表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/54

52 シンの行方




 俺がザウロスを倒したことで、トンビ村には平和が訪れていた。


 タリアの店も、急患の頻度は減り、ぐっと落ち着きを増していた。結果的に泊まり番の体制を整備しておく必要がなくなったため、今度はピートかルイダのどちらかをリストラしなくてはならない状況となっていた。


 そこで、俺は考えた。ピートかルイダをリストラするくらいなら、この俺がタリアの店を辞めたらいい。やりがいのある仕事なので残念ではあるが、俺は俺で、今後はやりたい事をあらためて探せばいいだろう。


 一人旅に出ても良いかもしれない。または、ダマスの街に移り住み、そこで薬草師として働き口を探すこともできるかもしれない。


 ……いずれにせよ、そろそろ引き際だ。




 そんな事を考え始めている時、ハリヤマから連絡が入った。




◆『タカハシさん、お疲れ様です』


◇『やあお疲れ。どうしたの?』


◆『大変長らくお待たせしましたが、やっとタカハシさんをこちらの世界に戻す目途が立ちました』


◇『本当に?』


◆『はい。本当です。ただ、その前にやっていただきたい事があるのです』


◇『はい。なんでしょう』


◆『実は、シンの現在の居場所が判明しました。先日タカハシさんが再起動をかけてくれたおかげですが』


◇『本当か! シンは今どこにいる?』


 シンは、俺に殺されてから、再びアイランドに生き返って戻ってきたようだ。良かった。


◆『今彼は、トンビ村から北の方角の、クイナの村の宿にいます。そこでお願いなのですが、タカハシさんが元の世界に戻る前に、シンにタカハシさんのスマホを渡してあげてほしいんです』


◇『ああ、なるほど。シンはスマホを持っていないんだね』


◆『そのとおりです。シンの居場所を探知することはできるのですが、現状、連絡がとれないのです。ちなみに、シンのスマホはダマスから南に三キロほど離れた草原に落ちています。多分、壊れたと思って捨てたのでしょう』


◇『そのダマスの南に落ちているシンのスマホを、俺が取りに行ってきてあげようか』


◆『いえ、大丈夫です。タカハシさんはもう元の世界に戻るのですから、シンにタカハシさんのスマホを渡してくれれば、後はどうにでもなります』


◇『わかった。とにかく俺は、シンに会って、シンに俺のスマホを渡せば良いんだね』


◆『はい。そうです。タカハシさんのスマホがシンに手渡り次第、こちらからシステム再起動をかけます。再起動を経て、タカハシさんはこちらの世界に戻ってくる算段となっています』


◇『また地震が起こるのかい』


◆『いえ、あれは再起動プログラムのバグが引き起こしていたものだと判明しました。プログラムを修正したので、もう地震は起こりません。スムーズに再起動が実行されます』


◇『了解です。じゃあ、シンのいる宿? 詳しい場所を教えてください』


◆『この交信が終わり次第、スマホを再起動させてください。再起動後に地図アプリを起動すると、シンの居場所をアイコンで示すようになります。アイコンを頼りに、シンとコンタクトをとってください』




 俺はハリヤマと交信を終え、スマホを再起動した。


 再起動後に地図アプリを開き、クイナ村を表示させると、青いアイコンが点滅している場所があった。どうやらこれがシンの居場所を示すアイコンらしい。




 いよいよ俺は、元の世界に戻るのか……。


 感慨深い気持ちだ。いろいろあったが、楽しい毎日だった。


 次に俺は、ユキにメッセージを送った。




◇『ユキさんこんばんは』


 ユキからの返信はすぐに届いた。


◆『こんばんは! 聞きましたよ! タカハシさん、やっとこっちに戻ってこれるそうですね! おめでとうございます!』


◇『ありがとう。もう少しで、ユキさんと直接話せるね』


◆『楽しみにしています! 猫のにぼしも待ってますよー!』





 その後もユキと他愛のない話をして盛り上がり、交信を終えた。


 そして俺は眠りについた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ