魔法具との出会い
ジークとの再開から一年が経過し、リオンは八歳、エレナは四歳まで成長した。
この日は部屋の中で家族とお茶を楽しんでいた。
「おにいさま!、おにいさま!」
「なんだいエレナ?」
「おかあさまとつくったのです!プレゼントです!」
エレナが花で作った栞を差し出してくる。エレナが手作りしたため少し出来が荒いが、それはエレナが一生懸命作ったことを表しておりリオンは感動した。
「これ、エレナが作ったの?」
「はい!」
「凄いじゃないか!大事に使わせて貰うよ、ありがとうエレナ」
「えへへ」
「良かったわね~エレナ」
リオンがエレナの頭を撫で、エレナは嬉しそうにしている。リオンがよく本を読んでいる事を知っていたため、日頃の感謝を込めて栞をプレゼントしたのだ。
その時、部屋の照明が落ちてしまう。
「あら?魔道具が切れてしまったのかしら?」
「そろそろ寿命だったか?」
「おにいさまっ!」
部屋に備え付けてある照明の魔道具の寿命が来て照明が落ちてしまったのである。
それに驚いたエレナはリオンに抱きつく。
「こわいです...」
「大丈夫エレナ、ただ照明が落ちただけだよ。怖くない怖くない」
「え、えへへ」
リオンはそういいながらエレナの頭を撫でると、恐怖心が薄れて来た。
それを羨ましく思ったのか近くで控えていたセラが近づいてくる。
「ご主人様、私も暗くて怖いです」
リオンの袖を控えめに握りながらそんなことをあざとく言ってのけるセラ。
本心は全く怖くない、影の中を生きる影狼族は暗闇など全く怖くないのである。
そんな事を悟らせないように必死に怖がっている顔を演出する。
「セラも大丈夫だよ、怖くない怖くない」
「あふぅ、ご主人様~」
そんな事に全く気が付かないリオンはセラの頭も撫で、ご満悦になる。
セラ、策士である。
「商人を呼んで新しく魔道具買うか」
「そうね、これを気に色々変えてみても良いかもしれないわよ?」
「少し考えてみるか」
そんな両親の話を聞きながら、「そういえば魔道具についてはあまり調べたことが無かったな」と心の中でリオンは思ったので聞いてみる。
「魔道具ってどうやって動いてるの?」
「魔道具か?魔道具は中に魔法陣が書かれていてな、そこに魔力を流し込むことで誰でも魔法みたいに使えるようになってるんだ」
その話を聞き、誰でも魔法のような効果が使えると言う部分に強く引かれたリオン。
「じゃあ、僕が魔力を流し込んでも普通に使えるってこと?」
「そうだぞ、部屋にある水の魔道具とかも普通に使えてるだろ?」
「あ、確かに」
リオンの部屋には水の魔道具があり、喉が乾いた時などに使用していた。
既に生活の一部となっていたため違和感を感じなかったが、魔法が苦手なリオンでも普通に使えていることに今更思い至る。
しばらくそのことを考えていたリオンがヴィンセントに提案する。
「魔道具商人が来るんだよね?僕も同席していい?」
「興味あるのか?良いぞ」
「ありがとう」
同席したいと尋ねると軽い感じで許可が出る。
これがリオンの運命の出会いに繋がるのであった。
一日後、魔道具商人が屋敷を訪れる。
「クロノエル様、今日はよろしくお願いいたします」
「あぁ、よろしく頼む」
「リオン様、初めまして。私はラルフと申します」
「よろしくお願いします」
ラルフという商人はでっぷりとしたお腹をしており、ザ・商人という風貌だった。
しばらく雑談した後、魔道具の商談に入る。
「今回は魔道具をお求めだという話を聞きましたので色々持って来ました」
「メインは照明だけどな、他に良い魔道具があれば買うぞ」
「ありがとうございます、まず照明の魔道具からですが...」
そういい照明の魔道具をいくつか取り出す。
いくつか球体が並べられ、その球体には装飾が施されている。
「最近王都で流行っている球体タイプの照明でございます。魔力を流しますと宙に浮き、辺りを照らします」
「ふ~ん、最近はこんなのが流行ってるのか。リオン、試してみるか?」
リオンが魔道具に興味を持っているので試してみるか尋ねるとリオンは嬉しそうに頷いた。
「うん、やってみたい」
「ではリオン様、こちらに魔力を流してみてください」
その言葉を聞いて差し出された魔道具に魔力を流すと、球体は宙に浮かび辺りを照らし出した。
「ほ~、こんな感じなのか。明かりも十分だな」
球体が光ると、施されている装飾により様々な形の影が出来る。
それが部屋に豪華さを演出していた。
「ちょっと幻想的だね」
「それが今王都で人気の理由になります」
「明かりを消すときはどうするんだ?」
「こちらの別途魔道具に魔力を注いで頂くと、球体内の魔力が徐々に抜けて降りてくるような仕組みになっております」
そういって差し出された手のひらサイズで長方形の魔道具に魔力を流してみる。
すると球体はゆっくりと下に降りて来ながら明かりが消える。
「消え方も良いね」
「あぁ、気に入った。これは買おうか」
「ありがとうございます」
照明の魔道具の購入が決まり、ここからは商人が持ってきた他の魔道具の商談に入る。
まず商人が見せてきたのは調理用の火の魔道具だった。
「こちらは最新式の調理用魔道具でして、以前より簡単に火加減を調整することが出来るのです」
「ほ~、なるほど。マリアちょっと料理長呼んできてくれるか?」
「かしこまりました」
そばに控えていたマリアが少し離席し料理長を連れてくる。
「これ新しい調理用魔道具らしい、料理長の目から見てどうだ?」
「これはどのように使うのでしょうか?」
「こちらの魔道具は...」
ラルフにより魔道具の説明が行われる。
この魔道具は過去勇者が伝えたコンロなるものを再現した魔道具であり、つまみを回すだけで火加減の調整が出来る。
これはつまみを回すことで魔力の回りを調整し火加減を調整している。
説明を受け、実際に使ってみた料理長が感動する。
「ヴィンセント様!これは凄いですよ!これがあればもっと料理を美味しく作れます!!」
「そうか、料理長がそういうなら買うか」
「ありがとうございます」
調理用魔道具の商談が終わり、次に商人が取り出した魔道具は様々な魔法が再現された魔道具であった。魔法を使う魔道具で「魔法具」と言ったりする。
「最近、魔法を再現するのにより効率的な魔法陣が発見されまして、それにより魔法具もかなり小型化出来たのです」
「これは、本当に小型になったな」
以前の魔法具は槍程度の長さであったが今は肘から手までの長さ程度である
魔法を再現するという魔法具にリオンは強い興味を抱いた。
「かなり小型化しましたが、威力は以前の魔法具と変わりません。クロノエル様の騎士団で使ってみては如何でしょうか?」
「これはちょっと、いやかなり良いな。この魔法具を一本持たせるだけでかなりの戦力アップになる」
「これが魔法具...」
じっと魔法具を見つめていたリオンにラルフが提案する。
「リオン様、使ってみますか?」
「え、いいの?」
「はい、初級魔法の魔法具もありますのでそちらであれば問題ないでしょう」
そうして商人が出したのは聖属性の初級魔法であるクリアライトが込められた魔法具であった。
「父さん、良い?」
「あぁいいぞ」
「ありがとう」
ヴィンセントからの許可も出たので魔法具を握ってみるリオン。
「それに魔力を流し込んでみてください、そうすれば魔法が発動します」
「はい」
その言葉を聞き魔法具に魔力を込める。
すると杖から光が輝きリオンの体を包み込む。その光は何とも言えない心地よさがあった、クリアライトの特徴である。
「おぉ、僕でもちゃんと魔法が使えた」
「よかったなリオン」
「うん!」
魔法具を気に入ったリオンは他の魔法具も興味深そうに眺め質問をする。
「他の魔法具は何があるの?」
「こちらはファイヤーランス、こちらはアーススパイク、そしてこれが一押しのウォータースラッシュの魔法具でございます」
紹介された魔法具を興味深そうに眺めるリオンをヴィンセントは見ながら内心思う
「(リオンは人一倍魔法に関心があるけど威力が弱いからな、自分でも使える魔法具に興味が尽きないんだろう)」
そんな事を考えながらリオンに提案をする。
「リオン、いくつか魔法具買うか?」
「え、いいの!?」
「はは、良いぞ。初級から中級魔法の魔法具ならいくつか買ってやるから選べ」
「ありがとう!」
リオンは魔法具を吟味し始め、所々商人に質問しながら購入する魔法具を決めていく。
「ではご購入頂くのはファイヤ、ファイヤーボール、クリエイトウォーター、ウォーターボールの4点の魔法具でよろしいですか?」
「これでいいのかリオン?」
「うん、お願いします」
「毎度ありがとうございます」
こうして商談が終わり、リオンは魔法具と出会ったのである。




