幽霊になりました。
妻が死んだ。
美人で優しく、正義感も持ち合わせていて、正直俺になんかにはもったいない人だった。
お互いが21歳のときに結婚をして、1年後に娘が生まれた。
妻に似て将来きっと美人さんになるだろう。
幸せな時間だった。
仕事から帰ったら妻と娘が待っていて、温かいご飯を食べ、その日あったことをお互い話し、子供と
一緒に遊んで、寝て、1日が終わっていく。
そんな普通な家庭だった。
妻が車に跳ねられた。
飛び出した子供を庇い、代わりに車に跳ねられたそうだ。
娘が2歳の頃だった。
正直、この辺は記憶が曖昧だ。
お葬式には妻や共通の友人が来てくれて、涙を流してくれたりした。
なにかあったら頼ってほしいと何人にも言われた。
妻が庇った子供の家族が泣きながら謝ってきていた。
俺はそんな中、淡々と葬儀をこなしていた。
なぜ、こんなことになったのか・・・
そんなことばかり思っていた、
その時、自分の手を小さな手が握ってくれた。
「パパ、だいじょうぶ?」
少し前に喋れるようになった、舌足らずな言葉で、俺に語り掛けてくる。
ママがいなくて自分のほうが不安で泣きたいだろうに、必死に俺を慰めてくれる。
「・・・ああ、大丈夫だよ、ありがとう。。」
娘を抱きしめ、妻が亡くなってから初めて声をあげて泣いた。
この子だけは俺が守る。
腕の中にいる小さな子を見て心に誓った。
「蓮俺頑張るからな!!、天国で見ててくれよ!!」
そして亡くなった妻にも娘を守ることを誓った。