討伐記念パーティー1
父さんがガシャドクロを討伐してから一日が経過した。
この日は討伐を祝うパーティーが開かれる日だ。
中々に準備することが多く、僕も朝からバタバタと動いていた。
「お兄様、こっちとこっちどちらが似合いますか?」
「そうだね、エレナは何を着けても似合うけど。しいて言うならこっちの青い髪飾りの方がエレナの金髪とマッチしてより可愛いと思うな」
「そうですか、ではこちらにしますね!」
今はエレナの髪飾りを選んでいたところである。
この前にもドレスはどちらがいいかと聞かれていたが、正直凄く悩んだ。
エレナは贔屓目無しにも凄く可愛らしく成長しているので何を来ても似合う。
だからエレナの魅力を最大限に引き出すためにドレスは凄く真剣に選んだつもりだ。
今は嬉しそうに髪飾りを付けて鏡で確認している。
「さぁレーナ、どっちのリボンがいい?」
「にゃん、にゃんにゃん」
僕はレーナに白いリボンと赤いリボンを見せると、小っちゃい手で白いリボンの方を叩く。
「こっちがいいんだね?じゃあ付けようか」
レーナの首元にリボンを巻いてあげる。
黒色の毛並みにワンポイント白が入ることでよりレーナの魅力を引き出している。
「おぉ、可愛いよレーナ!」
「にゃん!」
「レーナちゃん可愛いです!」
どうやらレーナも気に入ったらしい。
二人のおめかしが済んだ後は僕の番だ。
僕は適当な服を選んで着ようとすると、エレナからストップが入る。
「お兄様はそれを着るんですか?」
「ん?あぁ、これでいいかなって」
「ダメです!もっとしっかりと選びましょう!」
何故か火のついたエレナが僕の服を並べ、一つ一つ手渡してくる
僕としては直ぐに決めてしまってもいいと思ったんだけど、エレナがそれを許してくれない。
「これで良くない?」
「ダメです、お兄様にはもっと素敵な組み合わせがあるはずです」
「そ、そっか」
僕たちがあれこれやっていると、マリアが入ってきた。
「失礼します。おや?リオン様の服を決めているのですか?」
「マリア!ちょうど良かったです、マリアも手伝ってくれませんか?お兄様ったらろくに選びもしないで直ぐに服を決めようとするのです」
「それは行けませんね。分かりました、このマリアしっかりとリオン様に似合う物を選ばせて頂きます。」
「あはは、お手柔らかにね?」
それから僕は長いこと二人の着せ替え人形になった。
「やっぱりこっちの方が良くないですか?」
「しかしリオン様の魅力を引き出すのであれば、あえて黒色という線もあります」
「にゃん」
「レーナちゃんはそれがお兄様に似合うと思うのですか?」
「これは...一考の余地がありますね」
僕はエレナと別れた後に着替え始めれば良かったなと少し後悔した。
やっとの事で僕の服が決まると、かなりいい時間になっていた。
「ふぅ、完璧です!」
「素敵ですよリオン様」
「にゃん!」
「ありがとう...」
皆は褒めてくれるけど、パーティーが始まる前に凄く疲れた気がする。
その後は直ぐにパーティー会場であるジンヤ子爵の屋敷まで馬車で向かう。
「あら、二人とも素敵な格好ね?似合ってるわよ」
「お、今日はリオンも相当めかしこんだな」
「うん、エレナとマリアが選んでくれたんだ」
「そうか...(大変だっただろう?)」
父さんが僕のことを不憫そうな目で見ながらこそっと問いかけてくる。
「(うん、正直凄く大変だった)」
「(分かる、分かるぞリオン。俺も今日はリーシャが放してくれなかったんだ...)」
「(そ、そうなんだ...)」
「なにをこそこそと話しているのかしら?」
「いや!何でもないぞ!さぁパーティー会場へ向かおうか!」
「うん!そうしよう!」
こうして僕たちはジンヤ子爵の屋敷へ向かう。
会場に到着すると、既に大勢の人たちがいた。
今回のパーティーは討伐に参加した騎士たちやその家族、討伐を支援した商人など沢山の人たちが呼ばれている。
「おぉ、あれが今回の英雄ヴィンセント様ですか」
「なんとも凛々しいですな」
「素敵ですわ...」
「是非一曲踊りたいですわ」
やはり父さんは目立つのか、沢山の人の目が僕たちに集中する。
「うふふ、モテモテねあなた?」
「いや、その、俺がリーシャ意外になびくわけ無いだろう?だからなんだ、もう少し手の力を抜いてもらえると...」
「うふふふふ」
父さんと母さんは仲良さそうに腕を組んでいる。
母さんはとても楽しそうにほほ笑んでいるが、何故か父さんが冷や汗を流している。
しばらくすると、ライフィエル家の人たちが入場してきた。
そちらの方へ目を向けると、とても美しいアイリーンが目に入る。
「リオンさん...」
「アイリーン、とても素敵だね。妖精が迷い込んできたのかと思ったよ」
「そんな...リオンさんもとっても素敵ですよ?まるで王子様見たいです」
「あはは、ありがとう」
「ぐぬぬ...」
僕とアイリーンが話していると、アーロン伯爵が凄い形相で僕の方を見てきた。
「アーロン、いい加減その態度やめたらどうだ?」
「二人の事は納得はしている、だがこの感情だけは抑えられんのだ」
「あなた、見苦しいですよ」
「ぐぬぅ」
アイリーンは本当に愛されているようだ。
ただそんな父親の姿が恥ずかしいのか、少し顔を赤くしている。
しばらく歓談していると、ジンヤ子爵が姿を見せた。
そしてグラスを持った状態で話し出す。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。今日はめでたい日だ。我々を苦しめてきた強大な魔物が討伐され平穏が戻った」
ヤマツはしばらくの間ガシャドクロに頭を悩ませてきたと聞いていたので、本当に嬉しそうに話している。
「そしてこれを成した騎士やヴィンセント公爵、アーロン伯爵に惜しみない感謝を」
その言葉と共に沢山の拍手が鳴り響く。
「挨拶はこのくらいにして皆パーティーを楽しんでくれ。それでは、乾杯」
こうして討伐記念パーティーが開催された。




