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倒錯郷 ∕ Perversion Philia  作者: 冬木 アスタ
1/2

禁域〖倒錯郷〗 ~ Untouchable Region

( *・ω・)ノヤァ( _ᐛ )ノユゥ(*゜▽゜)ノヨォ


【冬木 アスタ】でございます。

「倒錯卿 ~ パラフィリア」を作り直しました。

全く新しい作品になりましたが、どうぞご覧ください。

─満月の夜 深い森


はぁ…はぁ…


「いたか!」

「こっちには見当たりません!」


逃げなきゃ…逃げないと殺される…


「見つけたら、有無を言わさず殺せ!

 あの()()を逃がすな!」


僕は…悪魔じゃない…

僕はただ…思いを伝えただけだ…

昔からの付き合いであるアイツに…好きだと言っただけだ…

同じ性別だからと言って…こんな…こんな事に…


「あっ…!?」


僕は足を踏み外して、崖から転げ落ちる…

全身に強烈な痛みを受けながら、下へ下へと転がって行く…

意識もだんだん遠くなる…このまま死ぬのだろうか…


|


「こ……一……

 …い……丈……」


誰かに声をかけられている気がする…

ほんの少し、意識があるようだ…

けど、声はでないし、体は動かない…

このまま死ぬ…僕がそう思ったと同時に、意識が遠くなっていく…


|


「ん…

 こっ…ここ…は…」


深い眠りから覚めた僕は目を開ける。

意識をハッキリさせ、知らない天井を目に焼き付ける…

そして、ゆっくり起き上がり、周りを確認してみる。

僕の様子は包帯がグルグル巻きにされており、ソファに寝かされていた。


「………ここ…どこ…」

「起きたか?」

「!?」


扉の方から声をかけられた…

僕は恐る恐る首を向けると、男の人が立っていた。


「よう、長い眠りだったな」

「あっ…あなたは…」

「私はメメントモリ・ユー

 葬儀屋をやっている」

「そっ…葬儀屋!?

 じゃあ…やっぱり僕…」

メ「生きてるから安心しろ」


メメントモリさんはそう言いながら、僕がいるソファへ近づいてくる…


メ「やれやれ…活きのいい死体があると思った

  ら、瀕死の人間だったとは

  ズッコケそうになったぜ」

「(活きのいい死体?)」

メ「お前、名前は分かるか?」

「名前…ジューン・ビーコルンです…」

メ「ジューンか、よろしくな」

ジュ「よっ…よろしくお願いします」


|


メメントモリさんに体を拭いてくれたり、包帯を巻き直してくれたりしてくれた。

僕の体は思った以上にボロボロで、7日間も眠っていたらしい…


メ「そんで、私が治療してあげて今に至る」

ジュ「あの…何から何までありがとうございま

   す…」

メ「まっ、無事で何よりだ

  完全に怪我が治るまで、ココにいると良い」

ジュ「えっ…でも…

   迷惑じゃないですか?」

メ「別に迷惑じゃないさ

  それにお前、王国から追われてるんだろ?」

ジュ「!!

   どっ…どうしてそれを…」

メ「禁域にやって来る奴は大抵そうなんだ」

ジュ「禁域?」

メ「ココは"倒錯郷(とうさくきょう)"と呼ばれる禁域だ

  王国から迫害された者、忌み嫌われし者、追放

  されし者達が集まった場所だ

  基本的には結界が張られているから、王国の奴

  らは侵入出来ない様になってるんだ」

ジュ「倒錯郷…名前だけ聞いた事があります…

   絶対に近づいては行けない場所だって…」

メ「国民の奴らは俺達の事を好き勝手言うよな

  ただちょっと普通じゃないだけなのに」


メメントモリさんと会話をして、少し気が楽になってきた。

禁域の住民はろくでもないって噂されてたけど、案外そうじゃないのかも…


「お〜い、メメ〜」

二人「!」

「王国の兵士達の死体あったから、持って来た〜

全く、懲りない奴らだね」


何かおぞましい事を言いながら、メメントモリさんと同じ背格好をした人がやって来た…


「ん?

あれ!生きた死体くん!?」


生きた死体…?

それって…僕の事!?


「良かった〜、あそこまで瀕死だったのに〜

メメに何かされなかった?」


目にも止まらない速さで僕の所へ駆け寄り、両手で僕の顔を潰したり、伸ばしたりする…

やめてと言いたいが、言えない…


「おうおう〜可愛らしいねぇ〜

…だぁ!?」

メ「ジューンが困ってるから、やめてあげろ」


メメントモリさんがゲンコツしてくれたおかげで解放された…

僕はヒリヒリになった顔を優しく揉む…


「ジューンくんか〜

俺はフランペイン・トーチャー

フランって呼んでね☆」

ジュ「ふっ…フラン…くん?」

フ「よろしくね〜ジュンくん!」


|


メ「んで、何しに来たんだよ?」

フ「さっきも言っただろ?

  兵士の死体が何体もあったから、持って来たっ

  て」

メ「おぉ、そうか

  久々の死体…楽しめそうだな…」


二人の会話が高次元すぎて、僕は震えてしまう…

禁域には日常的に死体があるのか…?

メメントモリさんは何故、死体と聞いて興奮してるんだ…?


メ「じゃあ俺は仕事をしてくるから

  フラン、ジューンを頼む」

フ「了解〜」


メメントモリさんはそう言い残し、部屋から出て行ってしまった…


フ「さぁて、ジュンくん!

  お兄さんと何して遊ぶ?」

ジュ「えっ…えっと…」

フ「でもキミは病み上がりだってね~

  よかったらお兄さんが子守唄を歌ってあげるよ」

ジュ「だっ…大丈夫ですよ!」

フ「いいからいいから〜」


僕は抵抗出来ず、フランくんに軽々持ち上げられてしまった…

凄く細い腕なのに…どこに筋力があるんだろう…


ガシャーン!!!


二人「…!?」


外から大きな音が鳴り響いた…

フランくんは僕をソファに置いて、窓の外を確かめる…


フ「………」

ジュ「ふっ…フランくん…?」

フ「しっ…

  ジュンくん、そのまま動かないで」


フランくんにそう言われ、僕はじっとその場に留まる…


ジュ「なっ…どうしたの?」

フ「兵士が来た」

ジュ「…えっ?」

フ「多分、キミを連れて戻しに来たんだ」

ジュ「えっ…えっ!?」

フ「普段は侵入されても、直ぐ死ぬのに…

  何処かに抜け穴が空いてたか?」


フランくんが一人ブツブツ呟いている…

兵士達に連れ去られたら、僕は…


フ「まぁ、メメが何とかしてくれるでしょ」

ジュ「何とかって…」

フ「ジュンくん、見てな

  面白い事が起きるから」

ジュ「…?」


|


メ「………」


相棒のスコップを持って、仕事を始めようとしたのに、何故か数人の兵士に囲まれている…

相手は剣やら鉄砲やら、様々な武器を持ち、私を脅してくる。


「貴様…倒錯郷の住民だな…

 ココに逃げ込んだ子供を知らないか?」

メ「さぁ?」

「答えろ、貴様なんかに拒否権は無い」

メ「なら、私にも答える権利は無い

  禁域(こっち)は不可侵条約を結んでいるのに、そっちが無断で

  侵入するのはどうかと思うがね」

「黙れ!

 愚民の癖に、我々に歯向かうな!」


愚民ねぇ…愚か者なんて星の数程いるのに、何故コイツらは私達ばかりにキツく当たるのだろう?


「貴様らのせいで、仲間が多く死んだ…

 表にあった死体も…今大地で眠っている死体

 も…」

メ「だから、私が葬ってあげてるんだろ?

  それに約束を破っているんだから、そっちの自

  業自得だろ」

「貴様…!!!

 殺れぇ!!!」


怒り狂った兵士(おやじ)が指示を出すと、周りは一斉に突撃して来た。

有無を言わさずに殺すつもりだろうが、意味が無い。

私は兵士達の攻撃を容易く交わす。

直線的だし、分かりやすいし、反撃をするまでもない…

よくこの腕前で国を護ろうとするな…

私はそう思いながら、魔術を使う準備をする。


メ「あらよっと」

「!」


私は宙に浮き、兵士(ざこ)共を見下ろす。

つまらない茶番劇(たたかい)に付き合うほど、私も暇ではない。

下にいる兵士達は弓や鉄砲を発射してくるが、さっきより避けるのが簡単だ。

まだフランや他の奴らの攻撃の方がまだ避けにくい。

けれど、拉致が開かない…

仕方がない、()()()


メ「お前達がいくら技術を向上させても!

  禁域の魔法には敵わない事を証明してやる

  よ!」


私は指先に魔力を溜め、魔法を解き放つ。


メ「【火葬魔灯(フェイタルファイア)】!」


私が魔法を唱えると、一瞬で兵士達が火達磨(ひだるま)になった。


「ギャアァアァァァアァ!!!」

「熱い!?!?!!熱い!!!」

「みじさ…みしあざしぁ!?!」


熱い熱いと騒ぎ続け、火達磨(へいし)達はやがて骨になるまで燃え続け、残りはリーダー的存在の親父ただ一人。


「なっ…!」

メ「今のは火葬の魔法

  死体をこんがり焼く為の魔法だ」

「きっ…貴様!」


あの光景を見ても、まだ怯まないとは…

これ以上生きた人間を葬っても仕方が無いし…

私は親父にスコップを突き刺し、伝言を伝える事にした。


メ「兵団の…()()()に伝えろ

  "罪人はもう倒錯郷(こっち)の住人だ

  もし連れ去る様な真似をしたら、容赦はしな

  い"…って」

「なっ…なんだと…」

メ「10秒以内に立ち去らなかったら(ころ)

  アイツに伝えなかったから(ころ)す」


私は強く脅し、カウントダウンを数える…

怖気付いた親父はへっぴり腰で逃げ帰って行った


|


兵士の人が猛駆け足で帰るのを見て、僕はフランくんに話を聞く…


ジュ「いっ…今のは…」

フ「今のはメメの得意魔術だね〜」

ジュ「まっ…魔術!?」

フ「王国は武器や技術が発達してるだろ?

  禁域では魔力が充実してるから、魔術が一般な

  んだよ

  それにしても、人が焼け焦げるのはたまんない

  ね〜 ♪ 」

ジュ「………」


僕は改めて、禁域がどの様な場所かを理解した…

価値観も常識も王国とは違う、王国には無い力で禁域は巡っている…

倒錯郷(ここ)は別世界なんだ…

そんな場所に僕は迷い込んだ…いや、誘われたんだ…


フ「じゃあジュンくん、メメの所に行こ ♪ 」

ジュ「…へっ?」

フ「よーいしょ!」

ジュ「うわぁぁ!?」


フランくんは僕を軽々担ぎ、二階の窓から下にいるメメントモリさんの所へ飛び出した…

落ちる恐怖のせいでよく覚えていないが、フランくんの楽しそうな声が聞こえた気がしたが、僕はそれどころではなかった…


メメントモリさんの起点で、僕は禁域の住民になり、これからを過ごして行く事となった

不安と恐怖でいっぱいだが、心の何処かで安心している自分もいる…

禁域とは何なのか、何故王国から忌み嫌われているのか、徐々に分かっていけたら良いな。


END

【キャラクター】

名前の横にあるやつは二つ名的なやつです。


*ジューン・ビーコルン ∕ 王国の追放者

禁域に迷い込み、いつの間にか禁域の住民となっていました。

同性である、幼なじみに告白しただけで全国王の敵となりました。


*メメントモリ・ユー ∕ 禁域の葬儀屋

禁域で葬儀屋をしている青年です。

産まれた時から埋葬性愛(タフェフィリア)です。

名前は偽名です、何で偽っているかは不明です。

葬の魔術を得意とします。


*フランペイン・トーチャー ∕ 跪かせる嗜虐

メメントモリの親友である青年です。

可愛らしい少年、ジューンを愛でています。

産まれた時から加虐性愛(サディズム)です。

虐の魔術を得意とします。

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