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第一章〜その後〜

真っ暗な世界。


何も見えない。感じられない。


上も下も右も左も分からない。


「やーい、バケモノ!!」


声が…聞こえる……。


「おい、聞いてるのか!!バケモノ!!」


まだ幼い……、男の子の声。


「私、バケモノじゃないよ……ッ!!」


今度は女の子……ああ、そうだ。


これは……。


「私は普通の女の子なのに……」


幼いころの私だ!!




「……ッ!!」


慌てて目を開けたが空からサンサンと降り注ぐ太陽が直接目に入り、思わず目を閉じた。


なんで太陽が……、ちょっと状況整理。


確か薫ちゃんと戦ったんだよね、私。そして圧倒されて魔力が底をついて…、


「倒れたんだわ…私」

「起きたのか?」


薄く目を開けて声のする方を見てみると、そこにはたった今思い出していた顔があった。


「薫…ちゃん?」

「誰が薫ちゃんだ、不満面」


不満面って…、確かに薫ちゃんは失礼だったかもしれないけど、不満面はもっと失礼なんじゃないの?


桐埜は頬を膨らませるとツンとした表情で前を向いた。


「なんであなたがここに?」

「お前がぶっ倒れたから看病してやったんだよ。ありがたく思え、普段の詩織なら絶対に俺を女と二人きりにしないからな」

「何それ?自分がどれだけ良い男だと思ってるのよ」

「少なくとも、不満面にとってはヒーローだろ?」

「桐埜よ」


薫は突然のセリフに「え?」と言って目を丸くした。


「私にだって名前があるのよ。不満面はやめて」

「キ、キリノ…?」

「そう、桐埜。よろしくね、薫」

「か、薫!?」

「いいじゃない。あなたも私を名前で呼んだでしょ?」

「いや、それはキリノ…あ、いやお前が勝手に」

「別に悪いことはしてないわ。それとも不満でもあるの?」

「不満は、ないけど、なんて言うか…」

「ああっ、もう!」


桐埜は急に薫の制服を掴み近づいてくると顔を真っ赤にしながら俯き、小さな声で呟いた。


「名前で呼び会いたいの……ダメ、かしら?」


その姿はあまりにも可愛くて、綺麗で、可憐であった。


そんな顔されたら断れないじゃないか。


「…仕方ないから、特別に許してやる」

「ふふっ、素直じゃないのね」

「悪かったな」


「あー!!何してるの薫ちゃん!!」


2人の空気がどことなく甘くなってきたタイミングで颯爽と詩織が現れた。


「私というものがありながらぁ!!」


詩織はそんなことを言いながら薫の頭をポカポカと叩いき始める。


「詩織!」


そんな詩織を止めたのは意外なことに桐埜だった。


「薫が痛がってるわ、やめなさい」


そう言って薫の右腕へと絡み付いてくる。


「んなっ!んななななななっ!!」


詩織は顔を真っ赤に染めるとワナワナと震え出した。


そして意を決したような表情をすると何を思ったのか薫の左腕に絡み付いた。


「薫ちゃんは私のものなんだよ!」

「あら、まだ付き合ってないんでしょ?なら私にもチャンスはあるわ」

「くっ…それを言われると…」


「頼む…いい加減にしてくれ…」


薫は深いため息をつきながら空を仰いだ。


「ああ、神様。どうして僕は静かな星の下で生きられないのでしょう?僕がお嫌いなのですか?」


「なんか、楽しそうだね」

「ん?ああ、そうだな」


そんな3人の様子を眺めていた結城と歩夢は、何やら近寄りがたい雰囲気を感じとりその場をあとにした。


「ねぇ、薫。あなたのお部屋は何号室なの?今日遊びに行くわ」

「ダメダメ!薫ちゃんの部屋は私専用なんだから!」

「おい、キリノ。あまり詩織を困らせるなよ」

「キ、キリノ!?いつからそんな仲になったの!?」

「あら、ヤキモチかしら?ずいぶんと余裕がないのね」

「ぐっ…ま、まぁ名前ぐらい許してあげるよ。あ、あはは…」

「で、何号室なのかしら?」

「やっぱりダメぇ!!」


3人の騒がしい日常は終わらない。


まだ青春は始まったばかりなのだから。




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