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Opening

西暦2064年。


第一次魔法大戦。またの名を第三次世界大戦が終結したばかりの日本で1人の少年が戦っていた。


夕暮れの人里離れた公園では、どう頑張ってもまだ小学生にしか見えない少年は、目の前に聳え立つ巨大な壁と戦っていた。正確に言えばそれは壁などではなく30歳ぐらいの男性だったのだが、少年にはそれが壁にしか見えなかったのだ。


それほど強力で強大で巨大な力を持ったその男はタバコをふかしながらニヤッと笑った。受動喫煙なんて全く気にする様子もなかった。


「少年…今日はもういいんじゃねぇか?」


男はニヤッと笑った顔を急に引き締め直すと少年にそう告げた。


「お前はまだ9歳だ。そんな年からこんなことばっかしてっとろくな大人になんねぇぞ?」


男は再びタバコをふかし、「ま…俺が言えたこっちゃねぇけどな」と言った。


「ダメなんです」


だが少年は首を縦には振らなかった。


「僕はまだ…しおりちゃんを護れない。しおりちゃんの変わりに戦うことなんて出来ないんです」

「何をそんなに急ぐ……少年?」

「しおりちゃんが大きくなって、大人になったら…僕がしおりちゃんの変わりに戦うんだ…だからッ!」


少年はその幼い顔付きには明らかに不釣り合いなほどの、確固たる決意を宿した瞳で男を睨み付けた。まだ年端もいかない少年には、同年代の子供には決して真似できない瞳だった。


「僕は…強くなるんです!!」

「……よく言ったぁ、少年ッ!!」


2人は距離をとると、お互いに圧縮した魔力を法式へと流し込んだ。


「「燃えて散るは我が目に移るその体。無くすものなどこの世に残さん。全てを焼き、蹂躙し、殲滅せよッ!!」」


2人はまったく同じ速度で全く同じ法式を唱える。


そしてその場に決して消えることのない、禍々し過ぎる、脅威的な威圧感を秘めた黒と青の炎を纏った巨大な鳥が現れた。


「「炎式の五八、不死鳥ッ!!」」


この日、この場所を中心とした半径100mが一瞬にして焼け野原へと変わった。


全てが謎に包まれ、発火の原因すら分からなかったその大火災は、結局迷宮入りし、タバコのポイ捨てか何かによるものだと判断された。


だがその出来事を見ていた人々は今でもこう語るという。


「あれは…戦争よりも悲惨だった」と…。


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