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闘病詩  作者: 速水貴帆
11/13

その十「桜のように」

「桜のように」


ピンクに色づく桜の木


儚げに見えて

決してそうではない


強風にも

雨にも耐え抜く力がある


力とは命

命とは気力、やる気のようにも感じられた


今のところやる気はある

気力もある


諦めなければ花が咲く

命という桜の花が


もう一度

花を咲かせよう

今まで以上の大輪の花を

あの桜のように



「気づいた空」


空が青い、ということに

誰が一番はじめに気づいたのだろう


人か花か草か動物か、

それとも太陽か雲か


雲一つない青空を

雲が綿菓子のように浮かぶのを

青にとけ込む飛行機が飛ぶ様を


誰が気づいたのだろう

時折吹く風を感じながら

青空を見ることを出来ることに感謝しつつ、


そんなことを思った五月晴れの日



「人と人」


人と人との繋がりは

ほんの些細なことかも知れない


何気ない一言が嬉しくて

勇気づけられて

ちょっとした行動に

感謝したりされたり


だけど

何よりも

そんな風に繋がれた

あなたに感謝


わたしとあなた

人と人との繋がりに感謝したい



「慰め」


どんなに努力しても

一生懸命頑張っても

必ずしもそれが報われない

ということを

私は経験して知っている

けれど


名前も知らない人に

その努力を認めてもらえた時なんか

泣いてしまうほど嬉しいから


きっと報われると

自分に言い聞かせ慰めている

そして、その慰めも

心が折れないためのものだと知りつつ

私は今日も自分で慰める



「巡る言葉」


友人が辛い目にあっている時

なんて言葉をかけていいのかも分からず

それでも考えて励ました


そして今私自身が

辛くて

そんな時に友人が

くれた言葉は

私自身が彼女に言った

励ましでした


不思議なもので

言葉は巡り巡って

自分の元へ還ってきて

その言葉に

私自身が励まされるのですね



「患者同士」


入院している時

励ましてくれたのは

同室の年配の方々だった


毎日増えていくリハビリに対し

「頑張ってるんだから、これ以上頑張んなくていい。あんたはすごい」

または辛い治療に直面している時も別の方が

「こんなに努力して乗り越えようとしてる、それであなたが幸せにならなきゃ世の中間違ってるよ」


――世の中間違ってるよ

そんなの大袈裟過ぎるけれど、

私はその場で涙をこらえることが出来なかった


きっと患者同士だから言えた言葉

私が求めていた言葉

もしかしたら

患者同士だからこそ

心に通じるものがあるのかも知れない

ふと

そんな風に思った

日だまりのような温かさの病室

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