トーナメント
「ちょっとどういう事よ! あなた料理出来ないの!?」
納得がいかない佐伯さんは俺に詰め寄ってくる。
「いや、逆になんで俺が料理が出来ると思ってたんだ?」
「だってあなたの実家、料理屋さんでしょ? てっきり出来るものだと……」
「料理屋の息子が全員料理が上手いと思ったら大間違いだ」
「そんなぁ……」
しょんぼりと落ち込んでしまう佐伯さん。いつも強気な彼女にしては珍しい光景だった。
佐伯さんはほっといて、改めてチラシを見てみると、大会は予選で勝ち抜いた各地方の高校が出場し、八チームでトーナメントをやるらしい。
で、その予選が、十一月の五日にあるらしく……ん?ちょっと待て。
「佐伯さん、これ予選が十一月の五日って書いてあるんだけど?」
「それがどうかした?」
「今日って十一月の三日だよな?」
「そうね」
「うぉぉぉぉぉいっ!!!! 明後日じゃねーかっ!? なんで今日言ったっ!? 遅くねっ!?」
「だ、だって速水なら出てくれると思ってたしそれに……」
「それに?」
「……だって、速水に話しかけるのが恥ずかしかったんだもん」
「……」
「……ぅぅ」
何コレ!? なんかめっちゃ可愛いんですけど!? 普段ツンツンしてるから余計可愛く見える!!
「ま…まあいいか。取り敢えず今回は辞退したらいいんじゃないか?」
「そうしたいんだけど、うちの学校って年々入学者数が減ってきてるのよ。部活も強いわけでもないし、進学率も普通レベルだし、何か自慢出来るような物が欲しいの」
「そうだったのか……うちの学校って確かに何もないな」
そういえばこの学校が何かの部活が強いだとか、進学率が高いとかは聞いたことがないな。
……俺、何でこの学校に入ったんだ?
「そう、だからあんたの唐揚げで優勝できないかなぁっと思ったんだけど……お願い! 取り敢えず予選だけでも出てくれないかしら?」
「……分かったよ。取り敢えず親父の作った唐揚げ持ってけばいいのか?」
「んー、一応料理大会だからその場で作らないといけないみたいよ。唐揚げって油で揚げるだけよね?」
「まあ、大雑把に言えばそうだな。それで良いのかは疑問に残るが。今日帰ったら聞いてみるわ」
「悪いわね。お礼に今度……デ、デートしてあげるわっ!」
「……いや、いい」
「なんでよっ!!」
お前とデートなんかした日には、クラスの男子どもに刺されちまう。