お金になった
僕はもともと人間だった。朝起きたら暗闇にいた。なぜだろう。
気づいたら真っ暗だった。体は動かない。周りの音が聞こえた。
ちりんちりん。ちりんちりん。
金属がぶつかる音だ。ただのぶつかる音なのになぜか意味が乗っているのがわかる。
ちりんちりん。ちりんちりん。
ぉ-ぃ。ぉ-ぃ。
おーい。おーい。
「おにいちゃんはどこからきたの?」
近くに来た声のほうを見てみる。
二枚の一円玉だった。
「わからないや。朝起きたらここだったんだ。」
僕は答えた。
「起きたらだって。へーんなの。」
二枚はちりんちりん笑っている。
「そういう君たちはどこから来たんだい。」
真似をして聞いてみる。
「僕たちもわからないんだ!」
ちりんちりん。また笑っている。
「気づいた時にはこのお婆さんの財布の中にいれられるところだったんだ!僕たち!書いてある数字も一緒だしたぶん兄弟なんだよ!」
とりあえずこの子達に何を聞こうか。
そう考えてるうちに急に周りが明るくなった。
手が伸びてきた。
目の前の二枚のうちの一枚がその手につままれて明るい空へ消えてった。
「あぁ!」
「あぁ!」
再び暗くなる。
僕の前には一円君が一枚残った。