決勝戦!
料理大会3日目。今日は大会の決勝戦だ。
時刻は14時50分。俺と佐伯さんは既に会場に入っている。
しかし、俺達の切り札である唐揚げは昨晩全て盗まれてしまった。
一応親父にも連絡を取ったが、ダメだった。
「大丈夫よ速水君、昨日あれだけ頑張ったんだから」
「そうだな……あの二人には本当に感謝してるよ」
高山と柳さんが徹夜で教えてくれたおかげで、俺の調理技術はかなり上がった。
あとは俺が上手く出来るかどうかにかかっている。
そんな事を考えてるうちに対戦相手の牧野がやって来た。
「おや? ちゃんと来てるじゃないか。僕の優勝を見届けに来てくれたのかい?」
「いや、俺も優勝を狙っている」
「それは無理じゃないかな? 君の試合は見させて貰ったがここまで勝てて来たのはチート食材のおかげじゃないか。そして、今日はそれも無い。既に決着はついてるんだよ」
「……」
「昨日だけで身に付く技術などたかが知れている。
料理はそんなに甘くないぞ」
この男の言う通り、確かに甘くない。
食材にはそれぞれ最適な調理方法があり、包丁で切るだけでも色んな技術がある。
更に食材に含まれる成分や性質なども美味さに関わってくる。
とても一晩では無理だ。
だから俺は……。
「牧瀬、俺は昨日ある料理をずっっと作り続けた。徹夜でだ。それで今日あんたに勝負を挑む」
「……なるほど、1つの料理を極める道を選んだか。何を作るか知らんが少し興味が出て来たよ。まあ、頑張ってくれたまえハハハ!」
高笑いをしながら牧瀬は去って行く。
そして、試合が始まる。
「えー揃っているかな? ではこれより決勝戦を始めたいと思う」
「審査員はまたあの人なのね……」
「まあ、なんだかんだで有能っぽいから大丈夫だろう」
「決勝戦、テーマは【自由】です! 最後は自分の1番の得意料理を作ってください。では、始め!」
最後は何を作ってもいいらしい。
俺が作る料理は既に決まっている。牧瀬は何を作るのだろうか?
「さあ、出来たよ」
最初に料理を完成させたのは牧瀬だった。
それを審査員へ持っていく。
「ほほう、これはピザかね?」
「僕が世界修行で産み出したオリジナル料理です。どうぞご賞味あれ」
牧瀬の自信作のピザはとてもゴージャスだった。
高級ピザ生地に高級チーズを惜しげも無く乗せている。
更に高級トリュフ、バジルソース、照り焼きチキンなど様々な食材が使ってあり、もはや何のピザだか分からない。
「では、いただこう」
審査員はピザを一口パクリと食べる。
「ムッフォォォォォォ!! こ、これは素晴らしい!! 止まらん!」
審査員は食事の手を止める事なくピザに喰らいつく。
「これだけの食材を使っているのに味が良くまとまっている。いや、むしろ食材同士がお互いの美味さを引き立てている!」
「そうでしょう、その名は」
「まさに皇帝! この料理、皇帝ピザと呼ぶに相応しい!」
「皇帝っていうなぁぁぁ!!」
なにはともあれ、牧瀬は大会最高点の45点を叩き出した!
人柄としては最低な奴だが、料理の腕は超一流だと実感した。それは認めざるをえない。
「さあ、僕は45点獲得したぞ! 速水! 次はお前の番だ!」
牧瀬は俺の調理台に近付いてくる。
そして、俺の作っている料理を見て牧瀬は驚愕した。
「な、何故だ! 昨日全て処理……昨日全て盗まれたんじゃなかったのか!」
俺の作っている料理、それは――
「その唐揚げはなんだっ!?」
「まあ、俺はこれしか作れないからな」




