アイリーンと模擬戦
お互いに向き合い、お互いに真剣な表情で佇む。
アイリーンを観察していると少し顔が赤いような気がする。
「アイリーン、顔が少し赤いけどもしかして体調悪い?」
「い、いえ!全然大丈夫です!むしろ元気いっぱいです!!」
「そう?ならいいけど」
どうやら体調が悪いと思ったのは気のせいだったらしい。
お互いに準備が完了し、マリアが合図をする。
「それではお互いに準備が出来たと思いますので摸擬戦を開始します。」
「分かった」
「はい」
僕は一度目を瞑り戦闘のスイッチを自分の中で入れる。
目を開きアイリーンの方を見つめる。
「(あぁ、リオンさんの真剣な表情とてもカッコいいです...)」
「それでは、摸擬戦始め!」
「ふっ!」
合図と魔素を操り魔法文字を顕現させて身体強化の魔術を使う。
体に力が漲ったところでアイリーンの方まで一気に飛び出す。
一足でアイリーンの懐まで飛び込み、小手調べの一撃を繰り出す。
「はっ!」
「はえ?」
しかしアイリーンは未だに動いておらず、慌てて寸止めをする。
拳がアイリーンの目の前で止まり、慌ててアイリーンに話しかける。
「大丈夫だった?やっぱり体調悪いんじゃないの?」
「いえ!すみません...少し気持ちが入っていなかったですね。もう一度お願いできますか?」
「本当に大丈夫?」
「はい」
どうやら心身統一が甘かったらしい、僕も経験があるので気持ちは分かる。
もう一度距離を取って向き合う。
「準備はよろしいですか?」
「うん」
「はい!今度は大丈夫です!」
確かにアイリーンの方を見るとさっきよりも身が入った目をしている。これなら大丈夫そうだ。
「では、始め!」
再び身体強化の魔術を使い、アイリーンに飛び込む。
「聖よ、その身を守る盾となり、その身で振るう力となれ、聖鎧」
どうやらアイリーンも身体強化の魔法を使ったらしい。アイリーンの体に透明な鎧が現れる。
聖属性の身体強化は全属性の中でもっとも攻守に優れている。
攻撃を半減させ、自らの攻撃力を上げる魔法だ。
僕は再びアイリーンに踏み込んで攻撃を繰り出す。
「はっ!」
「はい!」
突き出した手は受け流され、逆に攻撃をしてくる。
流石アイリーンだ。話には聞いていたがかなり高いレベルで武術を習得している。
超近距離で拳や蹴りの応酬が続く。
「これならどう!?」
「えい!」
僕は唐突に後ろ回転蹴りを繰り出したがアイリーンは体をそらすことでそれを回避して逆に出来た隙に攻撃を繰り出してくる。
僕はそれを見て盾の魔術を足元に作り、それを蹴ってアイリーンの攻撃を回避する。
少し距離が空いた。
「そ、そんなのありですか...」
「ふふん、魔術には無限の可能性があるんだ」
どうやら僕が変則的な動きをしたことにかなり驚いているようだ。
確かに突然空中で方向転換したからね、あれを初めて思いついて実践した時は自分でも驚いた。
「じゃあ仕切り直して行くよ?」
「は、はい...(その顔もとてもカッコいいですリオンさん)」
また少しアイリーンの顔が赤いような気がするが、運動しているから赤くなってるのかな?
僕は踏み込む瞬間に足元を爆発させ、かなりの推進力を得て突撃する。
「えぇ!?」
「行くよアイリーン!!」
そのままアイリーンの目の前まで一瞬で到達し拳を突き出すと、アイリーンは反応できなかったらしく動けていないので目の前で寸止めする。
「そこまで!」
「ふぅ、僕の勝ちだね」
「は、はぃ(あぁ、戦った後のほほ笑みは卑怯ですリオンさん)」
正直な所アイリーンはかなり強かった。
予想では余り魔術を使わないでも行けるかと考えていたけどいい意味で裏切られた。
おそらく僕と同じで素手の戦闘に天賦の才があるのだろう。
「戦ってみて分かったけど、アイリーンかなり強いね」
「はい、お父様に鍛えて貰いました。でもリオンさんの方が凄かったです。まさか魔術にあんな使い方があるなんて思いもしなかったです。魔法ではああいった使い方は出来ないですからね」
「確かに魔法は詠唱があるからね、魔術は少し使うのが難しいけど、詠唱が要らないのが利点だね」
そう、戦闘中に魔法を出そうとするとどうしても詠唱をしなければいけないので隙が大きくなるか、動きながらでも魔法を使う訓練をしなくてはならない。
「私も今動きながら詠唱ができるように訓練中なんです」
「そうなんだ、戦闘中に魔法を使われてたらまた違った結果になったかもね」
最近は父さんと訓練するときに平気で魔法を使ってくるため、そのいやらしさが分かる。
まぁ、僕も同じようなことをしているので人のことは言えないが。
「でも楽しかったです。ありがとうございました!」
「こちらこそありがとう、とても楽しかったよ」
こうしてアイリーンとの摸擬戦が終了した。
摸擬戦が終わった後は少し汗をかいてしまったのでお互いに温泉に入りたかったので今日はここで解散となった。
「次はいつ会える?」
「明日は少し用事がありますので明後日なら大丈夫です!」
「じゃあ明後日にまた遊ぼうか」
「はい!」
アイリーンと2日後に遊ぶ約束をして旅館まで帰り別れた。
温泉に入り疲れを癒す。それにしても中々に今日は濃い一日だった。
占いをしてもらい、かなり意味深な結果になったり。
神社を見て巫女さんに出会って意味深な事を言われたり。
アイリーンと摸擬戦をしたり。
こうして振り返ると意味深なことが多い一日だった。この先何が起こるんだろう?
少しの不安と期待を胸に温泉から上がった。
少し仕事が忙しくなってきたので一話当たりの文字数が少なくなります。
すみません。




