第10話「ま、まさか……」
「おっ待たせしました〜」
そんな明るい声と共に現れたのは、ゆうなよりも少し背の低い女の子だった。
それを見て呆然とする涼介。
何故ならー
「なぁ……充、俺の見間違いかな? ……この子見たことあるんだけどさ?」
そう、見覚えがあるのだ。
容姿端麗を具現化したかのような整った顔立ち、腰までかかる長い髪。そして極めつけはその色だ。
太陽の光を反射して眩しく輝く白色。そう、涼介の隣にいる充と同じ珍しい色なのだ。
「もしかして……もしかするのか?」
「あぁ、そのもしかしてだ。デートに参加する最後の一人の正体はお察しの通り……」
充は、その女の子の頭を撫でながら
「コイツ、妹のユイだ」
ニヤリと笑った。
*
ユイと呼ばれた少女は頭に乗せられていた充の手を払い除け、充の言葉に疑問をぶつけた。
「ねぇ、お兄ちゃん? さっきの言い方からして、私が来るの伝えてなかったの?」
そう詰め寄られた充は慌ててかぶりを振った。
「い、いやいや、オレはただ涼介達を驚かせたかっただけなんだ!汗」
「えぇ〜ホントかなぁ?」
「ふーん……まぁ、いいけど」と言って涼介に向き直った。
充の事は、そこまで気にしていないようだった。
それにしても、佐藤家の血筋は女性が強いのだろうか?
「お久しぶりです、涼介お兄ちゃん。お元気でした?」
「あぁ、元気だよ。確かに久しぶりだねユイちゃん、いつ以来かな?」
「ええと、一昨年の夏あたりだと思います」
「そっかーもうそんなになるのか……今は小学何年生なのかな?」
とユイは少し頬を膨らませた。
何か悪いことでも言ったのか……
「涼介お兄ちゃん……私、もう中学1年生ですけど?」
「えっ……」
あっ、そういう事ね……。
……いや、ホントに知らなかったんです許してください。
*
ゆうなが戻ってくるのを待つ間、涼介はユイがソワソワしている姿を目にした。キョロキョロと周りを見回している……他の誰かを探しているのだろうか?
「どうしたんだ、ユイちゃん?」
「その、ゆうなお姉様はどちらに? 見当たりませんが……」
成程、どうやらゆうなを探しているらしい。
…………ん?今、お姉……
「様……?」
思わず涼介が口に出すと、それに気付いたユイは慌てて訂正した。
「あっ!? ゆうなお姉ちゃんです! ……それで、どこが知ってますか?」
「ゆうななら今トイレに行ってるぞ?」
「そう……なんですか……、はぁ……」
肩を落とし、露骨に落ち込むユイの姿を見て、涼介と充はふと昔を思い出していた。
「そういや……昔からユイちゃんはゆうなによく懐いていたなぁ」
「そうだな。そう言えばこのデートの誘いした時、アイツすっげー喜んでたからな」




