まったりと
次の日僕は旅館でエレナやベルと遊んでいた。
昨日は色んな事があって楽しかったけど、こうやってまったりと遊ぶのもまた楽しい。
「お兄様、どうですか?」
「お、だいぶ動かせるようになってきたね」
今エレナは魔素を動かす練習をしている。
ヤマツへ来る馬車の中で魔素の動かし方を教えてから、エレナは暇さえあれば練習しているらしい。
そのかいあってか、かなり魔素を動かせるようになってきていた。
「本当ですか!あとどれくらいで魔術が使えるようになりますか?」
「う~んそうだね、まだ魔素の動きが大雑把だからもっと細かい動きが出来るようになったらかな?」
「細かい動きですか?」
「そう、魔素はこの空気中に無数にあるんだけど。それを一つずつ動かすイメージで動かしてみて」
「や、やってみます」
エレナは魔素を動かそうとしているがやはり想像が付きにくいのか魔素の動きが甘い
どうやったらエレナが魔素をイメージ出来るか考える。
「そうだ、エレナちょっと見てて」
少し考えてから思いついたので試してみる。
「氷結」
僕は氷の魔術を発動した。僕は掌で氷結を発動するとそこの温度が急激に下がり、少しキラキラした物が発生する。
「このキラキラしたもの見える?」
「はい、見えます」
「これが結構魔素っぽいんだよね、魔素はこんな感じで本当に小さい粒が空気中を漂っているんだ。だからこれを一つ一つ動かすイメージで魔素を動かしてみて」
「なるほど!分かりました」
ちなみにベルも一緒に魔素を動かす練習をしている。
さっきから話していないのは集中している為だ。ベルは一回集中すると結構周りが見えなくなることがある。
「ふぅ、どうだったご主人様?ちゃんと動いてた?」
「うん、結構動いてたよ」
実は今僕が魔素の動きを教えた中で一番動かせているのはベルだったりする。
僕が何も言わなくても魔素を繊細に動かす練習を一人で思いつき実践していた。
ただ魔素は見えないのでよく僕に聞きに来る。
「そうなんだ!よかった~。あとどれくらいで魔術使えるようになるかな?」
「多分後一週間も練習すれば簡単な魔法文字を作ることは出来るようになると思うよ」
「本当に!頑張るぞ~!」
ベルはいつも元気いっぱいだ、その姿を見ていると自然とこっちも笑顔になる。
その後も魔素を動かす練習をしていたが、少し休憩しようという話になって旅館に置いてあったオセロでエレナやベルと遊ぶ。
このオセロだが過去に勇者が世界に広めた物らしい。
まずは僕とベルでやるが結構ベルも強いので本気でやっている。
「ここかな」
「そこに置くのはずるいよご主人様~」
そんなことを言うとベルの耳も連動して倒れている。獣人種は耳や尻尾に感情が出やすいって話だったけど、ベルは多分人一倍出やすい体質だと思う。
セラと比べてもベルの方が耳や尻尾の動きが大きい。
「じゃあ私はここに置いちゃおうかな!」
「う、そこか~。どうしようかな」
そんな感じでベルとの試合はかなり接戦だったけど僕の勝利で終わった。
「よし何とか勝てた。エレナ、やろうか」
「はいお兄様!」
オセロは実はクロノエル家にも置いてあり、たまに家でも遊んでいる。
初めてエレナとオセロをやった時に加減が分からず本気でやってしまい、盤面が一色に染まってしまった時があった。
その時エレナが泣いてしまい、焦ったのを覚えている。
ちなみにその時、母さんにめちゃくちゃ怒られた。
あの時の母さんは怖かったな。
それからはエレナとオセロをやるときは気を使って一歩的な展開にならないようにしている。
ただ、オセロをやるたびにエレナも強くなるので最近は気を使うことが少なくなってきている。
「ここです!」
「良いところに置くね、じゃあ僕はここに」
そんな感じでエレナやベルと遊んでいると、夕方ごろに出かけていた父さんが帰ってきた。
「お帰り父さん」
「あぁ、ただいま。今日の話し合いでガシャドクロをいつ討伐するか決まったぞ」
「そうなんだ、いつになったの?」
「二日後だ」
二日後にガシャドクロを討伐しに行くらしい。
ガシャドクロは凄く珍しい魔物の為、実はかなり見てみたかったりする。
「そうなんだ、二日後か~。ねぇ父さん、僕もついて行っていい?」
「ダメだ」
「うっ、そうだよね」
いつもは何かお願いするときに少しは悩む動作をする父さんだが、今回は直ぐにダメと言われてしまった。
「今回は依頼で来ているし、何より危険な魔物だからな。リオンにはまだ早い」
どうやら僕が思っていたより危険な魔物らしい。
仕方ないけど今回は諦めよう。
「どんな感じで討伐することになったの?」
「一応領主が軍を出して一緒に向かうことになったんだが、メインで戦うのは俺とアーロンの二人だな。まぁ何とかなるだろう」
「そうなんだ、凄いな~」
やっぱり父さんは凄いな。そんな強大な魔物相手に二人で挑むなんて。
「言っておくがバーテックスキャットに一人で挑んだリオンも相当凄いからな?」
「レーナってそんな強い存在なの?」
「んにゃ」
「当り前だ、あの時は狭い戦場で何かあれば直ぐに俺が助けられるから許可したが本当だったら俺が倒してたぞ」
「にゃ!?にゃにゃ...」
「そうなんだ、凄いねレーナ」
いつものように僕の膝でくつろいでいたレーナを撫でまわす。
猫はあまり撫でられるのが得意じゃないって聞いたことがあったけど、レーナは結構撫でられるのが好きらしい。
「にゃんにゃん」
「ん?ここを撫でてほしいの?」
「んにゃ」
「はいはい」
しばらく父さんと話しているとマリアが部屋にやってきた。
「失礼します。ヴィンセント様、アーロン様がお見えになってます」
「ん?そうなのか、通してくれ」
「はい、かしこまりました」
アーロン伯爵がここに来たらしい。ガシャドクロ討伐の打ち合わせかな?
少し待っているとアーロン伯爵が部屋に入ってくる。
「いらっしゃい、どうしたんだ?」
「あぁ、こっちにアイリーンは来ていないか?」
「?どうなんだリオン」
「今日はアイリーンとは会ってないよ」
「そうか...」
その返答を聞いて神妙な顔をしているアーロン伯爵を見て、僕は胸騒ぎを感じた。
昨日上げられませんでした...




