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闘病詩  作者: 速水貴帆
9/13

その八「できること」

「できること」


病気になって

出来ないことばかりに

なった


うまく話せなくて

食べられる物は限られて

自転車も乗れないし

好きな歌も歌えない

再発に怯える毎日


けれど

できることもあるはず

きっときっとあるはず



「還っていく日」


あの日から


コロッケが食べられる

ようになった

ぶり大根も食べられた

ラーメンもエビチリも

肉まんも食べられる

ようになった


もう一度

あの日に還っていく日


当たり前の

ありふれた

奇跡のようなあの日へ

還っていく日



「雪の日」

その日は八年振りの

大雪の日だった


病床で天井しか

見ることが許されてない

私に

医師と看護師が

ベッドごと下まで

連れて行って外の

風と雪を見せてくれた


ひんやりとした風と

映画のような幻想的な

雪を目にした

今まで見たどの雪よりも

美しく感動した

はらはらと儚く舞う雪


たった五分足らずしか

居られなかったけど

その場面は

いついかなる時も

これからの私の心に

忘れることなど出来ずに

降り積もるだろう

それがどんな季節でも



「わたしの幸せ」


当たり前なことが

どれだけ幸せなことか

やっと分かった


話すことの幸せ

食べられることの幸せ

歩けることの幸せ


だけど一番は

それに気付かせてくれた今と

支えてくれた夫がいる

その存在が私の幸せ

「できること」「わたしの幸せ」の2作品は、産経新聞「朝の詩」に掲載して頂きました。

「朝の詩」に載ることは夢のひとつだったので、とても嬉しかったです。


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