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3話 従者ができました(悦


「助手が必要だなぁ。」

どうも、シャーレ・キュベットです。八歳になった今日この頃、研究が行き詰まってしまいました。


今までは衝動的に考えたことを実験していたのだが、それでも異世界という事で手当たり次第実験していても新発見が沢山あった。魔道具の作り方に魔法という現象の発生理由。魔力の効率の良い操作方法に、キメラの作り方。

身近な事はやり尽くしたが、それ以上となると素材が足りない。


「マキナでも作るか?」

いや、人口衛星も飛んでいないマキナなんて独立プログラムを入れたところでたかが知れてる。


「君はどうすればいいと思う?」

七号くんに問いかける。彼はこの地下室の最も古株で、四年近く生きている。

「じょしゅ、なる」

そう言って、自分を指差している。

七号くんは人体改造による強化でゴキブリ並の生命力とゴリラ並のパワーが有るのだが、代わりに知能が著しく低下していた。


しかし驚きだ。未だに七号くんが個人的感情を持ち合わせていたとは。

そしてその案が中々に良かった。


「七号くん!なるほど、その意見を採用させてもらおうか!」

七号くんは自分のように喜んでいる。


「奴隷を使うんだ!」

七号くんは落胆した。



______________________________




そして何故か、下卑た男達に馬車に投げ込まれた30分後。


誘拐されました。護衛についてきた組の新入りさんもグルのようで、身代金目的のようです。寧ろ之が終わったら此奴等を融解させてやろうかな?と思い始めました。


「わ、私を拐ってタダで済むと?」

取り敢えず言っておこう。テンプレテンプレ


「はっ、悪党の街だって聞いてきてみりゃ腑抜けばっかだ。金が手に入りゃトンズラさせてもらうぜ?」

ハイハイテンプレテンプレ。フラグ立ちましたね。

しかし、何故か慌てだしたのは裏切り者の新入りさん。


「おい、今何つった?あの街が腑抜けばっかだと?お、お前、伯爵家に対抗できる戦力があるって!」


あら?新入りさんはあの街に対抗できる戦力があると唆されたか?伊達に大陸随一の悪党の街を名乗っているわけではないので、全力を尽くせば一軍にも匹敵するというのに。

新入りさんもある程度は知ってるのか。多分拷問部屋とかの処理は新入りがやってるのかな?


まぁ元がタダ働きするような奴らでは無いが、伯爵家傘下の戦力だけでも国王が一目置くどころかドン引きするレベルだと母が自慢していた。


しかしそんなことは御構い無しに誘拐犯は話を続ける。


「んなもん平気だって。ウチんとこのボスは夜の住人、吸血鬼だぜ?人様が束になって勝てる相手じゃねぇよ。」

「お、おお、吸血鬼か。」

おお、じゃないよ。人様が束になったら勝てるよ。新入りさんはいったい新入りになってから何を見てたんだか……


しかし彼は落ち着いたのか静かになった。

ぶっちゃけ、此奴等を今すぐモルモットにするくらいわけないのだが、誘拐犯のアジトを潰しておきたいのが1割、残りは組員の皆さんに危機感を植え付けるためだ。



しばらくすると馬車は止まり、降ろされると、家から見える山の洞窟の前だった。


「ここが…」


「足がぁ」

「おい、何が起こった!?」

「血が、血が止まらねぇ!」

「お嬢……」


後ろを振り向けば阿鼻叫喚。足がもがれたり目が抉られていたり、腹が空洞になって絶え間なく血が吹き出していたり、両手両足の骨が折られていたり。


骨が折られている新入りさんは自分がやったが、他のは私の足元でバリバリと足の骨を食んでいる奴だ。


「おやおや、伯爵令嬢は随分とまぁ恐ろしいペットを飼っていることで。」

洞窟の奥から金髪の巨乳が出てきた。

「君が吸血鬼?」

「…えぇ、まぁ。そういう貴女こそ本当に令嬢なの?」

「じゃあ、さ。吸血鬼君。解剖か、それともペットになるか、どうする?」

ウズウズ。ちなみにオススメは解剖です。

「無視ですか、それに私はレイフィアという名前が有りますので。問いについてはどちらも遠慮させていただきます。」


「……じゃあ、モルモット兼ペットにしようか」


デウス・エクス・マキナを起動。

その一歩は音より速く、人外といえど反応することは叶わなかった。


故に、吸血鬼レイフィアが、顔を掴まれたと思ったときには、既に後頭部を地面に叩きつけられていた。


「ほら、まだやる?」

「あ、あが?」

顎が砕けた。吸血鬼の化け物の肉体はその程度のダメージで抑えた。鉄の塊でさえ歪ませる一撃を。


「まだやるかって聞いてんの?」

話せない、首も痛くて動かせない。吸血鬼の回復力でさえ骨が粉々になれば数分は欲しいところ。それがわけのわからない内に起きたのだから勝ち目はなく、拒否をしたいがリアクションが取れない。


「…馬鹿なペットには躾をしないとね。」




______________________________




たっぷり四時間。組員が現場に辿り着くまで調教をしていると、吸血鬼も従順になった。今は四つん這いで椅子になっている。


「シャル様!」

「誰が愛称で呼んでいいって言った?」

そう言って、鞭を振るう。

「ぁあんっ、申し訳御座いません、シャーレ様、罰に御御足を舐めて綺麗にさせていただきます。」

そう言って靴を脱がせ始めたので踵で顎を蹴り上げる。すると顎を抑えて悶えながらも嬌声をあげている。


「勝手なことをするなって。反省できてないようなら殺処分するよ?」

聞くやいなや、愕然とした顔で震えながら謝り始めた。

ぶっちゃけ、かなり愉しい。体の相性とはあるもんだなぁ、としみじみ思った。

しばらく遊んで魔核を取り出す予定だったのに気に入ってしまった。今ではバラすのは勿体無いなと思ってしまうくらいだ。



「お嬢!ご無事で!?」

「ザン、無事かそうでないかではない、私が拐われたことが問題なんだ。」

組員筆頭のザン・ギークを先頭に十数名の偉丈夫たちがやってきた。


「……申し訳御座いません。今回の件につきましては、私の首を。」

言うとザンさんは自分の首に剣を当てた。

「いや、まぁ要らないよ。別に被害は無かったしね。今後の働きに期待してるから、頼むよ?」

「はっ、温情に感謝します。で、お嬢、怪我は有りませんので?」

ザンさんは困ったような、申し訳ないような顔をした。血だまりの上に八歳の少女が見知らぬ女を椅子に座っているのだ。耐性がある組員でもわけがわからないのだろう。


「怪我は無いよ。でも、さ、それ。」

そう言って両手両足が捻じ曲がり失神している新入りを指差す。


「身代金目的に私を売ったんだよね〜。」


「なんとっ!?」


ザンさんは瞬時に鬼のような怒りを浮かべた。私には分からないがレイフィアは「人間にしては中々の殺気ですね」なんて言っていた。


しかし、ザンさんは直ぐにそれを抑えると、色々なことで呆然としている組員たちに指示を出して、私には帰ることを促してきた。


「フィア、帰るよ。」

鳩尾を踵で軽く蹴り、椅子から降りると、思いのほか入ったのか、地面を転げ回りながら気持ち良さげにしていた。


「…お嬢、その方は?」

「うーん、新しい護衛ってとこかな?」

「シャーレ様!私めを従者に!?」

コラコラ、近寄るな、暑苦しいし血生臭い。


「失礼ですが、お嬢。この娘、戦えるのですか?」

「それはまた今度試してみればいいわよ。じゃあ、先に戻ってるから。」


ザンさんは何か言いたげだったが、新入りさんのこともあってか引き下がった。


ザンさんが連れてきた馬車に組員数名と共に乗り、街へと戻って行く。



ちなみにフィアは血だらけ泥だらけだったので後からついて来いと言ったらランナーズハイなのか良い顔をして馬車に並走してきた。





ブクマ、評価ありがとうございます。

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