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ふわクラ! 〜ふわっとクラブカルチャー体験  作者: 時野マモ
ふわっとBody & Soul!(2018.6.3 Body&SOUL Live in Japan 2018)
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お台場です!

 6月に入った東京。その晴れの日となれば、初夏を思わせるどころで無く、真夏のような暑さの日曜日。

 お昼時。中天の太陽はギラギラと地を、そして海を照らす。

 お台場。

 最初の黒船来航のあと、再度やってくるだろう米国を迎え撃つために砲台を設置するための砲台の場を作るために埋め立て作られた人工の陸地。

 その時設置された砲台は、結局一度も艦船に向かって火を吹くことなく、

その後、日本の発展に伴って進んだ東京湾の埋め立て事業に伴ってその殆どは埋没していったのだが、最後に完成した大規模な埋立地はかつての名前を引き継ぎお台場という街の名前で知られる。


 そこは、有名なテレビ局を始めとした様々な企業のビルや、東京の中心部にほど近い住宅地としてマンションが立ち並ぶ新都市として作られた場所である。埋め立て完成後、都市博の中止や、その頃が日本のバブル崩壊と重なったため、予定されたほどの発展はしないまま、未来的なビルと広大な空き地が、一種異様な様子で混ざり合って存在するシュールな風景となっていたお台場地区であるが、整備された人工の砂浜や大規模なショッピングモールやアミューズメントパーク、いつの間にか、東京に一番近い観光地的に人々が足を運ぶのみならず、日本の地方、いや海外からの観光客も足を運ぶ場所となっていたのだった。


 休日、それも良く晴れた、海風の気持ち良い1日であれば、行き交う人の波は、埋め立て地中心部のビル街から周りのボードウォーク、砂浜まで切れ目なく続く。

 海にはウィンドサーフィンやシーカヤックに興じる人々。その間を、次々海面に跳び出した魚が光る。白いかもめが空を飛ぶ。

 そんな、光景を海辺の林の木陰でじっと眺めていたのなら、


「極楽ですなあ——」


 真昼にしてもうすっかりと良い気分なのはキッカ。


「もう、ちょっと、調子にのって飲みすぎじゃない?」


「だって、この後はお酒持ち込めないんでしょ? 飲みきってしまわないともったいないわよ」

 

「というかキッカは買い過ぎなのよ! アナさんから、昼に飲みきってしまわないとだめだって聞いてたでしょ……」


「……といっても買ってしまったものはしょうがないじゃない? そういうのはなんて言うか知ってる? ミーネ?」


「何? 酔っ払いが言う言い訳なんてちゃんと聞く気はないけれど……」


「へへ、それはね……後の祭りって言うんだよ」


 相変わらず使い方が微妙なキッカの格言に、ちょっとイラッとするミーネであったが、確かにお台場のスーパーでキッカが缶ビール数本の他にワインのボトルを買い込むのを止めなかったのは自分もうっかりしていたと反省しているのと、


「あら、キッカさん。あたしは、それちょっと違うと思うな」


「え、アナさん…後の祭り……ってもう手遅れ意味だよね」


「……いえ、意味の話じゃなくて」


「……?」


「今日は……まだ祭りは始まって無いじゃない?」


「そうか! じゃあ、祭りの前!」


「そうそう! そのとおり! じゃあ、それがわかったところで……」


「「カンパーイ!」」


「……」


 今日は珍しく酔っ払ってるアナも結構へべれけで——この場の少数派となっているミーネなのであった。お台場の海岸でお昼時にもう出来上がっている女子大生グループ。今や、その中の唯一の良心が彼女なのであったが、


「どうしたの、ミーネもっと飲んだら?」


「じゃあ、こっちのビールもあけちゃおうかしら……」


「……あ」


 ビールあけた後、ミーネに渡すのを忘れて自分で飲み始めてしまっているアナであった。


「……? ん? どうかした?」


 そしてそのことに気づかないほどに酔ってる彼女の様子に、


「まあ、いいか……」


「……?」


「キッカ、私にもビールちょうだい」


「へい!」


 にこにことしたキッカが、ちょっと呆れ顔のミーネにビールを渡す。


 まあ、酔っ払いキッカには他人の微妙な表情など気づく繊細さなどはなく、


「ふう……!」


 だから、お台場の海を見ながら、その顔にキリッと走った決意のような表情にも気づくことはなく……


「祭りだー! 踊るぞー!」


 突如、ミーネ叫び出したのににびっくり。


「……うん。気合入った。これで私も気分が乗ってきた」


 渡されたビールをぐっと飲んで、


「……みんな、今日は楽しもうね」


 横の二人に振り向いて言うミーネ。


 そして、笑顔に、笑顔が重なって……


 今日の大イベント、年に一回のハウスフリーク大集合の野外パーティ、Body&Soulへの準備も万端。海岸の向こう側、今日の会場のあるあたりに向かって、期待を込めた視線を送る三人なのであった。


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