8月1日
それは文化祭の準備をするために学校へ行った帰りだった。帰り道の途中にある商店街を右へ曲がった時だった。後ろから澄んだ声で「すみません」と話しかけられた。
「私とお付き合いしていただけませんか。」
僕は特別長けた物がある人間では無かった。クラスメートの中では絵が上手に描ける方ではあるかもしれないが、それ以外はが運動も勉強も平均的であった。もちろん容姿もだ。全体的にぱっとしない。つまり、モテる要素がどこにも無い。それ故に彼女は罰ゲームかドッキリか、言わされているのではないかと思った。僕の口から最初に出た言葉は「人違いでは。」であった。普段敬語など使わないのだが、敬語で話しかけられたため、つい敬語で返してしまった。
「いいえ、間違っていません。」とすぐに返された。
彼女は言葉で表すのが難しいのだが、非常に女の子らしい容姿をしている。あまり『らしい』と言うと個人的なイメージを決めつけているようで好きではないのだが。容姿を説明するとすれば、髪はロングで背が小さい。そして美少女を想像すれば大体同じような顔になるだろうという感じだ。
僕で間違っていないのなら僕に断る理由は無かった。僕には彼女がいない上、今後も出来るとは思っていなかった。僕は次の返事でOKした。
「それじゃあ明日、同じ時間にここへ集合ね。」
そう言って彼女は走ってあっという間にいなくなってしまった。何もできない僕はすぐに家へ帰った。
ところで、彼女の名前はなんと言うんだろう。