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ペットにしてもいい?

SIDE:バーテックスキャット


私が洞窟で寝ていたら二人の人間がやってきた。せっかく気持ちよく寝てたのに。


ここにたどり着いた時は、何故か魔物で溢れていたけど全部倒したから今は静かだし、魔素も多いから凄く居心地がいい。

私の眠りを妨げるとは万死に値する。

まぁいい、人間は基本的に弱い存在だ。さっと倒してまた寝よう。


「にゃん」


私は一鳴きした後に人間たちの前へと移動して攻撃する。


「っ!リオン!」

「やば!」


驚いたことに二人とも私の攻撃を回避した。あ、威力間違えて床壊れちゃった。

せっかくの寝床が...。これも全て人間が悪い。

とりあえずムカついたので小さい人間の方から倒すことにする。

多分あれは人間の子供だ、子供のほうが倒しやすいだろう。


「にゃん」


私は小さな人間の方に飛び出し攻撃を仕掛けた。


「甘いよ、身体強化」


小さな人間がそんな事を言うと変な文字が浮かび上がり、人間の体に纏わりつく。

そして、その変な文字を纏った腕で私の攻撃を捌いていく。


「にゃん!?」


こんな小さい人間が私の攻撃をそらすなんて、あり得ない。

そんなことを考えていたら体制が崩れてしまった。その隙を見逃さずに人間が魔法を発動してきた。


「炎槍」


これもまた変な文字が空中で光り、炎で出来た槍が飛んできた。

わ、私はそれを見て落ち着いて後退する。慌ててなどいない、この冷静な私が慌てるわけなどない。


「にゃん」

「....」


そしてしばらく私と小さい人間がにらみ合っていると、大きいほうの人間が近づいてきた。


「ねえ父さん」

「なんだ?」


どうやら何か話し合っているらしい。この隙に仕掛ける事も出来るが私は誇り高きバーテックスキャット、そんな卑怯な真似はしない。スマートじゃないから。


おとなしく待っていると話し合いが終わったようだ。


「そうか。よっし!じゃあやってみろ!」

「ありがとう父さん」


大きい方の人間が下がり、小さい人間だけが前に出てくる。

まさか、小さい人間だけで私と戦う気?正気とは思えない。


「にゃん」

「待っててくれたの?」


私は落ち着いた態度で話しかけてくる人間の態度に少しムカついた。ちょっと本気出す。


「それじゃあ行くよ?」


その言葉と共に小さい人間が走り出したので、私は魔素を体に纏い身体能力を上げて走り出す。


「にゃんっ!」


そして手足を使いながら攻撃するが、なんと小さい人間は全て紙一重で避けて反撃してきた。


「重衝」

「にゃにゃん!?」


そんなことを言いながら小さい人間が放った拳はあり得ないほどの衝撃があり私は吹き飛ばされてしまった。殴られた位置を確認してみる、衝撃は凄いがダメージはそれほどでも無いようだ。


「う~ん、あんまりダメージ入ってないな、ちょっと僕も本気出そうかな?」


傷の確認が終わり小さな人間の方に注意を向けると、不思議な文字が小さい人間の周りに沢山現れた。


「じゃあ、行くよ?炎槍、水槍、土槍」

「にゃん!?」


小さな人間がそう言うと、私の方を目掛けて様々な属性の魔法が飛んできた。

私はそこそこ長い年月生きてきたけどあんなものは見たことない。人間は大抵詠唱と呼ばれる言葉を使って魔法を使っている、それなのに小さい人間は詠唱をしないで沢山の魔法を使っていた。


少し驚きはしたが落ち着いて回避する、魔法を放った人間の方を向くと姿が消えていた。


「にゃん?」


どこへ行ったのか疑問に思っていたら私の下から声が聞こえた。


「貫け、通衝」

「ぶにゃっ」


下からお腹を殴られ、先ほどとは違い貫くような衝撃が私を襲う。

殴られた衝撃で少しブサイクな声を上げてしまって恥ずかしい、許せない。

本気で戦うことにする、私は束ねていたしっぽを解き全て自由に動かせるようにした。


「あれ?そのしっぽって一本じゃなくて三本だったんだ」


何か小さい人間が言っていたが構わず攻撃していく。

噛みつき、打ち払い、しっぽを使った打撃,..それを人間は籠手や足で打ち払いながら不思議な魔法を放ってくる。


「振衝!」


小さい人間がそう言いながら大きく踏み込むと地面が揺れる。

私は立っていられず空中に逃げると人間が私のほうに両手を掲げていた、すると人間の手に文字が集まって輝きだした。

何か嫌な予感がしたから隙は大きくなってしまうが、私も大技の準備をするため尻尾を束ねる。

技が発動したのは人間と同時だった。


「竜咆!!」

「にゃん!!」


小さな人間の手と私の尻尾から出た光線が衝突する。


「うわっ」

「にゃにゃん!」


しばらく拮抗していたが、中心で爆発が生じて私は吹き飛ばされた。

小さい人間の方を見てみると、人間も吹き飛ばされていたが大したダメージは無さそうだ。


「いてて、やっぱり強いな~。竜咆も効かないのか」


吹き飛ばされた衝撃で少し怒りが消え、落ち着いてきた。

私の尻尾光線に対抗するとは、中々やる。改めて冷静に小さい人間を観察してみる。


高い戦闘技術で私の攻撃を捌き、不思議な文字を使って沢山の魔法を放ってくる。

そして幼いが少し、いや結構、いやかなり綺麗な顔をしている。


「にゃ~ん...」


私は口を開けて見惚れてしまった、ドストライクである。


「水刃!」

「にゃ...にゃん!」


放たれた魔法で我に返り、慌てて回避する。

私があんな人間に見惚れるなどあり得ない、ちょっと私と互角に戦える強さを持っていて顔が好みだからと言って...。


「にゃん..にゃ!?.」


はっ!危ない、また見惚れていた。気を引き締めなければ。


「にゃ、にゃ、にゃん」

「えっ、ちょ!うわっ!」


爪に魔素を纏って放つ、こうすることで何でも切り裂く風の刃となる。私の得意技だ。

小さい人間は驚きながらもしっかりと避けている。

爪を振るいながら近づき攻撃する。


「これは、ちょっと、キツイなっ!」

「にゃにゃにゃにゃん」


驚いてる顔も良いな...何て考えていたらふいに足へと激痛が走る。


「に゛ゃん!」


小さい人間の方を見るとかかったとばかりにニヤついていた、その顔も素敵...。

足を見てみると影のような物で貫かれている。


「セラ直伝の影槍だ、痛いだろう?」


痛みで回避がままならない私に怒涛の攻撃を仕掛け、私にダメージが蓄積されていく。

この私がここまでやられるなんて、初めての経験だ...。


「にゃ...にゃん...」


ついに私は倒れ伏してしまう。それを見て小さい人間が真剣な表情をしながら近づいてくる。その顔も素敵...。


私はそこそこ長いこと生きてきたが私より強い存在に会った事が無かった。同族にも、他種族にもいなかった。そんな私より強いオス...。


「にゃん♡」

「えっ?」


気が付いたら私はお腹を見せながら伏せていた。


「にゃ~ん♡」

「えぇ?どゆこと?」


私の口から自分でも聞いたこと無いような甘えた声が出る。こんな声出せたんだ私。

小さな人間...いや、主は戸惑った表情のまま目の前まで来て、そして私を撫でた。


「にゃ~ん、ゴロゴロ」

「おぉ、ふかふかで良い毛並みだ」


私の毛並みが分かるとは流石主、分かっている。


「お、おいリオン。なにやってんだ?止め刺さないのか?」

「にゃん!?」


この人間は何を言っている?今、一世一代の求愛をしているというのに無粋である。

これで止めを刺されてしまったらアンデットになってでもこの人間を殺す。


「...ねぇ父さん、ペットって飼ってもいい?」

「は?」

「にゃ?」


ペット...。主、ペットって言ったの今?番じゃなくてペット?


「いや、リオン、ペットって」

「でも、おとなしくなったしこんなに可愛いよ?」


可愛いなんて。主、大胆。好き。

二人が話している間も主は私を撫でまわしている、気持ちがいい。


「百歩譲ってペットにしようとしても流石にデカすぎるわ」


乙女に向かってデカいとはこの男デリカシーが無い。


「う~ん、ねぇ君。小さくなる事とか出来る?」


体のサイズを変えるなど容易いこと、主の願いとあればいくらでも変える。

私は魔素を纏い体を小さくしていく。


「おぉ!」

「マジかよ...」


私は少し小さい猫程度のサイズまで小さくなった。


「小さくなるとより可愛いね」


主はそう言いながら私を抱き上げた。主の温もりが直撃し幸せな気持ちになる。


「このサイズなら問題ないよね?」

「あぁ、問題ないが...バーテックスキャットをペットか...マジか...」

「良かった、一緒に暮らせるよ?」


どうやら許しが出たようだ。番ではなくペットとしての扱いだがまぁいい、時間はたっぷりある。私の魅力をゆっくりと伝えていこう。


「そうだ、名前をつけなきゃ」


なんと主は私に名前を付けてくれるらしい、ドキドキしてきた。


「そうだな~、よし。君の名前はレーナだ!」


レーナ、それが私の名前らしい。いい響き...、気に入った、流石主。

こうして私は主のペットになったのである。


バーテックスキャット、ペットになる。


三人称ちゃん「くそっ!魔物視点でも一人称だなんてっ!!」

一人称ちゃん「三人称ちゃんの出番は二度とありません」

三人称ちゃん「あんまりだぁぁぁぁぁ!」


2000PV突破しました!ありがとうございます!

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