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空手バックパッカーズ VS ムエタイ・ドライバーズ1

さて・・これ以上いくらプラーと口げんかを続けても、ラチがあきそうにありません。


「タカ!かまわんから荷物を降ろしちゃえ」


「押忍!」


タカはあたりのヤジウマにも注意しつつ(なにしろ全員敵だと思っていたので)壁際に2台並んだトゥクトゥクのうち、後ろの車の方へ行き、座席に積んである荷物を降ろそうとします。もう一台はこの車の前に1mほどの車間を置いて停まっています。


「兄さん!ちょっと待ちな」


その後ろ側の車の運転席に座っているドライバーが初めて口を開きます。


「その姉さんの言うとおり、タクシー代を払ってもらおうか」


ひょろりと痩せた小男ですが、どこかすさんだ顔立ちです。


・・・ふん。どうせお前らプラーに雇われた雲助だろうが。


「カネはこの女から貰え。料金はこの女と決めたんだろう?300だと!そんなバカげた料金、俺は払わんよ」


と私が言い放つと・・

男は「ふ~」とため息をついて首を横に振りながらプラーに目を向けます。


プラーの顔が・・・かすかにうなづくのが見えました。。。


運転席から男が飛び降りました。痩せた小男なのでナメていましたが、しなやかな動きをします。


・・・あ、しまった。。ちょっとこれ、ヤバいかも。。


男はまるでダンスでもするかのようにリズミカルで軽い足取りで、こちらに近づいてきます。小心者の私は、アタマの中が真っ白になって体がフリーズしちゃいました。


・・・この男はア・ブ・ナ・イ。。


が、そのとき。


突然男と私の間にタカがすっと立ちふさがったかと思うと、問答無用の左のボディアッパーを男の腹に叩き込みました。いつもながら手が早いわ。。


しかし、そこからはいつもと勝手がまったく違っていました。

なんと男は倒れず(タカの得意技、不意打ちボディを食って立っている人を見たのは初めて)そのままタカの首を抱え込むように抱きつきます。


しかたがなく、タカもクリンチワークで男に抱きつきますが。。。


男は体を密着させ、首をホールドしながら肘でタカの腕を制し、なおかつ体重をかけているのでタカは足を動かすこともできません。文字通り”手も足も出ない”状態です。


・・・これはムエタイの手だ。


イサーン地方(タイ東北部)出身者が大半を占めるトゥクトゥクやタクシーの運転手には、やはりイサーン出身者が大多数であるムエタイ崩れが非常に多いのです。(タイでタクシーとトラブったときには要注意)


「くっ!」・・・なんとかタカは力任せに振りほどこうとしますが、ダメです。怪力自慢のタカでも、こう完全に技がかかってしまえば何ともなりません。


男は片足を大きくサイドから回すようにして・・・タカのわき腹にヒザを打ち込みます・・・「ぐわ!!」その一撃で!なんとタカはヒザを地面に着いて崩れ落ちてしまった。。。

タカは男の腰の辺りに手を回してしがみついてはいますが、呼吸が止まっているかのように苦しい表情です。



「タカっ!」タカがやられた!!しかし、私はタカを助けには行けませんでした。。。なぜなら・・もうひとりのドライバーがすでに運転席から降りてきて私の方に向かってきていたからです。


・・・こいつもムエタイ使いか。。


私はクルっと後ろを振り向き、猛ダッシュ!!


みんな私が逃げ出したと思ったことでしょう・・ていうか、周りをヤジウマが取り囲んでいなかったら、そのまま逃げてたかも。。(タカゴメン!)


5mほどの距離をかせいで、私は第二の男の方に向き直ります。

大きく呼吸して息を整え、猫足立ちに近い狭いスタンスで構えました。


・・・・”対ムエタイ戦法その2”だ!!


第二の男は私の構えを見て意外だったようで、歩みを止めました。

そして両手をアタマのあたりにかざすように構えます。やはりムエタイ使いだ。。。例の、前後に足踏みをするようなステップで少しづつ距離を詰めてきます。


・・・足のリズムに注目だ・・・


ケリの出るタイミングを見極めて、前足で金的を狙う!!


・・・実戦はひさしぶりだけど、ちゃんと動くのか?私の体。。

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