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37 せむし男




 気が付くとシンは、窓の無い、石造りの地下室のような場所にいた。




 シンは、ベッドに横たわっていた。


 身体を動かすことができない。手足が動かない。力が入らないのだ。


 シンは、周囲を見渡した。


 シンが寝かされているベッドの足元側に人の気配があった。よく見れば、あのせむし男が立っていて、ニヤニヤしながらシンの事を見ている。


「目が覚めたか」せむし男は言った。


 シンは、言葉を返そうとしたが、口がうまく動かず、声も出せなかった。


「動けまい。声も出せまい」せむし男は言った。


「おまえさんは、プッピによく似ているな。おまえさん、地震の直後に空から降ってきたね? プッピと同じように、おまえさんも別の世界からやって来たんだろう?」


 やはりタカハシの事を知っているのだ、とシンは思った。そして、シンとタカハシが別の世界から来たこともわかっているらしい。




「わしの名はザウロス。今は、こんな汚い男の肉体を操っているがね。こう見えても、ちょっとは名の知れた魔法使いなのじゃよ。」せむし男は言った。


「わしは数カ月前、おまえさんとよく似たプッピという男と対決し、敗れ、肉体を奪われたのじゃ。魂だけとなったわしは、地下迷路を彷徨い、外の世界に出た。そして、新たな肉体を探したのじゃ。しかし、なかなか良い人間が見当たらなくてのう。こんな老いぼれたせむしの男しか見つからなかったのじゃ。


 そこに、おまえさんが現れた。おまえさんが、空から降ってきた。何、わしとて、全くの偶然にあの場に出くわしたわけじゃないのだよ。ちゃんとわかっていた。あの場で、何かが起こるという事をわしは察知した。そこでテントを張って、待っていたら、おまえさんが空から降ってきたというわけじゃ。


 おまえさんは、わしが操るのに丁度良い人間だよ。わしは、心が空っぽの人間が大好物でな。どこか別の世界から、この世界にやってきたばかりのおまえさんは、まさにおあつらえ向きの人間さ。


 おまえさんみたいな、若くて健康で、心が空っぽの人間を探しとった。……これからおまえさんの身体を使わせてもらうよ」




 せむし男は、白目を剥いた。そして、口を大きく開けた。開けた口の中から、何やらどす黒い煙の塊のようなものが飛び出てきた。そして、せむし男はバタリと倒れた。




 どす黒い煙の塊は、シンを見下ろすようにベッドの上に浮かんでいた。そして、シンめがけて、ゆっくりと降りてきた。




 シンは、身体の中にザウロスが入ってくるのを感じた。




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