唐揚げ屋の息子
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小説初心者ですが、頑張って書いていきますのでよろしくお願いします!!
プロローグ
「うまい!」
とある学校のお昼休み、俺の弁当箱の唐揚げを勝手に食べた友人、山本は幸せそうな顔で唐揚げとご飯を口に頬張る。俺の唐揚げ…。
「相変わらずお前の家の唐揚げはうまいなぁ」
「だからって俺の唐揚げを取っていい事にはならないと思うが」
残り三つになった唐揚げの一つを俺は食べる。うん、今日もうまい!
「しっかし、勿体ないよな…。このうまい唐揚げが地元でしか知られていないなんて」
「いいんだよ、ウチはこれで」
山本が絶賛するのも無理はない。
この俺【速水 健太郎】(はやみ けんたろう)の実家、唐揚げ専門店「鶏っぴー」は世間の知名度は全くといっていいほどないが、地元では有名な唐揚げ専門店だ。
親父の作る唐揚げは一日、ウン千個売れるほどうまい、ほんとにうまい。
「お前確か妹がいたよな?」
山本が俺に問いかけてくる。
「いるが、それが?」
「いや、お前の妹と結婚すれば俺も唐揚げ食べ放題なのかなって思った。その時はよろしくな、お兄ちゃん」
「気持ち悪い事を言うな」
「ははは! 照れるなよ」
「相変わらず気持ち悪いわねあなた達」
俺達に声をかけて来たのはクラスのお金持ち女子生徒、【佐伯 由美】(さえき ゆみ)さんだった。
この私立海原学園高校の理事長の娘である佐伯さんは、成績もトップクラスでクラスメイト達からの評判も高い。
クラスでも地味キャラの俺に、佐伯さんが何故話しかけてくるのか。謎である。
佐伯さんに対し、山本が口を開く。
「で? 俺達に何か用? まさかお前も速水の唐揚げをつまみ食いにきたのかっ!?」
「そ、そんなわけないでしょっ! あなたと一緒にしないでちょうだい!」
「こいつの唐揚げは俺の物だ! 絶対渡さねえからな!」
「お、おい!」
そう言うと山本は俺の弁当箱を奪い取り教室を出ていってしまった。ひでぇ。
「一体何なのよ……」
「持病みたいなものだ、優しい目で見てやってくれ」
「そ、そうね……」
「で? 何か用か?」
「ああ、そうだ! あの馬鹿のせいで忘れる所だった。ちょっとこれを見て」
そういうとポケットから紙切れを取り出す佐伯さん。
その紙には色々な料理の写真が貼ってあって、真ん中にデカく【全国高校生! 料理大会】と書かれていた。
「……何これ?」
「これは全国の高校で一番、料理が上手い学生を決める大会よ。ウチも参加しようと思ってるの」
「ウチ料理部なんてあったか?」
「ないわね」
「……じゃあ誰が出るんだ?」
「あなたよ」
「……え?」
「え?」
佐伯さんと俺の間に、なんともいえない空気が流れる。
思っていた返事と違っていたのか佐伯さんはあたふたしている。
だって俺、料理した事ないんだぜ?
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