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闘病詩  作者: 速水貴帆
12/13

その十一「最高の特効薬」

「最高の特効薬」


病気に一度でもなると

どうしても弱気になる


ちょっとしたことに

苛立ったり

心がささくれてしまう


そんな時はなるべく

意識して笑顔を作る

作り笑いでも構わない

笑うこと

新しい景色に目を向けること

それが大切なのだとしたら

笑顔は最高の特効薬



「踊り場」


毎日ちゃんとリハビリをしないと

気が済まない私に父が言った


「確かにすることは大切だけど、

確実に一段一段階段を上がってるんだから、

踊り場で立ち止まり休憩することも必要だよ」


目が覚めた思いがした

やらぬばならぬとの

強迫観念で追い詰めていたのは自分だった


リハビリだけではなく

すべてに対してそうなのだろう


今歩んでる道

踊り場で立ち止まり振り返る

ここまで歩んで来れた

周囲の人たちへの思いを胸に秘め

また一段階段を登る


踊り場は

これからの道を示す光と

これまでの軌跡を描いた道なのかも知れない



「誕生日」


あの日は

何も出来なかった

話せなかったから手話で

おめでとうと

何度も何度も伝えた


私の誕生日も

まだ何も食べられなかったから

主人は可愛いメレンゲ人形を買って来て

目で楽しませてくれた


だから今年は

一緒にいられることだけで嬉しくてたまらない


誕生日とは

あなたと過ごせれば

それでいい

これからも元気でいられるのなら



「新しい春」


去年の春は

病室の中から外に咲く

一本の桜の木を

見つめていた


風の日も雨の日も

散らずに咲き誇る桜に

どれほど勇気づけられ

元気をもらったことか


新しい春

あと少しで地元の桜の

蕾が花開く

私の心にも春がくる

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