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君への想い

声を上げながら男たちが襲いかかって来たが、僕は衝撃の魔術を使ってそれに対処していく。


「よい、しょ!」

「ぐぼぉあ!!」


衝撃の魔術が籠った拳で殴るたびに男たちが吹き飛んでいく。


「何をしている!相手は一人のガキだぞ!」

「でもボス、あいつ強いですぜ?」

「一人一人行くな!まとめて行け!」


ボスの号令と共に男たちが一斉に飛びかかってくる。

衝撃の魔術だけだときつそうなので他の魔術も使うことにした。

多対一だと何が良いか少し考え、水の魔術が良さそうなのでそれを使う。


「捕まえる必要があるから殺しはしないけど、当たると少し痛いと思うよ?水剣」


僕がそう唱えると、僕の周りに水で出来た剣が8本浮かび上がる。

現状だと、精密に操るのは8本が限界なのでこの本数にしている。


「凄いです。摸擬戦の時全然本気じゃなかったんですね」


しばらく水の剣や体術を使って男たちを凌いでいると、沢山の足音が聞こえてきた。

そちらの方にちらりと視線を向けると、馬車と共に沢山の騎士たちが走ってきていた。


「リオン様に襲いかかっている男たちを捕縛しろ!」

「はっ!」


騎士の隊長格の人がそう号令をかけると、騎士たちがあっという間に男たちを捕縛していった。

僕は一息ついた後にアイリーンのところまで戻った。


「どうやら助けが来たみたいだね」

「そのようですね」

「リオン様!アイリーン様!ご無事ですか!」

「うん、大丈夫だよ」

「はい、わたしもです」


アイリーンと合流した後、騎士たちに先導されて一台の馬車に案内される。

すると馬車の扉が開き、父さんが降りてきた。


「あ、父さん。来てたんだ」

「...。リオン、言いたいことはいっぱいあるんだが、まずはそうだな」

「?」

「このバカ息子が!!先走りやがって!」


父さんが手を振り上げたと思ったら僕の頭に拳骨を落とした。


「~!、いった~...」


久々に父さんに拳骨を貰ったがめちゃくちゃ痛い。

痛みに耐えていると、馬車からアーロン伯爵も降りてきた。


「アイリーン!」

「お父様!」


二人は抱き合ってお互いの無事を確認している。

その姿を見ると、確かに先走ったかもしれないけど助けて良かったなと思える。


「リオン、説教は後だ。まずはアイリーン嬢と旅館まで帰れ。リーシャやエレナも心配してたぞ?」

「分かった、ごめんなさい」

「は~、早く行け」

「うん」


どうやらお説教が待っているらしい。それに母さんやエレナにも心配掛けちゃったな。

アイリーンと馬車に乗るため、未だに抱き合っている二人に近づく。


「おぉ!リオン殿!アイリーンを救ってくれてありがとう!」

「うわっぷ。いえ、僕も凄く心配していたので体が勝手に動いたと言いますか...」


僕に気が付いたアーロン伯爵は、アイリーンとの抱擁が終わると僕に抱きついてきた。

それから何回も感謝された後、やっと解放されてアイリーンと共に馬車へ乗り込む。

助けたメイドさんは詳しい話を聞きたいからと残された為、馬車の中には僕とアイリーンの二人だけだ。


馬車が動き出してからしばらく無言が続いたが、アイリーンが話し始める。


「リオンさん、改めて助けて頂きありがとうございました」

「うん、アイリーンが無事でよかったよ」


アイリーンはこちらに頭を下げて感謝を言ってくる。

こうしてアイリーンと話すと本当に助けられて良かったと心底思う。


「攫われた後、もうダメかと思っていました」

「うん」


アイリーンが攫われた時の心情を語り始めた。

凄く怖かっただろう、今でも少し震えているので手を握ってあげる。


「あ、ありがとうございます」

「これくらい、いつでもしてあげる」

「はい...。その後、お父様やお母様にもう会えないかと思って凄く不安になりました」


あの牢屋の中は暗かったので、不安な気持ちが強くなったのだろう。

「そしてリオンさんにも二度と会えないかもと考えると、凄く怖くなりました」

「うん」

「もう一度でいいので、リオンさんに会いたいと思いました」

「そうなんだ、もう一度会えたね?」

「はい」



アイリーンの心情を聞いていると、少し嬉しくなった。

次は僕が話を始める。


「アイリーンが攫われたかもって話を聞いたときに、頭が真っ白になったんだ」

「そうなんですか?」

「うん、それで直ぐにどうやって助け出すかを考え始めて、魔術を使ってアイリーンを探し出した」


そう、あの時本当に頭が真っ白になって最初は信じられない気持ちが強かった。

でももしかしたら?って気持ちもあって直ぐに魔術を使ったんだ。


「それでアイリーンを魔術で見つけた後、父さんに場所だけ教えて旅館を飛び出しちゃったんだ」


今思うと、あれが体が勝手に動いたって感じなのかな。本当に自然と体が動いた。


「それであの部屋で君を見つけたとき、本当に安心したと同時にアイリーンが僕の中でどれだけ大きな存在かはっきり分かったんだ」

「リオンさん...」


アイリーンの手から伝わる温もりが、本当に彼女がそこにいると伝わり心地いい。

今から伝えようとしていることを考えると少し緊張してきた。汗かいてないと良いけど。


「アイリーン」

「は、はい」

「これから先も、変わらない笑顔で僕の隣に立っていて欲しい。好きだよ」

「っ!!」


アイリーンの目を見ながらそう告げると、目を大きくして驚いていた。

次第に瞳の中に涙が溜まっていき、一粒ほろりと頬を伝った時。


「はい、私も、お慕いしております。リオンさん」


その時に見せた笑顔は今まで見てきたどの宝石よりも輝いていた。


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