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9話

「さて、ここまで来て今更だが」

「何よ」

「…………」

「エリリンたち、いつまで私に付いてくる気なんだ?」

 アーサー、エリン、ハミーの三人は街の外、歩いて数時間の草原へと来ていた。

「何よ、ダメなの?」

「……お腹……減った」

「二人共、本来は私の敵方ではないか」

 青い小鳥に教えてもらったというこの場所は、はるか遠くまで見通せる。今は魔物の姿も気配も無い。

「ふん、どう行動しようと私の勝手でしょ」

「……そうだそうだ~……」

「なら私がここでお前達を葬っても、私の勝手だな?」

「なっ!?」

「……えっ!?」

 突如としてアーサーより放たれる殺気。エリンたちは金縛りにあったかのように一寸も身動きできなかった。何故今になってアーサーの気が変わるのか。エリンたちは完全に油断していた。同じ場所や時を共にしようと、敵方に所属している者は結局相容れないのかもしれない。

「な、か……や、殺れるものなら……殺ってみなさいよ!」

「……ま……負けない!」

 二人は気迫で身体の自由を奪い返す。なんとなく想像はついている。二人が全力でアーサーの相手をしようとも弄ばれるだけだと。だが、せめてもの一矢報いてその生命を散らしたいとも思う。

 戦闘態勢を取った二人はアーサーから距離を取り、どんな攻撃でも対応できるよう集中した。

 すると不意に、アーサーからの殺気が消える。緊張の糸が切れた二人は汗を流しその場に崩れ落ちる。

 そんな二人にアーサーは静かに近付き――

「すまなかった……」

 謝り、二人を優しく抱きしめた。

「な、なんで……」

「……アー……サー?」

 二人は困惑した。アーサーのあまりの変化にだ。

「私は少し二人を試したのだ。どうか、これから起きるであろう惨劇に恐怖を抱かないでくれ」

「ど、どういうことよ」

「……きょう、ふ……?」

 その時、アーサー達の背後に巨大な影が出来る。三人が見上げた先に居たのは……

「来たか。化物め」

「で、でかい」

「……た、倒せる……の……?」

 全宇宙の何処かに存在する魔物とは、魔力を持ちながら人間とは異なる異形な姿を持つ生物のことを指す。だから違う。目の前の全長100メートルを超え、体長30メートルを超える巨大生物は魔物ではないのだ。魔力を帯びていないから。それにまず前提として、この場所はアーサーが記憶する場所だ。アーサーの生きた場所――世界には魔物という存在は居なかった。だからこの場所にこんな巨大生物が出てくる事自体が不自然なのだ。

「魔物ではないとすれば、なんだろな」

「そ、そんなことどうでもいいでしょ! 逃げるわよ!」

「い、急い……で!」

 エリンとハミーはそれぞれがアーサーの手を取り引っ張る。しかし体格差もありアーサーはその場から動くことはなかった。そもそもアーサーはその場から逃げるという選択肢がなかった。

「俺の話を盗み聞きした神が寄越した、モンスターだったりしてな」

 アーサーは危機的状況にも怯えず、1人淡々と推測していた。目の前の存在が何なのかを。

「さて、いっちょやるか。二人共、下がってな」

 二人の手を解くとアーサーは一気に跳躍した。

「私に仇なす脅威なるものよ! 私の名はアーサー! 世界を統べる王であり、世界最強の王だ!」

 アーサーは背に手を回し、一本の剣を抜く。

「我が相棒エクスカリバー! この剣に斬れぬ物なし!」

 そして大きく振りかぶり――

「さらばだ、化物よ」

 エクスカリバーを一振り。

「うそ……」

「…………」

 化物が割け、瓦解する――……。

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