firsttouch
よろしくお願いします。
東京某所
「ハァハァ…」行き乱れ逃げ惑う若者。時間は午前零時を過ぎる。カタカタとなる足音。下駄を履いているのだろうか。得体の知れないモノが徐々にこちらに近づく。
「もう。勘弁してくれ。」ほおを滑り落ちていく涙が地面を濡らす。
「オイ‼︎誰か…いないのか?おい。嘘だろ。ここは東京だぞ。」
「ココニイルヨ」人の声をスロー再生させたような低い声が聞こえ思わず振り向く。
「お前は誰だ?」
「ボクハ…」その続きを聞き終える前に、若者の視線は下の方へと落ちていく。ドサッという音がなり、声の主の足元が見える。
3日後
「あーこりゃまた派手にやられたね。」
「警部やめてください。不謹慎です。罪なき人の命を奪う。最低残虐な事件。これで3件目ですね。」
「ああ。すまないねキョウコ君。こんだけ派手に好き勝手やられて警察は黙っちゃいられない。そろそろマスコミもうるさくなってくる頃だ。」
「私、マスコミ嫌いです。」
「僕もだよ。無能無能ってコケ下ろすことがやつらの仕事なんじゃないかって思っちまう。ただね。いろいろ聞きに来る記者の人らは上に聞けって言われたから聞いてくるんだよ。記事を書く人らも書けって言われたから書いてる。」
「なにがいいたいんです。」
「僕らも同じだってこと。調べてこいって言われたからここに来てる。僕らの意思とは関係なくね。」
「私は違います。私は犯人が憎い。必ず捕まえて死刑台におくってやりますよ。」
「女の子がそんな言葉使うもんじゃないよ。穏やかにいこうよ。」
「警部。そんなこと言っていたら時代に置いていかれますよ。今時の女の子は強いんですから。」
「はぁ参っちゃうね。これからはフェミニズムも現場に持ち込むようにするよ。」
「お願いします。とにかく犯人確保のため、なんとしても証拠を掴みましょう。」
結局この日警察は確固たる証拠を掴むことが出来ずに現場を離れることとなった。予想どおりマスコミ各社が今回の失態を警察の責任だと決めつけ、批判した。
1日後。
朝のニュースで東京での連続殺人事件についての報道がなされた。
「物的証拠となる凶器や犯人像などは明らかになっておらず、監視カメラに収まられた証拠となる映像がなぜか消去されていたため捜査は難航しています。」
学校
「どう思う今回のこと?」同クラスの神崎学に話しかけられた。
「今回ってなんのこと?」進藤陽はとぼける。
「わかってるくせにさ。東京の連続殺人鬼のことだよ。」
「どうって、別になにも、、、」
「警察は事実を隠蔽してる。絶対に。」
「お前もマスコミのためにホイホイ踊ってやるくちだったのか?意外だな。」
「そうじゃない。マスコミと警察はグルだ。表では仲悪そうに振る舞っていても裏じゃ仲睦まじく手をつないで歩いていたりする。」
「もしそうだとしてもお前になにができる。高校生のお前に。」
某所
「動き出したか。奴らが。」
「ハイ。」
「日本いや、世界中が荒れる。」
「我々はどう動くのですか?」
「まだ、様子見だ。ラストパージまでの残り三ヶ月人々がどう踊るのか楽しみじゃないか。」
激動の3ヶ月が始まる。それぞれの思惑が交差し動き出す。