探し出して
SIDE:アイリーン
「あれ、ここは?」
確か今日は屋敷に残っている人たちへのお土産を選びに市場へ買い物へと来ていたはずです。
それから、確か変な匂いがした所までは覚えていますがそこからの記憶がありません。
部屋の中を見回してみると、私は簡素なベッドに寝ていたようです。
そして部屋の入り口には鉄格子があります、まるで牢屋みたいです。
「いえ、本当にここは牢屋なのですか?」
時刻はおそらく夕方ごろでしょう、窓から傾いた日が差し込んでいますがその窓にも鉄格子が嵌められています。
私がいる部屋の正面にも部屋があります。そちらを覗いてみると、その部屋のベッドに今日付いて来てくれたメイドが寝ていました。
「まさか、誘拐された...?」
どうやら異国の地で誘拐されてしまったようです。
どうしましょう?直ぐに私は脱出できるか考え始め、ひとまず魔法を使ってみることにします。
「聖よ、その身を守る盾となり、その身で振るう力となれ、聖鎧」
聖鎧さえ発動できればこんな鉄格子など直ぐに破壊して脱出できるので発動しようとしたのですが、詠唱してもまったく発動しません。
「どうして?」
「それはお前に嵌めた手錠に魔法を阻害する効果があるからだ」
「!?」
いつの間にか部屋の前に一人の男が立っていました。
細身で目つきの鋭い男です。
「あなたは?」
「俺の事はどうでもいい。それよりお前はどこの家の子だ?身なりが良いし商家か?豪家か?」
多分この男の人は私たちを攫った人だと思います。
ただ、私がどこの家の子供か分かっていませんでした。無差別に誘拐したのでしょうか?
「ライフィエル家ですけど...」
「ライフィエル家?まさか他国の貴族か!くそ、少し失敗したな...」
やはり私をこのヤマツ出身の子供だと思って攫ったようです。
これはもしかすると解放されたりするんでしょうか?
少し希望が見えてきました。
「まぁいい、結局やることは変わらん。他国の貴族令嬢なら値段も高いだろう、お前はこれから奴隷商の所で奴隷として売られる。そのあとの人生が良いことになることを祈っておけ」
「そ、そんな...」
希望なんてありませんでした。
どうやら私は奴隷として売られてしまうらしいです。もうお父様やお母様に会えないのでしょうか?
私の中で不安や恐怖が大きくなっていきます。
「お父様、お母様...」
ふいに頭の中にリオンさんの顔が浮かびます。
こんな事になるならリオンさんに想いを打ち明けておけば良かったです。
最後に一目だけでもリオンさんの顔が見たいと思ってしまいます。
「リオンさん...」
リオンさんにもう会えないと思うと涙が溢れてしまいます。
その時部屋が少し揺れて壁の方からガラガラとした音がなりました。
「きゃっ」
私はびっくりして声を上げてしまいましたがそちらの方へ目を向けると...
「おまたせ、助けに来たよアイリーン」
「リオン、さん...」
夕焼けを背にリオンさんが立っていました。
もう駄目だと思っていたところにそんな登場の仕方はズルいです。
「リオンさん!」
「おっと」
私はリオンさんの胸に飛び込んでしまいました。少しはしたなかったかも知れません。
でもリオンさんの胸の中は暖かく、そしてとても落ち着く匂いがしました。
☆
SIDE:リオン
何とか間に合って良かった。
探知した場所へ全力で向かい、壁を破壊すると泣いているアイリーンの姿があった。
アイリーンを泣かせた犯人に怒りが沸くが今はアイリーンをなだめる事に集中する。
「ひっく、えぐ、怖かったです...」
「もう大丈夫だよ、さぁ帰ろう」
アイリーンの髪を撫でながら慰めていると、段々と落ち着いてきた。
場違いな感想だけど、凄くサラサラで撫でてて気持ちが良い。
「ありがとうございます、もう大丈夫です」
「そう?じゃあ帰ろうか」
「あ、すみません。実はもう一人メイドが捕らえられていて」
「そうなんだ、じゃあその人も一緒に連れて帰ろうか」
どうやらアイリーンだけではなくメイドも捕らえられていたようだ。
牢屋の中に入り、反対の部屋を覗くと確かにメイドさんがいた。
「お嬢様!ご無事でしたか!!」
「目が覚めたのですね、良かった...」
「ちょっと待っててね」
僕は早速魔術を使って鉄格子を切断し、メイドさんを部屋から出す。
そのまま二人を連れて砕いた石壁から外に出ると、そこには武装した男たちが待ち構えていた。
「このガキが、やりやがったな」
「僕はただ誘拐されたこの子を助けに来ただけだよ」
「くそ、でもお前さえいなくなれば関係無いな。おい!やれ!!」
男がそう言うと、周りにいた男たちが一斉に駆け寄ってくる。
僕は直ぐに魔術を使って迎撃態勢を整える。
「アイリーン、ちょっと待ってて。直ぐ終わらせるから」
「はい...」
その言葉と共に僕は男たちを迎え撃つ




