0話
久しぶりの投稿です。
是非0話で止まらず、1章の4話、2章の10話くらいまで読んでいただけると幸いです。10話までで1万5千文字ほど、30分で読めると思います。よろしくお願いします。
「目覚めなさい。結城」
「――ここは……」
「目を覚ましましたね、神楽結城。ここは神界。光が支配する世界です」
「神界……。俺は一体どうしてここに。……死んだのか?」
「いいえ。あなたは選ばれたのです」
「選ばれた?」
「はい」
「何に選ばれたというんだ」
「この世界を守る戦士として、選ばれたのです」
「この世界? 神界をか? 何で俺がそんなのに」
「あなたはあなたが生きる時代で、身体に関するあらゆる分野で最も優れた能力を持っているからです。視力、動体視力、反射神経、運動神経、柔軟な身体。様々な動きや現象に適応できる素晴らしい肉体を持っているのです。私はそこに魅力を感じました」
「へぇそうかい。あんたが魅力を感じるほどだったのか」
「えぇ。それは大変魅力を感じました。あなたなら必ずや闇の神――タルロスの軍勢を滅ぼし、タルロス自身をも倒してくれることでしょう」
「ふ~ん。んで気になってたんだけど、いいか?」
「何でしょう」
「俺、記憶が一部欠如してると思うんだが。あんたの仕業か?」
「えぇ」
「素直に認めるんだな」
「本人が気付いたというのなら、隠すこともありませんから」
「ふん。俺が生きる時代。選んだ。まるで違う世界で生きていた中から俺を連れてきたような物言いだったからな」
「流石です」
「あんたなら俺を作ってから記憶を植え付け、今のような状況にすることもできそうな気もするが、認めるなら正しいんだろうな。嘘までついていたのならどうしようもないが。ま、そこはもうどうでもいい」
「ふふ」
「んで、俺は元の世界に帰れるのか? そのタルロスって奴をぶっ飛ばしたら」
「えぇ勿論です。記憶も元に戻してさしあげますし、私があなたを連れてきた瞬間の時に帰れるようにしてあげます」
「住んでいた所の記憶が全くないから帰りたいという気も薄いが、俺を待ってる奴もいるんだろうな。あんたの思い通りに動くのは癪だが、倒してやるよ。タルロスって奴を」
「期待してます。ではあなたに私の力の一部を授けましょう」
「力? ――なるほど……」
「ではいきなさい。我が兵よ」
「兵、ね」
彼――神楽結城は光のゲートを潜り、その姿を消した。
光の神エイロス。闇の神タルロス。両神の争いは遥か昔から続いていた。己の支配で世界を満たすために。
その争いに終止符を打つために呼ばれた神に選ばれし兵たち。彼らは神の駒なのか。それとも己の意志持つ自由なる人たちなのか。
これから始まるのは強者達との戦い。元いた世界へ戻るための闘争。
時はきたれり。ここに全宇宙の運命を決める戦いが始まる。