧めてくれた。
「待ってなんてないよ。さあおいで。」
着席すると、テーブルには1枚の紙が乗っている。
手紙のようだけれど、私にも関係のある話なのかしら。
よく見ようと顔を近づけようとしたら、家族以外の皆が扉から出ていくのが見えた。
秘密の話のようだわ。
お父さまがテーブルの紙を渡してくれた。
「シア。この手紙を読んでもらえるかい?」
「はい。」
なんだかいつもと違ってお兄さま達も静かで変な感じだけれど、読んだらわかるのかな。
『ディクス伯爵家、アレクシオ・ディクス殿。
貴殿の今回の研究論文が文化院院長並びに国王陛下の目に留まり、紫珠玉授与対象候補者として選ばれました。
正式に対象となるにあたり選考が必須となるため、日時を折り合わせ文化院にいらしていただきたい。』
文化院の学問に大きく寄与した者にのみ与えられる紫珠玉。
授与者がいないことも多い中で対象になるだけで凄いことだ。本来なら。
一度読んでから、違和感というか聞いたことが無い部分を繰り返す。
「アレクシオ…ディクス…」
「これが、我が家に文化院から届いた手紙だ」
こめかみを抑えながらお父さまが言っている。
文化院の正式な印もある。
「お父さま、このお手紙の名前…私のことかしら?」
代わりに応えたのは向かいのお兄さま達だ。
「おそらく、そのつもりなんだろうね。」
ステファンお兄さまは私に笑顔で話しかけてくれるけれど、すごく怒っている。
「授与ともなれば中央院とも関わってくるのに…担当者は誰かな」
ベリオお兄さまもお怒りの様子で、担当者の名前を見るために手紙をつまんだ。
おそらく、馬鹿がうつるから触りたくないと思っているのだろうなと思っている挙動。
「アレクシア。今回の件はすぐに、中央院・文化院に手紙を送りました。訂正と抗議をね。あなたが女性初の柴珠玉授与者となれば良いけれど、残念ながら世の中はそこまで進んでいないでしょうから…。でも安心して。二度と、こんな愚かな間違いをおかさないように、徹底的に対応しておきますからね。」
一番怒っているのは、手に持つ扇をミシッと言わせたお母さまかもしれない。
読んでいただいてありがとうございます!
少しでも面白い、続きが気になる、と思って頂けましたらブックマークと
評価☆☆☆☆☆よりお好きな数の星をつけてもらえると投稿の励みになります。