仲間の力
「……はっ!? ここは?」
目が覚めると俺はベッドの中にいた。この布団の感触は、ホテルの布団だ。何故俺はここに……。
ええと確か決勝戦で牧瀬と戦ってそれから……。
「……優勝? したのか?」
そうだ思い出した、牧瀬に勝って優勝した後佐伯さんに抱きしめられて気絶したんだった。
「くそっ! 女耐性が無いのがバレてしまった……」
何となく佐伯さんと会うのが気まずいが、いつまでもここにいるわけにはいかない。
俺は服を着替えると、部屋から出た。
「あっ……」
「……ふん!」
ドアを開けると牧瀬が腕を組んで立っていた。
ずっといたのかこいつ?
「とりあえず優勝おめでとうと言っておく」
「お、おう。ありがとう」
「そしてお前の唐揚げを盗んでしまった事申し訳なく思う。警察に突き出すなりなんなりしてくれ」
「いや、そんな事しないよ」
牧瀬は驚いた表情をしていた。
「何故だ! 俺はやってはいけない事をやってしまった。そして無様にも敗北した。もう、この世界にはいられない……」
牧瀬は悔やんだ表情を浮かべる。本当に後悔してるのだろう。
「そうだ、教えてくれないか? あの唐揚げは一体どうやって作り出したのか?」
「……みんなのおかげだよ。柳さんには唐揚げの揚げ方、高山には味付けを教えて貰った。味付けには高山家秘伝のダシをベースに一晩調合をしまくった。そうして出来たのがあの唐揚げだ」
昨晩の出来事 柳編
「じゃあ私は唐揚げの揚げ方を教えるわ」
柳さんと一緒に特訓をすることになった。
「よろしく、でも唐揚げの揚げ方なんて他にあるのか?」
「あんたの作り方は一回揚げるだけで完成させる作り方ね。これでもいいんだけどもっとサクサク感やふっくら感を出す方法があるの」
「それは?」
「二度揚げよ。ざっくり言えば最初高温の油で1〜2分揚げて、取り出してそのまま少し置いておくの。こうする事で肉自身が持つ熱で火を通しふっくら仕上がるわ」
「はえー、すごいな!」
「で、最後に内部の水分が衣に移って来てるからもう一度揚げて水分をぬくの。これで外はカリッと中はふっくらジューシーに仕上がるってわけ」
「よし、やってみるか!」
昨晩の出来事 高山編
「唐揚げの味付けでござるが、拙者のうどんダシを使うというのはどうじゃ?」
「あのチートダシか? 貰えるなら是非欲しいが」
「実は大会用に用意していたのが山ほどあるでござる。でも、そのままじゃ使えないでござる。唐揚げ用の味付けになるように調合するでござるよ」
「調合か……まるで親父のようだ」
「調味料は沢山あるでござる」
しかし、予想以上に困難な作業で唐揚げにあうタレが出来たのは朝の4時だった。
でも、ここまで頑張ったから最高の料理を作る事が出来た。
二人には本当に感謝だ。
「……そうか、どうりで負ける訳だ」
牧瀬はフッと笑みを浮かべる。
「やはり警察には行くよ、少し頭を冷やしてくる。それで……また次会った時には勝負してくれないか?」
「ああ分かった」
俺の言葉を聞いた牧瀬は満足げな表情を見せ、去って行った。
その後下のレストランで俺、佐伯さん、柳さん、高山の4人で打ち上げパーティーを開いた。
そして、審査員のおじさんから優勝トロフィーを受け取った俺達は学校へ戻りいつもの日常に戻って行った。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回、最終回の更新は今日の23時となります!




