終夜、春を待つ
秋、木がオレンジ色に染まった。一辺倒ではなく、塾したような色や掠れて今にも落ちそうな色がある。
ただひたすらに外を見る。
イチョウの葉が1つ落ちた。
また1つ、落ちた。
木の間から光が差し込む。木に影が生まれ、そこにまた1つイチョウの葉が落ちる。
影が東に落ちていく。影が周りと同化して気づけば消えてなくなった。冷たい風切り音が聞こえた。
不完全な月が闇を照らす。わずかな光がまた、木の間から漏れた。
イチョウの葉が1つ落ち、光が黄色が少し重みを持たせた。
気づくと東にオレンジ色の照明が点った。
少しずつ南に登り、1日が始まろうとした。
まだ全く白くないその照明で、オレンジ色の葉が少し濃くなった。
その木の幹が、少しずつ明るみになった。
茶色の皮膚が顕になった。
また少しずつ時が過ぎる。同じような日々が進む。
イチョウの葉が少しずつ少しずつ、落ちていった。
そして、重みを持った黄色のそれは全て地面にひれ伏してしまった。
誰かが箒を動かす。秋の手がかりが少しずつ無くなっていく。
時は過ぎ、また過ぎ、止まることなく進む。
終夜、春を待つ
僕の命は持たなかった。