普遍的な最悪な結果
初めての投稿+初めての作品です。
生温かい目で見殺して下さい。
プロローグ
私、緋狩日奈と言えば現在お茶の間の注目の的である。今から6年程前、私は冤罪で殺人罪を被った。
「当時の裁判官へ何か一言!」
記者が私への質問を投げかけた。正直私は冤罪で捕まった事なんてどうでも良かった。適当に質問をあたかも冤罪者の様に答える。
まさに滑稽だった。
しかしだ、そんな私も取り調べやらなんやらはあまり受けたくは無い。もう人生で受け切れる分の取り調べも受けた事だし。
そんな悩みを帰り道の途中に死体を目の前に私は考えていた。
序章・探偵、現る
「初めまして、探偵の黒井死生です」
まるで不吉の二文字を体現したかの様な男は名刺を差し出してきた。二度目の殺人犯になりそうな私がとった策、それは探偵を呼ぶ事だった。刑務所にいた頃、事件を最悪に解決させる探偵がいると耳にしたのだった。
正直、ガセかと思った。が、事実は小説よりも奇なり。本当に私の目の前にこの男は現れた。
「私の依頼は1つ、私を容疑者から外して下さい」
「はぁ、私は警察の関係者ではないですが。
まぁ、やれるだけの事はやってあなたの疑いを晴らします」
「あの、そろそろいいですか?」
そう私達に声をかけたのは私が通報してから事件現場に駆けつけた警察官だった。
「はい、取引完了です」
そう私は答え、辺りを見渡してみた。
私が死体を発見した経緯はこうだ。
一、取材を終え用意されたホテルに帰っていた。
二、夕食を済ます為にビルに立ち寄った。
三、入ろうと思った料理店の店主が死んでいた。
ううむ、これでは私が容疑者の可能性が大だ。
しかし、これには決定的な欠陥が存在する。私には誰かを殺す理由が一切存在しないのだった。なにせ6年間刑務所にいたのだから。
「一体誰なんですか…」
不安げに呟いたのは死体発見時、私の次に死体を目にする事になった同じビルの雑貨屋の店員だった。他にも買い出しから戻った料理店の店員、料理店の隣にある理容室の店主。総勢で4人の容疑者候補と警察官と探偵が1人ずつだった。
ビルは四階建て、一階が雑貨屋、二階が理容室と料理店。三階と四階は小規模のイベントホールということだった。
この中に犯人がいるとは限らないが、幸い殺された店主はまだ死後硬直が始まっていなかったのだ。店主は事件発生前、店員に食材の買い出しを頼んでいた。それが事件発生の1時間半前だった。
理容室の店主は事件発生当時は店にいたが、不審な物音や人は見かけなかったと言っている。
雑貨屋の店員は店主の代わりに店番をしていたところ、知り合いだった店主に店に来るように今日の朝頃に言われていたそうだ。これは料理店の店員も知っていた事実だった。
まるで、料理店の店主は見えない幽霊に殺されたかの様だ。いっこうに謎ばかりが増えていく中、黒井さんは周りの顔を見て断言した。
「謎が解けました。
もとい、謎ですらないこの事実が」
あとがきでは、ネタバレをしません。
この作品は自体ある程度の区切りはあります。
読む人が居なくとも、区切りまではしっかりと書いていきたいです。