第5話ー前編「友人、強襲」
「おっ邪魔しまーっす」
夏休みが始まってしばらく経ったある日、櫻井家に客人が訪れていた。
細身だがしっかりとした体格、目は細くまるで線のようだ。
そしてなにより、整った顔立ちに日本人には珍しい白髪、それに身長もそこそこ高く175cmはあるだろう。
彼の名は佐藤充、涼介の同級生でクラスメイトでもある。
家が隣であり、親同士も仲も良かった為、保育園の頃からよく遊んでいる。
いわゆる「幼馴染」というやつだ。
彼は暇さえあれば涼介の家に来て涼介と遊んでいる。
昔から頻繁に遊びに来ていた充は、櫻井家からの了承も得て合鍵を保有している。
そして今日もご多分に漏れず、勝手に鍵を開けて家に入り込んだのだ。もちろん入ってからちゃんと鍵は閉めた。
(涼介のヤツ、最近オレが全然来てないから油断してるだろうなぁ〜。驚く顔が簡単に想像出来るな!)
廊下をソロリと足音を殺しながら進んでいた充は、ニヤリと笑みを浮かべながら、リビングの扉の前に到着する。
バンッ!
そして勢いよく扉を開けて芝居がかった口調でリビングに入った。
「やぁ!おはよう涼介クン!久しぶりにこの俺が来てやっ……」
そして止まってしまう。
別に涼介がいなかったからとか、そういった訳では無い。
充が止まってしまった、その理由はー
「お前ら、なにやってんの?」