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初めてのダンジョン探索

リオン、初めてのダンジョンです。

この話から基本的に一人称になっていきます。

魔術を覚えてから二年が経過し、僕は十歳になった。

エレナは六歳になった今でも僕の後をお兄様お兄様と言いながらよく着いてくる、すごく可愛い。


この二年でだいぶ魔術のレパートリーが増えた。最初は魔法陣の本に乗っている物を再現してたんだけど、途中から法則が理解できたからオリジナルの魔術なんかも作ったりした。

今はエレナやセラ、ベルと一緒に魔法の鍛錬をしている。


「水よ、風を切り裂く槍となり、敵を貫け。ウォーターランス!...当たりましたお兄様!」

「凄いよエレナ、よしよし」


エレナは僕とは違って魔法の才能が凄くあった。すぐに水の魔法を使えるようになったし攻撃系魔法のコントロールも完璧だ、今放ったウォーターランスも的のど真ん中に直撃している。


「えへへ、でもお兄様の方が凄いです!」

「いいや、エレナの方が凄いよ」

「お兄様です!」

「エレナだよ」

「ご主人様私の魔法も見て~!」


エレナとそんなやり取りをしているとベルが話しかけてくる、ベルは十歳になった今でも敬語が苦手だ、マリアは根気強く敬語を教えてるけど僕はもう諦めてる。これもベルの個性だよね?


「闇よ、狭間より這い寄る腕となり、敵を殲滅せよ。アビスハンド!」


その詠唱が終わると、まるで空間が割れるようにして現れた巨大な漆黒の腕が的を掴み破壊する。


「おぉ~ベルも精度が上がってるね」

「そうでしょ~?褒めて褒めて」

「はいはい」


ベルは頭を突き出しながら褒めろと催促してくるので言われたとおりに撫でてあげる。

ベルやセラの耳はもふもふしていて、触り心地が最高だ。


「あんっ、くすぐったいよご主人様~」

「こんな触り心地の良い耳をしてるのが悪い」


ベルの耳をこねくり回しているとセラが羨ましそうに見てきた。セラの表情は凄く分かりやすく、特に撫でてほしい時などはすぐに分かる。


「ほら、セラもおいで」

「はいっ!」


満面の笑みで近づいてきたセラも撫でる、両手が幸せだ。


「ご主人様のなでなで気持ち~」

「はぁ、んっ、あっ、はふぅ...」


最近の悩みはセラの頭を撫でる時に何とも言えない声を上げることだ、気持ち良いのか気持ち悪いのか良くわからない。マリアにも注意されてたけど、どうしても声が出てしまうらしい。


そんなやり取りをしていると父さんが訓練場にやってきた。


「リオン、ちょっといいか?」

「どうしたの父さん」

「またやってるのかそれ、腕疲れないか?」

「両手は気持ちいいね、ふわふわで」

「そうか...」


呆れたような目で父さんが見つめてくる、でもやめられないんだ気持ちよすぎて。父さんも撫でれば分かる。


「まぁいいや。リオン、近くにダンジョンが出来たから調査しに行くぞ」


父さんからエタナトの近くにダンジョンが出来たことが知らされる。


「え?ダンジョンが出来たんだ。騎士団に任せなくていいの?」


いつもだとダンジョンが出来ると騎士団や冒険者が調査し、そのまま攻略することが多い。

だから父さんの調査しに行くって言葉に少し驚いた。


「いや~、最近執務ばかりで体が訛っててな。鍛錬がてら行こうって話だ。入り口の大きさからして小規模ダンジョンだろうし、それにリオンはまだダンジョン行ったことないだろ?」

「うん、本でしか読んだことない」


ダンジョンとは特殊な条件で集まった魔素が周辺を飲み込んで魔窟となった物だと本に記載されていた。

中には様々な魔物がいて、ダンジョンの奥にはダンジョンクリスタルっていう大きな結晶があるってことは知っている。


「じゃあ一緒に行くか」

「うん!行きたい!」


こうして初めてのダンジョン探索に行くことになった。


数日経過しダンジョンへ向かっている。

場所はエタナトから馬車で三十分もしない森の中にあった。馬車から降りてダンジョンの入り口に近づく。

ダンジョンの入り口は洞窟みたいになっている、そんなものが森の中に突然とあるので違和感が凄い。僕は入り口を覗き込んでみる。


「へ~本当に洞窟みたいになってるんだ、しかも森の中に突然とある感じだし。凄く不自然だね」

「あぁ、このタイプのダンジョンは発見しやすいし小規模な事が多いな」


そんなことを話しながら装備を確認していく。

父さんは革の鎧と腰に剣が一本刺さっていて軽装だ。まぁ僕も人のことは言えず、武器は持たないで革の鎧に籠手だけなので父さんより軽装だ。


「よっし装備点検完了!リオンも大丈夫か?」

「うん、大丈夫。いつでも行けるよ」

「じゃあ行くか」


そういってダンジョンの中へ足を進める父さんに続いて僕もダンジョンの中へ入る。

すると中は洞窟みたいになっており、光る苔が生えているため視界は悪くない。

その光景が幻想的で少し見惚れてしまった。


「ほ~」

「はは、結構幻想的だよな。俺も最初は見惚れたわ、視界は悪くないが苔は滑りやすいから中止して進むぞ~」

「うん、分かった」


父さんに続いて洞窟内を進んで行くと、所々に草や結晶が生えている。


「これ魔草だよね?あっちは魔結晶?」

「良く調べてるな。そうだ、あれが魔草に魔結晶だ。採取してギルドで売ればそれなりの額で買ってくれるぞ」


魔草はポーションの基材になり、魔結晶は特殊効果の付いた武器を作るのに使うため需要が高い。ちょっと興味があるので採取出来そうなものだけ採取しながら進む。

しばらく進んだがいまだ魔物と遭遇していない。そんな状況に父さんが怪訝そうな顔をしながら話し出す。


「魔物がいないな、罠系統のダンジョンでも無いっぽいしどういう事だ?」

「やっぱりおかしいんだ」

「あぁ、普通ならもう何度も魔物と戦っているはずだ。少しおかしいな、慎重に進むぞ」


そう言われたので今まで以上に慎重に進む、しばらく気を張り続けていたので少し疲れてきた。


「リオンも疲れてきてるようだしそろそろ一旦休憩するか」


父さんが休憩を提案してくれたので僕はこっそり着いてきているセラにお願いする。


「うん分かった。セラ、お願い」

「かしこまりましたご主人様」


そう声をかけると僕の影から闇が溢れ、セラが現れる。その様子を父さんが驚いたように見つめている。


「やっぱ何回見てもすげーなそれ。てか着いてきてたのか、まったく気が付かなかったぞ」

「メイドですので」

「メイドってなんだっけ?」


そんなやり取りをしながらもセラはテキパキとタオルや飲み物を僕たちに渡してくれる。

感謝をしながらセラを撫でる事も忘れない。


「ありがとうセラ」

「あんっ、んっ、ありがとう、ございますっ」

「お前ら、ほどほどにしとけよ?」


父さんはそんな事を言うがなんの事だか分からない。

十分くらい休憩をして探索を再開する。


「じゃあセラ、また影の中に入ってて」

「かしこまりましたご主人様、お気をつけて」


タオルや飲み物を回収した後、セラの周囲に闇が纏わりつき影の中へ沈んでいく。


「本当に影の中に入ると気配がしないな」

「凄いよねこれ、さすが影狼族」


それからしばらく進むと、かなり大きな空間に出た。そして奥に大きな影がある。


「これまたデカい所に出たな」

「奥になんかいるね」

「あぁ、注意して進むぞ」


影の方に向かっていくと徐々に姿がはっきりと見えてくる。

それは六メートルはありそうな大きな黒い猫だった。


「なっ!」

「うわ~でっかい猫だ」


猫は今スヤスヤと眠っておりとっても可愛い、父さんは驚愕している。この魔物しってるのかな?


「リオン、これ多分バーテックスキャットだ」

「バーテックスキャットってあの?」


よく見てみると確かに昔本で読んだ特徴と一致している。

巨大な体躯に漆黒の毛並み、そして異様に太いしっぽの猫。その強さは世界でも上位にあるという。

目の前の魔物は間違いなくバーテックスキャットだった。


「初めて見た」

「あぁ、俺も見るのは初めてだが間違いないだろう」


そんな事を話しているとバーテックスキャットが目を覚ましこちらを見る。


「...。にゃん」


気怠そうに鳴いたバーテックスキャット、鳴き声が凄く可愛い。

そんな事を思っていたらバーテックスキャットの姿が一瞬消え、気が付いたら目の前に手を振り上げた状態で現れた。


「っ!リオン!」

「やば!」


僕と父さんは左右に分かれてその攻撃を回避する。

バーテックスキャットの攻撃は地面に直撃し、ダンジョンを破壊する。


「このくそ硬いダンジョンの床を壊すとか、とんでもないな」

「すっご...」


砂埃が舞う中、バーテックスキャットは僕のほうへ目掛けて飛んできた。

おそらく倒しやすそうな僕をターゲットしたのだろう。

そして僕の目の前でまた手を振りかぶる。


「にゃん」

「甘いよ、身体強化」


僕はその動きを見た瞬間に身体強化の魔術を全身に施し攻撃をそらす。


「にゃん!?」

「炎槍」


そして体制が崩れたバーテックスキャットに向かって炎の槍を魔術で作り出し発動する。

しかし相手も流石世界上位の化け物、崩れた体制からもその攻撃をよけ距離を開けた。


「にゃん」

「....」


少しの間にらみ合う僕とバーテックスキャット、そこに父さんが近寄ってきた。

僕は父さんに一つ提案する。


「ねえ父さん」

「なんだ?」

「この魔物の相手僕一人でしてもいい?」

「はぁ?マジで言ってんのか?」

「うん」


少し反対的な雰囲気が父さんから出ている、まぁ突然そんなこと行ったら当然だよね。


「お願い」

「う〜ん、まぁあの速度なら本気になれば助けに入れるし...。無理はしないか?」

「うん、約束する」

「そうか。よっし!じゃあやってみろ!」

「ありがとう父さん」


なんとか父さんから許可が出たので改めてバーテックスキャットと一人で対峙する。


「にゃん」

「待っててくれたの?」


何となくそんな気がしたので話しかけてみるが反応はない。


「それじゃあ行くよ?」

「にゃんっ!」


そして僕とバーテックスキャットの戦いが始まる。

さらば三人称ちゃん

一人称ちゃん「これからは私の時代」

三人称ちゃん「いやだあああああ!」

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