英雄
俺は子供の頃、町から離れて遊んでいる最中戦争に巻き込まれた。
自分を守る手立てなどなかった。武器を持ったこともない。
俺の周りでは鉄と鉄が交わる鉄の音が響き渡る。
周りには剣や槍色んな武器が落ちていた。
周りに倒れている人たちが使っていた物だろう。
俺はこんなとこで死にたくなかった。
その時、俺のほうに矢が飛んできた。
俺はとっさに避けた。自分の足元に矢が刺さった。
動いていなければ自分の体に刺さっていたであろう…。
兵士は全く俺に気づいていなかった。いや、気づいていても一人くらいの命どうでも良いのかもれない。
俺は見捨てられたのだ。自分の国に
一人の兵士がこちらに近づいてきた。
助けてくれる…。そんな甘い考えを俺は持っていた。
「子供も殺す!」
その兵士は剣を俺に向け。突く。
俺はこの時、死んでいた。本来なら…。
「子供まで殺すことはないだろう?」
キーン!
俺の目の前で鎧を着た男が剣を弾いた。
「な!?」
「私はただ、救える者を救うのみ」
男性は俺を持ち上げ。
「しっかりつかまってろ」
片手で剣を片手で俺を持ち戦場を駆け抜けていった。
戦場から離れて俺の住んでいる町についた。
「ここなら大丈夫だろう」
「あ、ありがとうございます…」
剣を持った男性は俺を助け町まで運んでくれたんだ。
「もう、戦場に近づくなよ」
そう言って男性は離れていった。
俺は、その時、自分を助けた者がかっこよくて、憧れた。
それから10年後。
俺は憧れたあの人のようになりたいと、俺は助けられたあの日から体を鍛えた。
10年間で鍛えた体は普通の戦士より強いものだった。
憧れていたあの人のようになりたいという俺の決意が強くさせたのだ。
俺は家を…。町を飛び出し旅に出た。
救う者を救いに行くために。
俺は、いくつ者戦場を駆け抜けた。
時には傷つき、致命傷なものを受けたこともあったが…。
俺は人を救った。
初めは一人、戦場で倒れていた子供を救った。
次に五人、旅をしている青年達を守りながら誘導をした。
他にも…。たくさんの人を助けた。
数え切れないほどの人を…。
ある時、俺はいつものように
町でひっそりっと休息を取った。
時々、町を目指す時に通る森などで獣を退治し、その皮をうったりすることで旅の資金にしていた。
朝日と共に目覚めた。いつものように朝の運動として鍛錬をし行動をし始める。
そんな時、兵士が俺の目の前に現れた。
俺は油断をせず、いつでも剣を抜ける場所に手を置いて話を聞いた。
「おはようございます」
「おはよう」
「○○様ですね」(名前は考えていない)
「あぁ、そうだが」
最近、俺の名前が色んなとこで出回っていた。
「あなた様を我が王があなた様に会いたいとおっしゃっています」
俺は断る理由がないので兵士が言う。王に会いに行った。
王の間にて俺は図が高いなどといわれたが、俺は立っていた。
礼儀知らずで追い返されても俺としては何も困らないからだ。
「君が英雄の…」
王が出てきてすぐに口にしたのはそんな言葉だった。
「英雄?」
聞き覚えのない言葉だった。
「あぁ、君は色んなとこで人を救い出していることが色んなとこで噂になり君を英雄と称えている」」
「英雄ね…。それで、あなた様は俺に何用で?」
「王になんて口の聞き方を!」
近くの兵士が言ったが
「いやいや、良いんだ」
王は簡単に俺の行為を認めた。
「それで話なんだが。我らに協力してくれないか?」
王は守護もなく聞いてきた。
「戦争にか?」
当然、戦争なんだろうっと思っていたが聞いておいた。
「あぁ、そうだ。君の力があれば戦争に勝てるんだ」
「断る。俺は人を救うためにやっているんだ。戦争に興味はない」
「権力でも金でも用意するぞ」
「そんなものに興味はない」
「そうか、それは残念だった」
王は部屋を出て行った。
「最後に一度。考えは直さないのか?」
「俺の意思は固いです」
「それは残念だった…」
王が去った後、俺も帰った。
町をぶらついていると
「大変だ!町の外で!」
住民が慌てて大声を出していた。
「どうした!どうしたんだ!」
その住民に近づき話を聞くと若い青年が森で兵士に追われているらしい、この住民は運良く町にまで戻ってこれたと言う。
俺は駆け出し、森に向った。
「どこだ!どこにいる!」
大声を上げ出しながら走り回った。
「はぁ…はぁ…」
10分もすれば息が上がった。
「おやおや、話題の英雄さんじゃないか」
「!?」
俺の目の前に現れたのはさっきまでいた町の兵士だった。
「な、なぜ…」
「お前が目障りだから仲間にするか…。または始末すると王が決めたのだ」
思えば王の行動はおかしいのかもしれない…。
「そのために1人の住民を…」
怒りがこみ上げてきた。
「あぁ、お前はここで死んだら住民は無事だから安心しろ」
「てめー!」
剣を抜き立ち向かった。
木に隠れている兵士を入れて15名。それが俺を殺そうとした者の数だった。
俺は全兵士を倒した。
この力が英雄と呼ばれるものだったのかも知れない…。
「住民だ…住民を助けなければ…」
俺は傷ついた体で森をさまよった。
1時間。いや、苦しいので時間の感感覚が鈍っている。多分10分くらいだろう。
俺はそれだけの時間歩き続けて住民を見つけた。
「兵士は倒した。安心してくれ」
必至に声を出した…。
「あ、ありがとうございます」
俺はその言葉だけで救われた…。
助けた男性が俺の横を通り過ぎる時…。
グサ…
「え?」
俺の胸に短刀が刺された。
「ごふ!な、なぜ…」
「僕も。王の命を受けているので」
俺は…。ただ人を救いたかっただけだ。
10年と少し前に助けてくれた。あの男のように誰かを救えるようになりたかった。ただ、タダそれだけなのに…。
そんなものは憧れだった。
かなわない夢…。最後に救おうとしたものに殺され、死ぬ…。
それが現実だった。
ただ、俺は暗い、暗い森の中でひっそりと息を止めた。
また、暗い物を書いてしまった…。